今週は、緑が目に痛い新潟競馬の開幕週で行なわれるアイビスサマーダッシュ。新潟はJRAでは唯一、野芝100%で行なわれる競馬場だけあって、とにかく芝が軽く、特に直線1000mは、スピードがあれば、少し非力な面があっても押し切れます。
直線1000mが始まって間もない頃、ある雑誌で『直線1000m攻略』と銘打って連載していたことがあります。そのとき夏の新潟前半戦の狙い方として、一番重要な要素として取り上げていたのが「先行力」です。前走で逃げていた馬、いなければ2番手で競馬をした馬を中心に狙って行くやり方です。
これをアイビスサマーダッシュにあてはめて、前走で逃げ、先行していた馬に優先順位をつけると、【1】芝適性(できれば芝の短距離重賞勝ち)があり、前走ダートの短距離戦で逃げ、先行している。【2】重賞をなるべく前傾ラップ(前半が速いラップ)で逃げ、先行している。【3】新潟芝1000m以外のオープンを、なるべく前傾ラップで逃げ、先行している。
※連載当時は、前開催の福島、中京が時計を要していたために、時計の掛かった順番に優先順位をつけていましたが、現在はそれほどないので、ペースに優先順位を持たせることにしています。
これを福島が馬場高速化、中京が新装オープンした2012年度以降で見ていくと、連対馬の大半が前記した【1】【2】【3】のどれかに該当しています。2015年の勝ち馬
ベルカントは【1】。2012年の勝ち馬
パドトロワ、2着馬
エーシンダックマン、2013年の勝ち馬
ハクサンムーン、2着馬
フォーエバーマーク、2016年の勝ち馬
ベルカントは【2】。2014年の2着馬
フクノドリームは【3】。
前傾ラップで逃げ、先行した馬を狙う絶対の理由は、前走でタフな競馬をすることで心肺機能が強化されるから。つまり息持ちが良くなってトップスピードを持続する幅が広がります。極端な話、速い脚を600m持続させるのか、800m持続させるかで結果は違いますよね?
ただし、前走で強い競馬をしているよりも、凡退(馬場が悪ければ大凡退)しているくらいの逃げ馬のほうがベター。なぜかというと前傾ラップで結果を出した馬は、タフな競馬が得意すぎる可能性もあるのと、ダメージが強く出る場合もあるからです。
よって、◎には、最強ローテーションともいえる【1】に該当する
レヴァンテライオンを推します。逃げ、先行馬揃いの前走プロキオンSは、前半34秒2から後半完全な減速戦。『No.1予想』で想定した展開どおりとなり、差し、追い込み馬が上位を独占しました。つまり、
レヴァンテライオンは、前走でそれだけタフな競馬を経験したということ。
一昨年の
ベルカントも小倉2歳Sで2着するなど、速い時期から活躍していたこともあり、3歳後半-4歳前半はスランプ期に突入しました。しかし、前走ダートの
コーラルSで前半3F34秒0-後半3F36.7のオーバーペースで逃げて13着に凡退した後、このレースで復活しました。
レヴァンテライオンも
函館2歳Sを制すなど、早い時期から活躍していたために、大半の馬が陥るスランプ期を作り出してしまいましたが、前走ダートで厳しい流れを経験したことによる、起死回生、復活に期待します。
確かに
レヴァンテライオンは、
ベルカントほどの実績がない点が大いに不安ですが、現時点で10番人気と人気薄。実績不足であること以外は、全ての条件を満たしているため、そのあたりは目を瞑ることにしました。
○は、雨の影響を受けてやや時計の要す馬場状態で行われた前走
CBC賞で、淀みのないペースで逃げて3着と健闘した
アクティブミノル。この馬は内枠からスッと最初の3コーナーで先手を取り切って一昨年の
セントウルSを勝利した実績があるように、テンのスピードが抜群の馬。今回のメンバーが相手でも、悪い出負け癖を出さなければ、ハナを主張していけるスピードの持ち主です。一旦は、この馬の本命も考えましたが、前走でやや激走している点が気がかりで対抗評価までとしました。
▲は、
春雷S、韋駄天Sとオープン2連勝の
フィドゥーシア。前走で新潟芝1000mは、負荷がかからないために、このレースで人気を裏切るケースが非常に多くあります。そういう視点で見れば、前走・韋駄天Sを勝利している点はマイナスでしょう。しかし、
アクティブミノルについて行けるだけの先行力、スピードがあるのは大きなプラス。他に積極的に狙いたい馬がいなかったこともあり、3番目の評価としました。