【血統の因果は巡る】
シークレットランがクラシックのひのき舞台に躍り出る。暮れの中山開幕週の
葉牡丹賞は、高速決着になることが多いが、想定を超える1分59秒6のレコードの灯がともった(2歳・日本レコードでもある)。内容を紐解くと、ペースは1000m通過・60秒1のミドルで漸進。タイトに馬群を割り、レースの上りが35秒3に対し、坂上から34秒5の上りで末を伸ばしてきた。高速決着の葉牡丹は、時に迷路の入り口にもなるが、つい二年前
レイデオロが、ダービーに到達。古くは
ウイニングチケット(のちにダービー優勝)、
天皇賞(秋)を1分56秒1でレコ勝ちした
トーセンジョーダンも、
葉牡丹賞を2分0秒4で楽勝した経歴がある。三代母は
ダイナカール。良質な母系が、思わぬところで、ひょっこり顔を出したりするのも競馬ということか。
相手本線は
葉牡丹賞2着の
ランフォザローゼス、逆転も期待できる。東京2000mのデビュー戦は、2分2秒1、上りは33秒6。続く葉牡丹は初の右回り、コーナーは4つ。勝負どころで外から被さられ、キャリアの浅い馬にとってはプレッシャーも大きかったが、坂上もうひと伸び。葉牡丹の0秒は、あっという間に詰まる。なんて、何の因果か、祖母は
エアグルーヴ--本命と同じ
ダイナカール一族なんですね(こっちが本家に近いが)。
割って入れば
ダノンラスター。まだ腰のラインが尖り、調教の併せ馬で遅れも多いが、フットワークは大波のように迫力満点。未完成な造りでも、盛り返すようにして東京スポーツ杯を1分46秒9の5着に食い込んだ。惑星は
ラストドラフト。母は
桜花賞馬
マルセリーナ、デビュー前から、戸田厩舎渾身のハードトレにもしっかりと対応。牡馬にしては小柄な部類に入る、454キロながら、上り11秒5-10秒9-11秒1(3Fは33秒5)というレースラップを、33秒1でラ
イバルを競り落とす。当日のJCは大レコード、時計の速いコンディションではあったが、10秒台のラップは内包。血統馬ならではの二枚腰を使った。
カテドラルは、風船の空気が抜けるように、東スポ杯は11着に失速。パドックの脚運びや皮膚感はよかっただけに、敗因は距離にあるのか。それとも微妙な蓄積疲労があったのか。
京成杯で、適性等が明らかになる。
葉牡丹賞5着の
カイザースクルーンは、一絞り可能な馬体。もうひとつギアがあるかもしれない。