【武蔵です】芝GI・
安田記念の覇者
モズアスコットが、ダートマイルの舞台でもGI馬の名を刻印する。父は欧州屈指のス
プリンター・
フランケルだが、母系は米国ダートで大成功を収めているストームキャット×ミスワキ。栗毛の馬体や
シルエットなど、その色合いが極めて濃い。実際母は米GII・GIIIを各1勝、ごく近親のTo Honor and Sarveは、米GIウッドワードS、
シガーマイル勝ちを含め重賞6勝。母系の実績だけでもダート適性を語ることができるが、栗東坂路で49秒6-36秒4-11秒7という時計を叩き出したこともあり、稽古はけた違いに動く。
初ダートの
根岸Sは、発馬でゴトゴト、座り込むのはいつもの癖。しかし、道中の追い上げは流れるようにスムーズ。芝では馬群を捌くのに苦労した直線入り口も、余裕の手ごたえでアッサリと通過。記録的にみても、1000m通過は59秒2-1200m通過は1分10秒8のタフなミドルで展開。1分22秒7という走破タイムは、過去十年・良馬場で行われたケースでは文句なしのNo.1だった。
ちなみにラスト3Fのレースラップは11秒9-11秒6-11秒9(35秒4)、対する自身の上りは34秒7と余力は十分。1F延長のマイルも普通にクリアできる。もし負けるとすれば、目に見えない反動?――これだけは説明がつかないけれど、キチンと走れば首位有望。
対抗は二連覇のかかる
インティ。前年の
フェブラリーSは、精密なラップを積み重ね後続を完封。腰回りが硬くなり、思うような走りができない時期もあったが、
チャンピオンズCで復活の狼煙。1000m通過・1分0秒8のタフなミドルを僅差の3着。従来のレースレコードを1秒以上短縮するHレベル決着を、残り1F標識まで先頭争いを演じた。前走の
東海Sは58キロの重量を背負っていたこともあり、好位差しに回ったが、定量戦なら実力通り。ポンとスタートを切り、2F標識あたりまでセリかけてくる馬がいなければ、真っ向勝負の逃げの絵図が
武豊Jの頭の中に描けているハズ。
5歳馬
アルクトスも、ジワリジワリと地力強化。
プロキオンSでは1分21秒2という快記録を叩き出し、A級馬が顔をそろえた南部杯を1分34秒5で小差の2着。この中間から調教は負荷の高い南Wへ入れ体力強化をはかってきた。
サンライズノヴァは東京コース6勝、南部杯で待望の交流GIタイトルを手に入れた。重量59キロの
武蔵野Sは5着に伸びあぐねたが、定量戦なら一変。粘り強く闘志を鼓舞する松山Jの手綱さばきも見ものだ。
武蔵野Sを1分34秒6で一気差しを決めた
ワンダーリーデルも、本番のここで一発を狙っている。
デルマルーヴルも距離バンドの広い、これからのダート界をささえる期待の4歳馬だ。