【ステイ一族の
パッション】
タガノパッションは馬体も血統も懐深い。明け3月デビュー、初陣の阪神1800m戦は経験馬相手に3着。時計は1分46秒8、上り33秒0という好ラップを計測した。二戦目は大粒の雨、馬場差2秒以上の重馬場。2分2秒6というタイムは見た目の数字以上に中身が濃く、続く
スイートピーSは1000m通過・58秒3-マイル通過1分34秒4というタフなミドルで展開。レースの上りは35秒9、対する自身の上りは34秒3。1分46秒2という古馬3勝クラスに匹敵する好タイムで突破した。
オークスは中二週、キャリアや状態など慮り、
ソダシを視界に置き、道中大事に進めたぶん、微妙に仕掛けが遅くなってしまった。しかし最速の上りで4着、存在感と資質の高さを改めてアピール。紐解けば牝系の大本は
ゴールデンサッシュ、
ステイゴールドの名が連なる味わいのある一族。追い切りのハミの取り方や身のこなしも、この一族らしく独特だが、秋の飛躍、将来が楽しみ。
オークス5着の
アールドヴィーヴルとの差し比べが第一本線。春は腰回りがいかにも細い。幼さ丸出しの造りでも
クイーンC2着、レコード決着となった
桜花賞はロングスパートを挑み5着。
オークスも0秒3差の5着に奮闘、心の強い、粘り強い競馬をするなぁ…。まだまだ完成途上ながら、体重は10キロ以上は増えている。坂路の四肢の入り、回転力やグリップ力は春に比べ格段に上、明らかな体力の前進が見込める。
割って入れば
クールキャット。勝ち上がりは春の東京、ルメールJとのコンビで、芝1400mで新馬勝ち。
アルテミスS・
フェアリーSの頃は、急にハミをとったり、チグハグなレースをしていた時期もあったが、距離を1800mに延ばした
フラワーCは、中山の急坂を最速の上りで5着に追い上げ、レースビジョンに手応え。
フローラSは、11秒3-11秒0-11秒5(33秒8)というレースの上りを好位から33秒4でひと差し。
時計は1分59秒4、左回りの2000mでベストといえる走りができた。
母メジロトンキニーズは3400mのGIII・
ダイヤモンドS2着。兄
トリオンフは
小倉大賞典など重賞3勝。506キロの馬格を誇り、2400mの
オークスもスタミナに憂いはないように思えたが、残り1F標識手前でパタリ。あの止まり方は、やはり距離に原因があったからだろう。加えて、
フラワーC、
フローラS、
オークスというローテーションも今思えばハードワーク。立て直しをはかり、鞍上にルメールJを配置、左回りの2000mなら中京でも互角勝負に持ち込める。
惑星は
オヌール。全姉は
デゼル、姉はキャリア一戦で
スイートピーSを32秒5という出色の上りで一閃した切れ者。妹はひと回りサイズは小振り。だが二走前のアルメリア賞では上り32秒7という、姉に負けず劣らずの末脚を駆使。
ま、
フローラSは勝てば儲けもの。強行軍を承知で
オークスの切符を狙いに行ったが、404キロに減っては動けない。ただ、結果も秋へのシフトも織り込み済み。まだ喰いは細いと聞くが、関西圏の競馬ならGIIでも差のない競馬ができる。
ローズSは
オークス組(それも上位馬)が過去十年で8頭も勝っているが、夏の上り馬。それも小倉組には時に一発がある。今年はタレントも豊富だ。
一番手は
イリマ。小倉2000mを1分57秒5(2着に0秒6差)、開催の進んだ8月末の
都井岬特別を1分59秒6(2着に0秒7差)で二連勝を果たした。半姉は
府中牝馬Sを豪快に差し切った
スカーレットカラー、血統も一本芯が通っている。新潟組は
出雲崎特別を1分58秒2で快勝した
アンドヴァラナウト。1000m通過は58秒2-1800m通過は1分46秒8、レース精度も高い。
コーディアルは4回小倉開催3週目の
英彦山特別を1分59秒2で勝ちあがった。