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モーリスといえば
ベジャール】
ベジャールが急激な進化を遂げている。560キロを超える、突進型の巨漢馬。自分は何者なのか。他者と比べどのくらい力があるのか。なんだかわからない。勝ち上がりに3戦を要したが、身のこなし、脚の使いどころ、発馬等々を漸次教え込み、1月開催の東京9Fをレースの上りを0秒6上回る33秒7の末脚を繰り出し直強襲を決めた。
毎日杯は出遅れはわずか一完歩に縮小。若干頭を上げ気味ながらも二の脚を使い二番手にとりつき、外から被せられても折り合いもついた。馬場差1秒はある稍重条件下、今回と同じ56キロの斤量で、前半1000mの通過タイムは59秒6のミドル、マイル通過は1分35秒0。
同日のひとつ前に古馬2勝クラスのマイル・天神橋特別があったが、決着タイムは1分35秒7だった。むむむ。0秒7も速いラップの上に立ち、終い3Fのレースラップは12秒0-11秒1-12秒5(35秒6)、自身の上りは35秒4。勝ち馬に最後0秒1ほど差し返されはしたが、ラスト2Fめの11秒1というHラップは将来の、GIIIへの強烈な布石となる。
田中博康厩舎は一戦必勝型で知られているが、出走権利もあるダービーを
スキップし、6月半ばから週二本、日曜追い、水曜日もしくは木曜日追いを丁寧に重ね出走態勢は万全。まだ子供っぽくウカウカとしたところはあるけれど、鞍上に反抗したりはしない。小回り、テン乗りでもコントロールは効く。
逆転があれば牝馬
ソネットフレーズの才能と瞬発力。牝系は
エアグルーヴ一族の本流、母は
ドゥラメンテの姉。デビューは新潟マイル、1分34秒3という走破タイムは翌日の
新潟2歳Sと0秒5差。二着に0秒5差の楽勝を加味すれば、初戦からいきなり2歳Sの勝者
セリフォスとほぼ同等の能力を示していた。
二戦目のデイリー杯は関西への遠征。1番枠ゆえインに押し込められるプレッシャーも受けた。あの
グランアレグリアでさえ、デビュー三戦目の関西遠征(牡馬相手の
朝日杯FS)は、戸惑い多く3着に敗れた。
しかし本馬は坂上もう一度闘志を振り絞り、クビ差勝負に持ち込んだ。
桜花賞を前にアク
シデントが発生。NHKマイルは造り直し、突貫工事、急仕上げは否めず。17着と息切れしたけれど、返し馬のフットワークにはうっとり。
エアグルーヴ一族はやっぱモノが違うなぁと、惚れ惚れとして見入ってしまった。調教タイムの数字は前回とそう変わらないが、中身が違う。54キロは牡馬の56キロに相当するが、デイリー杯で経験済み。
割って入れば
サトノヘリオス。新潟1800mの新馬戦は、後の
皐月賞・ダービー2着馬
イクイノックスの4着、二戦目の中京2000mを2分0秒0のレコードで走破。
同日の
野路菊Sのロンがすぐ、1分59秒8に更新したが、同日の古馬2勝クラスより0秒7速く、一週前の
ローズSと同タイムだった。12月の
エリカ賞は、最初と最後の1F以外は11秒8-12秒1というラップで推移。底力と持久力を問われるタフな一戦となったが、余裕をもち馬群の真ん中から抜け出し、1分59秒7でレコ勝ち。一週前の古馬GIII・
チャレンジCは、超スローの上り勝負にせよ、決着時計は2分1秒0。二戦続けて中身の濃いレコードをマークしている。
ホープフルSは二度のレコ勝ち明け、ほぼ中一週という強行軍が敗因。
スプリングS3着で、能力の在処を再確認できた。
皐月賞はブービー負けに終わったが、こちらもGIII、良馬場、55キロなら巻き返しがあっていい。
ボーンディスウェイも小差。12月の
葉牡丹賞・2分0秒6を
ステップに、GI・
ホープフルSは5着、GII・
弥生賞は0秒1差の2分0秒6.3着に踏ん張った。
皐月賞は湿った馬場、内目の7番枠。ハードな激流に呑み込まれてしまったが、GIII、良馬場、平坦替わりと条件は好転。55キロというハンデも1キロ恵まれた感がある。
左回りを重点に使われているぶん、連下としたが、
グランディアは休養明けの
プリンシパルSが0秒2差、叩き良化が見込める。
フェーングロッテンは、ブリンカー効果てきめん。
白百合Sはラスト3Fを11秒3-11秒5-11秒9でまとめ逃げ切りV。
ゴーゴーユタカは、前走時計・1分34秒2で古馬3勝クラスくらいのレベルに到達。細くなった馬体も回復、本質はマイラーだが、折り合いに専念し一瞬の脚に賭ければ上位争いに加わってくる。