【実り多い秋】
アエロリットは、私たちが思うよりずっと速く、さらにこれから強くなる。
桜花賞は完成途上の中での遠征。出遅れに加えペースはスロー。渋った馬場で無理に動かすと摩耗も大きい。終いジワリと差を詰めただけの5着に終わったが、NHKマイルは体も心も少しは成長した。ならば先手、前半1000m通過・57秒9というミドルラップを、二番手追走から直線半ばで早々に先頭に立ち、小細工なしに後続を封印。1分32秒3というタイムは、前年の
メジャーエンブレムより0秒5速く、過去10年では3位だった。
前走の
クイーンSは、前半3F・12秒2-11秒2-11秒8というラップで先頭を切り、1000m通過は58秒3のミドル。ラスト3F・12秒1-11秒5-11秒9という絶妙なラップを踏み、後続に2馬身半差の1分45秒7、タイレコードでV。496キロに増量し、コーナー4つの右回り、京都内回り2000mの走り方をシミュレーションできた。
NHKマイルの頃の調教と今とでは、質も量も雲泥の差があり、底知れない能力が、調教の
ステップアップにも見て取れる。木曜日発表の体重を見ると、今度は480キロ後半だろうか。枠はロスのない絶好の1番、好位のポケットに収まれば、あとは追い出しのタイミングをうかがうだけ。
対抗は
ファンディーナ。後続を1秒5差にちぎったデビュー戦から、あふれんばかりのスケールを示していたが、能力の起点であり原点は二戦目の京都1800mの
つばき賞だったか。スローの上り勝負とはいえ12秒2-10秒7-11秒0(3Fは33秒9)というレースの上りに対し、自身のソレは33秒0。終い1-2Fを推定10秒5前後の仰天ラップで駆け抜けた傑物。
牡馬相手の
皐月賞は、タフなミドルラップでも見せ場を作ったものの、ハードローテの影響で体調下降。あの7着は仕方ない。その春を教訓に、今季は
秋華賞を念頭に体造りを考えてきたが、なるほど
ローズSの体重は22キロ増。心身ともいろんな無駄が目につき、最後の1Fで脚色が鈍ってしまったが、次走のイメージを「型」として示して見せた。予定通り、最終追い切りはCWで11秒台。ここが天井ではないが、よし今度は動くという手ごたえを、陣営も岩田もつかんだ。
三番手は
ディアドラ。
紫苑Sの上り4Fはすべて11秒台、1分59秒8というタイムは速すぎもなく遅くもなく、疲れを残さないで済んだ。
ラビットランの
ローズSの弾け方と末脚は尋常ではない。絶対的な能力の高さで距離延長も克服する可能性も高いが、ただ阪神・外回りの1800mと
秋華賞コースでは、求められるモノが若干異なる。
ローズS3着の
リスグラシューは、ホームで続けて競馬ができ、調教もしっかりと負荷をかけられ上積み十分。常識ではありえないローテーションだが、
リカビトスは過去のデータを一気に塗り替える、超大物かもしれない。