日本で行われる、世界最高峰の
ジャパンC。かつての
ジャパンCといえば、世界
タイトルホルダーが集い、鎬を削るレースでした。かつては、国際競走が今よりも少なく、インターネットもあまり普及していなかった時代。特に日本は、各国の代表馬と戦うことが滅多になかった上に、外国馬の情報もあまりありませんでした。
つまり、日本にとっての
ジャパンCとは、黒船襲来のようなもの。また、
シリウスシンボリの
凱旋門賞14着以降の日本馬の情報がほぼ途絶えた外国馬にとっては、
ジャパンCは賞金を荒稼ぎする絶好の場でもありました。よって、レースは1着賞金25000万円を目指して我こそはと、序盤から激しい攻防が繰り広げられ、レースは消耗戦へ。当然、本当に強い馬(総合能力の高い馬)しか、勝つことができませんでした。
しかし、近年の
ジャパンCはというと、国際化社会、情報化社会で相手の能力をある程度知るゆえに、各馬にマークする馬が存在し、スローペースのレースが出現するようになりました。
ジャパンCのレースの質を変えたのは、東京の高速馬場と世界にその名を知らしめた
ディープインパクトの存在がきっかけです。
ディープインパクトが出走した2006年から、見事なほどスローペース化しているのです。
また、特に近年はスローペースを通り越して、2011年の
ウインバリアシオンや昨年の
ヒットザターゲットのように捲る馬が出現するほど、序盤“ド”スローになることさえあります。こういうレースになると、どうなるか? コーナーをロスなく立ち回れる内枠と先行馬が断然有利になります。
それは、2011年に1枠1番からロスなく立ち回った14番人気
ジャガーメイルが3着入線したことや、昨年、先行した11番人気
トーセンジョーダンが3着入線したことが証明しています。
トーセンジョーダンは2011年の2着馬でもありますが、昨年は
札幌記念、
天皇賞(秋)ともに2桁着順からの巻き返しでした。
今年も強い逃げ馬不在。馬場がどこまで回復するかにもよりますが、
サトノシュレンが逃げる展開を想定するとドスローよりのスローペースでしょう。土曜日の東京は外が伸びていましたが、それでもコーナーをロスなく立ち回れて、直線では外を選択することもできる内枠の先行馬(2列目、3列目)が優勢でしょう。これだと2枠3番のジャン
ティルドンナを狙いたくなりますが、ジャン
ティルドンナは今年、
天皇賞(秋)も狙っていたはずなのに、ロスなく立ち回っての結果2着と非常に物足りなさを感じました。2年連続
ジェンティルドンナを本命にした私ですが、あの内容では相手強化のここで展開に恵まれたとしても太刀打ちできない可能性が高いので、思い切って消します。
◎は折り合いを欠きながら前につけて行って2着に5馬身差をつけた昨年の
菊花賞がえげつなく強かった
エピファネイアを推します。この馬はその後の芝2000mの3戦の内容が物足りないために、“ステイヤー”のイメージが出来上がりますが、今回は前走から距離が2F長くなる舞台。
また、この馬は決め手があまりないのに、折り合いつけて決め手を生かす競馬をしているのが、本当の能力を引き出せないでいる最大の要因でもあるでしょう。今回はスミヨン騎手に乗り替わっての2枠4番。普通なら3列目確保が濃厚。場合によっては、前走でキレ負けした
ジェンティルドンナよりも前につけていく可能性もあります。そういう競馬ならば、この馬の能力(存分な持久力)が引き出せるはず。また、位置取りが多少悪くなっても、ペースが緩んだところでポジションを押し上げていけば、上位争いのチャンスがあると見ています。
○は昨年の
キングジョージVI世&
クイーンエリザベスSの2着馬
トレーディングレザー。今年に入ってからは、スランプ気味の成績ですが、これは馬の調子ではなく、コースや展開が合わなかったものだと陣営が語っていました。どうやら次の香港が目標ではなく、スピード競馬を求めて
ジャパンCの出走を決意したようです。
確かにこの馬は昨年の
英インターナショナルSや
愛チャンピオンSで逃げて2着、3着の実績があるように、もともとは逃げ馬。アイルランドの馬としてはスピードがあるほうです。近走は斤量60.5kgを背負わされていたために前へ行き切る競馬が出来ていませんが、今回は57kg。
サトノシュレンが逃げるペースならひょっとすると2列目、3列目が確保できるかもしれません。前走
愛チャンピオンSで厳しい流れを先行して3着に敗れたローテーションもここへ向けては理想的です。ただ、陣営の「外枠でもいい」という言葉がどうも引掛かるために対抗までとしました。先行する意思があれば、「内枠が欲しい」と答えるはずなので、流動的な競馬をする可能性が高いです。
▲は今年度の国際レーティング最上位馬
ジャスタウェイ。それほどまでにドバイDFでの圧勝は強烈でした。
安田記念の勝利は底力の高さを見せつけたもの。
凱旋門賞は休養明けで一気の距離延長でスタミナ切れとなってしまいました。叩かれてそこまで急上昇とはいかないようですが、まともに走れば楽勝まである馬です。