【GI馬の貫禄】
タッチングスピーチの本格化を
ローズSで確信。
忘れな草賞8着で今春を切り上げ、北海道で造り直し。札幌戦は前半1000m・1分0秒5というミドルラップに恵まれたにせよ、走破タイムは2分0秒3。上がり34秒2は野芝の新潟なら32秒台に相当する鮮烈さ。ゴール板が近づくにつれグングンと加速力を増すラップもきわめて上質だったし、世代の勢力図を一気に塗り替える起点となる一戦になるのではなかったか。そうして迎えた
ローズS。いざパドックをみると、当日輸送と体重の維持という課題も乗り越え、仕草は威風堂々。なるほど心の持ちようは馬体にも正直に出る。贔屓目もあるのだろうが、これで負ければ仕方がないのかなと思えるデキに映った。
しかし、当面のラ
イバルである
ミッキークイーンがスタートで安めを売り、
タッチングスピーチは、ひとつ前の後方二番手と、その位置取りにはハラハラさせられたが、前半5F通過は58秒4のミドル。7F通過は1分21秒5―マイル通過・1分33秒0というタフな平均ラップで推移している。確たる能力がありさえすれば、外回りの阪神1800mならこの厳しい流れは却って好材料。ラストのレースラップも11秒2-11秒5-12秒2(3Fは34秒9)と極端に緩むことなく、走破タイムは
ローズS史上歴代2位の1分45秒2で決着がついた。
勝ったタッチングの上がりは33秒9、2着の
ミッキークイーンは最速の上がりで0秒2差の2着。力勝負の厳しい展開が味方したのも事実だが、勝負どころのラスト2F目・11秒5の地点で一気に動き、34秒を切った馬は、1-2着の二頭だけだった。次走の
秋華賞は内回りの京都2000m。外回り・坂コースの阪神1800mとは、適性というか、求められるものが少し異なるかもしれない。
ローズSで遅れをとった馬の中にも、一瞬の切れや先行力を生かす伏兵の台頭も考えられるが、本年の
ローズSのレベルにあれば、力でネジ伏せるレースが十分可能。鞍上はルメール。京都の2000mは、阪神とはまたひと味工夫し、鋭く抜け目なく3-4コーナーで馬群を捌いてくる――そういうシーンを何度も目にしている。
対抗は
ミッキークイーン。そう、ローズの1・2着の記録は、例えばひと世代上の
ショウナンパンドラと
ヌーヴォレコルトに匹敵する、同時代牝馬のみならず世代を超えた強力なラ
イバルになるかもしれない。本年3歳牝馬の世代力というか。
ミッキークイーンの能力の指針は、
オークス史上歴代2位の2分25秒0という時計にも顕著。
ま、前回は久々のぶん、パドックでは我慢できていたが、返し馬で突然引っかかったり、
テンションがあがっていたのも確か。だから浜中も出遅れても無理はしない。なるたけロスのないよう、終いを伸ばす形の
トライアルとしたが、ガス抜きも完了。「軽い」京都の瞬発力勝負は、タッチングより上かもしれない。
三番手は、
ローズSで真っ向勝負を挑んで3着に粘り込んだ
トーセンビクトリー。
トライアルは各馬の能力や脚色をはかるため、あえて一番人気のような強者の競馬を試みたが、二頭の脚は計れた。二走前のレースを見ると、もうひとつ前のポジションで競馬も作れる。今度は内回りの京都の2000mに替わることも、当然
武豊は描いている。
惑星は
ココロノアイ。
チューリップ賞勝ちで、
桜花賞はマークされる立場になり、関西遠征の疲れやストレスが抜けきれないまま、
オークスは7着と失速したが、立ち回りの上手さや京都2000m適性は、
レッツゴードンキと同等か上かもしれない。その
レッツゴーが、他馬の指針となる形でレースを運ぶだろうし、横山は同馬を前に置けば競馬が簡単になる。
連穴は
ホワイトエレガンス。
紫苑S2着で評価は下がったが、二走前の札幌1800m・1分46秒4は、ペースの違いこそあれ
クイーンCを0秒7上回る好タイムだった。