昨年からは重賞に格上げされたターコイズS。同時に、一昨年までこの時期に行われていた愛知杯が1月に繰り下げられ、出走馬の質はかつての愛知杯レベルです。マイル戦ですが、前走芝2000mの秋華賞組や福島記念組が多数参戦し、対戦図式は中距離路線馬VSマイル路線組。逃げ候補が多い一戦ですが、それらが中距離路線馬ばかりなので、そこまでペースが速くなることはなさそうです。

　また、この舞台の中山芝1600mは、最初の2コーナーまでの距離が約240mと短く、急コーナーなので内枠が断然有利のコース。2コーナーで内々を確保しないと、ずっと外々を回らなければならない円状のコースだけに、平均ペースを想定するならば、内枠先行馬が有利です。よって、馬券は前を中心に馬券を組み立てることにしました。

　そこで◎に推したいのは、今秋の京成杯AHで休養明けながら2着入線したカフェブリリアント。内枠で前に壁が作れなかった今春のヴィクトリアマイルこそ折り合い欠いてオーバーペースを追い駆けて15着に失速しましたが、基本的に自分の力を出し切るタイプ。今回は逃げ馬が多いメンバー構成なので、それらがインに切り込んで。スムーズにインで折り合えそう。休養明け3戦目の巻き返しを期待します。

　〇は、休養明けのローズSではすんなりした競馬でいきなり2着入線したクロコスミア。前走の秋華賞は、ペースは平均よりやや遅いペースでしたが、折り合い欠いたカイザーバルが2コーナーの出口から向こう上面にかけて動いて一段ペースが上がり、上り坂で一旦ペースが緩んでもう一度ペースが上がる乱ペース。ニ段階加速で実質ペース以上に逃げ、先行馬が厳しかったはず。楽に前に行ければ巻き返しが期待できるでしょう。

　▲は、昨年の阪神ジュベナイルFで2着のウインファビラス。この馬はマイルがベストの馬。前々走の紫苑Sは3コーナーで2度ぶつけられて位置取りを下げる不利があっての8着。また、秋華賞は、実質前が厳しい流れを勝ちに行く競馬をしたのも敗因のひとつ。今季3戦目。もともとの実績を考えると、そろそろ復活があっても不思議ないでしょう。

【上位拮抗】マジックタイムは近走勝利こそないもののレースぶり充実。動き軽快で状態も良く好勝負必至。クロコスミアはローズS僅差2着で秋華賞6着も評価でき、マイペースなら粘り込みが見込める。桜花賞馬レッツゴードンキは折り合い次第で勝ち負けも。ダイワドレッサーも気配上向きで上位の候補。ウリウリも地力あり侮れず、アットザシーサイドやカフェブリリアントなどにも注意したい。

【切れ味極上】アットザシーサイドの切れ味は極上。新馬・特別戦を連勝し、3歳春は桜花賞ロードへ参戦。前哨戦のフィリーズレビューを最速の上がりで2着に追い上げ、桜花賞も上がり33秒9の末脚を繰り出し、上位二頭の0秒3差に食い下がった好マイラー。

　秋緒戦・1800mのローズSは1F距離が長く、前走のオーロCは、直線イン強襲を狙ったものの、進路を失い急ブレーキ。立て直して外に持ち出すロスが痛かった。ハンデは54キロ、スムーズに馬群を捌ければ。

　マジックタイムとの追い比べが第一本線。中山マイルのG3・ダービー卿CTを、1分32秒8・上がり33秒8で一気差しを決め、G2の府中牝馬Sを2着した実力馬。牡馬相手のG1・マイルCSは、さすがに見せ場を作るのがいっぱいだったが、牝馬限定の重賞なら、斤量実績のない56キロでも好レースになる。

　ハンデ差をつき、瞬発力を生かせば、カフェブリリアントが一角崩し。府中牝馬Sは脚がたまらず6着に終わったが、京成杯AHは器用に馬群を縫って1分33秒1で2着している。マイル適性が微妙だが、3歳馬ダイワドレッサーは牡馬混合のラジオNIKKEI賞2着、福島記念を3着してきた、牝馬限定なら重賞奪取が期待される有望株だ。

　ウキヨノカゼはG1のスプリンターズSを上がり32秒8で3着に猛追してきた強靭な差し馬。ヴィクトリアマイル以来の実戦になるが、CWで長め6Fの追い切りをこなし、いつになくデキもいい。桜花賞馬レッツゴードンキも、56.5キロはギリギリ勝ち負けのライン上か。

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　◎エテルナミノルは｢エンパイアメーカー×フジキセキ｣という組み合わせ。ガナファシル≒ミルレーサー3×3、イメージオブリアリティ≒マーストンズミル3×4という味な配合馬で、母の父フジキセキは過去に父としてターコイズSで延べ4頭の連対馬(3勝、2着1回)を出しているようにレース適性が高い。

　前走のユートピアS(準OP)は2番手追走から抜け出し、マローブルー、テルメディカラカラといった実力馬をしりぞけた。父エンパイアメーカーは完成の遅いタイプだけに3歳秋にしてようやく本格化してきた印象だ。前に行けるタイプなので外枠の不利はなく、条件クラスから上がってきたばかりとあって53kgのハンデはいかにも軽い。このメンバー相手にも互角以上の戦いができるだろう。

【伏兵注意】混戦の顔ぶれなら、重賞で堅実に走っている10マジックタイムが上位。1カフェブリリアントは展開次第だが地力的に好勝負が可能とみる。11アットザシーサイドは叩き3走目で再度の差し脚発揮なら首位争いが狙えそう。6ビービーバーレルは無理なく先手が取れそうで粘り込みに警戒しておきたい。13レッツゴードンキは地力上位もトップハンデと距離が微妙で押さえまで。連勝の勢いがある15エテルナミノルが連下の穴。

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

　エリザベス女王杯を牝馬重賞戦線のゴールとすると、ターコイズSは翌シーズンの出発点になります。昨年から重賞にリニューアルされたのと同時に、愛知杯の施行時期が繰り下げられた影響もあって、GI帰りの馬が何頭も参戦して豪華なメンバーが揃うようになりました。

　ただし、中山マイルでハンデ戦という条件は、オープン特別時代と一緒です。重賞初年度の昨年も、馬連配当は5万円台で、「大荒れになるレース」というターコイズSの伝統はしっかり引き継がれてしまいまいした。

○先手必勝のスピード勝負

　古馬牝馬の重賞路線の中では、マイル戦はもっとも距離が短い部類になります。施行時期の関係上、秋華賞などからの距離短縮馬が多数になりやすく、くわえて直線の短い中山競馬場となれば、スローに流れてどの馬も脚が止まらないレースになる、と想定するのが自然です。

　基本的に、前に行く馬から順番にチャンスが訪れます。過去10年間(オープン特別時代を含む)の勝ち馬のうち9頭までは、4コーナーの通過順位が4番手以内でした(残りの1頭は6番手でしたが、その年は12頭立てと差しやすい頭数)。差し馬は直線での渋滞にハマる危険性がつねにあります。過去10年のシュミレーションでは、前に行きそうな馬の単勝を4、5点ずつ買ってもペイしてしまうほどです。

　エンジェルフェイスはフラワーCの勝ち馬。逃げたときは2戦2勝で、逃げられなかったときは5戦5敗と、とてもわかりやすい戦績になっています。オークス、紫苑S、秋華賞の3戦は、スピードが豊富なこの馬になんとか距離を持たせようと試行錯誤の連続で、成果が得られずの3連敗でした。

　3歳牝馬GIも終わったいま、この馬の本来の持ち味であるスピードを解禁するのに、もうなんの躊躇も要りません。全姉のレディアルバローザも重賞を2勝した活躍馬でしたが、全5勝と3回の2着はすべて芝1800m以下で、2000m以上では連対なしという、きっぱりした距離適性の持ち主でした。

　エテルナミノルは先行して速い脚が使える馬で、中山マイルは悪くない条件でしょう。力をつけたいまならば重賞でも。ダイワドレッサーは当コースではフェアリーS2着の実績がありますし、福島記念は好メンバーと渡り合っての3着で評価できます。ウインファビラスはこの秋は復調気配が見られますし、2度の重賞連対があるマイルがベスト距離。クロコスミアは秋2戦が果敢な逃げから2戦とも見せ場たっぷりの好内容。ただし、小柄な馬だけに、小回り中山で揉まれる展開になるとどうか。

　マイル向きのスピード馬ということで、重く見たいのは前記の5頭。カフェブリリアント、マジックタイムは実力上位とは思いますが、実力順に決まるレースでもありませんから、今回はヒモ候補という扱いにとどめます。

【小波乱】カフェブリリアントはこのコースが合う。条件が好転するダイワドレッサー。状態のいいエンジェルフェイスにも注目。

平均値110でトップ。さらに同距離コースでも115という数字を持っている◎マジックタイム。あとは56キロというハンデがどうかという点だけ。ただほかは指数が低い分、ハンデも低いという感じで結局はこの馬が評価トップになる。逆転あるならば指数出ていない3歳なのだろう。そこで相手は前走110○アットザシーサイドと▲ダイワドレッサー。2走前113☆クロコスミア。

叩いた効果で上積みは大きい3ダイワドレッサーが中心。距離短縮は問題なく54キロなら切れ味が生きる。次位は10マジックタイムで重賞勝ちの中山で巻き返しは十分。▲は11アットザシーサイドで距離延長で変わり身は十分。

　昨年は馬券対象馬が全て単勝二桁人気の馬で、3連単では290万円台の大波乱となった一戦。牝馬限定のハンデ戦だからと言ってしまえばそれまでだが、ピンポイントで激走馬を見つけるのも競馬の醍醐味のひとつだ。◎はクロコスミアとした。逃げに転じたここ2走では上々の粘り腰を見せており、特にローズSの2着は相手を考えれば評価でき、重馬場で1分46秒7の時計もかなり速い。古馬相手でも、54キロなら逃げ切れるはずだ。

　相手は、実力馬マジックタイムへが本線だが、以下には3歳勢を。ダイワドレッサー、アットザシーサイドの順としたが、エテルナミノル、ビービーバーレルにもチャンスは十分ある。