【怪傑ゾロ】マスクゾロは昨年4月、一度GIIIのアンタレスSに駒を進めた。当時はまだ心身ともに脆さを抱えおり9着に敗退したが、立て直しをはかり、二走前の桃山Sは、1000m通過・58秒9―1800mの通過タイムも1分49秒6というハイペースにも楽々対応。直線入り口先頭という横綱相撲を披露。ちなみに1分55秒9という走破タイムは、開催こそ異なるものの、GIIIの平安Sを上回っていた。

　前走のジュライSも、上がり3Fは12秒4―11秒6―12秒0(36秒0)という、芝なら10秒台(3Fなら33秒台)に匹敵する、素晴らしいスピードで後続を1秒0の大差に封じ込めている。今週は火曜日が全休日だったため、直前は軽めの変則追いとなったが、9月初旬から丹念に乗り込んでいる。

　逆転があれば3歳馬キョウエイギア。ジャパンダートダービー奪取までの道程は決して平坦ではなかったが、前走は直線半ばで逃げ馬を自ら潰しに動き、二着を4馬身とチギり捨てる大楽勝。良馬場で2分5秒7という走破タイムも、3歳世代のトップにふさわしい確たる記録だった。

　アポロケンタッキーも小差。昨年の11月から4戦3勝、2着1回。当該阪神2000mの仁川S・2分4秒3で、シリウスSの決着タイムにも到達している。ピオネロは、準OP、そしてOP特別と連勝中。前回は少し相手に恵まれたけれど、ダートではまだ底を見せていない。距離も含め、ここが試金石となる。小柄な身で58キロは辛いが、カゼノコは二年前のJDDで一気差しを果たした決め手の持ち主。ミツバの前走は末脚が伸びた。

　◎アポロケンタッキーは自分で積極的に動くスタイルをモノにしてから、馬が変わったような充実ぶり。今回は和田騎手に戻るが、当然近走の内容も参考にするだろうし、以前とは違う競馬でここも突破してくれると期待する。GIIIではあるが絶対に古馬重賞で勝ち負けできるというレベルの馬はおらず、クラスの壁もない。

　◎の前走はこの馬が上がっていったことで先行馬や、先に動いていたドコフクカゼが全滅になる展開。このコースで勝った前々走も、2着以下は差し・追込ばかりでこの馬だけが道中5番手から勝っている。ここはハンデのみが問題となるが、重い側に甘い通例どおり、500グラムおまけの57.5キロは許容範囲だろう。

　自分の形になると強い○マスクゾロなど3頭との間に1,2着は形成されると考え、△は3着付けまで。

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【先手有利】ダート2000mという特殊な条件だけに未経験の馬が多く、ハンデ戦ということもあり一筋縄ではいかなそう。特に有力馬は、距離延長になる馬が揃っており、仕掛けどころを間違える危険性を孕んでいる。そこで馬券の組み立ては、追いこみ届かずの競馬になると見て、前目の組からマスクゾロ。逃げた前走は後続を1秒ちぎる圧勝だったが、逃げなくても競馬は出来る馬。今の充実っぷりなら重賞でも十分にやれる。

　◎キョウエイギアは｢ディープスカイ×パラダイスクリーク｣という組み合わせで、母ローレルアンジュはエンプレス杯(G2･ダ2100m)の勝ち馬。父ディープスカイは現役時代に日本ダービー(G1)、NHKマイルC(G1)などを制したが、種牡馬としては完全にダート向きに出ており、サウンドスカイ(全日本2歳優駿-Jpn1、兵庫ジュニアグランプリ-Jpn2)、タマノブリュネット(レディスプレリュード-Jpn2)をはじめ多くの砂巧者を出している。最も得意としているのはダートの長丁場。ダ1900m以上では連対率20.4%と優れた成績を挙げており、母がダ2100mのエンプレス杯を勝っている本馬はさらにそうした傾向が強いと思われる。

　ダ2000mの前走ジャパンダートダービー(Jpn1)は他馬をまったく問題にせず4馬身差の圧勝。同距離の今回はしっかり力を出せる舞台だ。初勝利を挙げた昨年秋の未勝利戦(阪神ダ1800m)ではラニ(UAEダービー-首G2)を5馬身ちぎっている。今回は3歳馬ながら56kgという厳しいハンデを課せられたが、ハマったときには手がつけられない強さを発揮する馬で、今回は得意条件。斤量面から人気が落ちるようならむしろ狙い目だ。

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

　JRAのダート中距離戦は、基本的にコースを1周して1700mか1800mの距離で争われますが、シリウスSはダート重賞としては唯一の2000m戦で、また直線には坂もあります。

　ダート中距離馬はいつもはもう少し短い距離にピントを合わせていますから、このレースは特異な条件と言えます。ハンデ戦ということも相まって、一筋縄では収まりにくいレースになっています。

1.上がり馬が通用する

　距離が2000mになってからの9年間で、前走が1600万条件だった馬の成績が［6-0-0-7]。該当する馬がいなかった2年を除くと、7回中6回も格上がりの馬が勝っています。ちなみに前走オープン特別組は［0-2-4-51]と苦戦。相手強化なのに斤量も恵まれにくいということで、馬券的に旨味が薄いカテゴリーです。

2.芝中距離の実績に注目

　2010年の勝ち馬キングスエンブレムと2011年の勝ち馬ヤマニンキングリーには、芝中距離でオープン特別や重賞勝ちがあったという共通点がありましたし、一昨年3着のトウシンイーグルも芝のマイルから中距離で4勝を挙げていました。そして、昨年の勝ち馬アウォーディーは、その前走でダートに初挑戦するまでずっと芝中距離を使われていました。

3.大敗馬の巻き返しは困難

　ハンデ戦ではありますが、なんでも狙えるかというとそうではありません。前走で掲示板を外していた馬は[1-3-2-57](過去9年間)と不振です。前走で3着以内だった馬は［7-4-5-30]で、前走1着馬は[5-2-3-13]と、好調馬がしっかり結果を残すレース。

　ダートの長丁場に針路を定めてから5戦4勝のアポロケンタッキー、ジュライSを6馬身差で圧勝しいよいよ本格化気配のマスクゾロ、ダートに転身してから2戦2勝と底を見せないピオネロ。前走オープン特別の勝ち馬3頭に加えて、ジャパンダートダービーを完勝したキョウエイギアも日本テレビ盃を取り止めてこちらに出走予定と、例年になく豪華な顔ぶれになりそうです。

　しかし、あくまでここはハンデGIII。本当のトップクラスは南部杯、武蔵野S、日本テレビ盃などから始動するのが普通で、シリウスSに出てくる組のハードルはそれほど高くありません。

　ここは、前走準オープンを勝ったばかりのミツバに期待します。全5勝のうち3勝が阪神競馬場というコース巧者で、阪神ではいつも強烈な末脚で突っ込んできます。道中で気を抜くようなズブさがあるので、距離延長はおそらくプラス。

　他の人気馬たちはいずれも前々で動けるタイプで、早めに潰し合う展開が予想されるので、ワンテンポ遅れて仕掛けるこの馬にとって差しやすい流れになりそう。シリウスSはゴール前での逆転劇が何度も繰り返されたレースでもあり、絶好の狙い目となります。

　アポロケンタッキーは白山大賞典へ出走する可能性もあります。交流重賞にも使える賞金をすでに積んでいるわけで、ハンデGIIIならば格上に近い存在です。休み明けも苦にしないので、こちらに回ってくれば当然主力候補。

　マスクゾロは主導権を握れなかった場合は思わぬ脆さを出すことがありますが、ここは手頃な頭数になりそうですし、先行型も多くありません。ピオネロは器用さがあって阪神も問題ないでしょう。ただ、前走は相手が手薄だったので、ここが試金石になります。

　キョウエイギアのジャパンダートダービーは時計的には平凡ですし、負かしたケイティブレイブがその後1番人気で2連敗。レースレベルに疑問符がつき、古馬初挑戦では手放しで飛びつけません。トラキチシャチョウはどちらかというと京都コースがベターですが、阪神でも[1-3-0-2]と堅実に追い込んできます。平安S(6着)よりは相手が楽になっており、馬券圏内食い込みに要警戒。

【上位拮抗】少頭数ながら、出走馬はハイレベル。ダートで見違えるような走りを続けている、08ピオネロを本命に推す。近2走の内容はいずれも優秀で、稽古での動きもますます快調。3連勝が十分に期待できそうだ。相手が難解だが、06ランウェイワルツと10メイショウイチオシを上位に評価。01マスクゾロ以下も差はなく、接戦である。

【小波乱】カゼノコは状態がアップ。仕上がりのいいランウェイワルツ。容易にはバテないアポロケンタッキーも怖い。

指数はどの馬もそれなりに良い。ただ平均値トップ▲ピオネロは距離もコースも初というのが不明点。前走値でそれを上回る116持つ☆マスクゾロも距離未経験の平均値3位。ならば前走88の大凡走でも2走前阪神同距離コースで114の逃げ切りをしている◎メイショウイチオシにその再現を期待してみるのもありではないか。要するに指数では2走前と同じだけ走れば頭まであるということ。人気がなささそうなので一発期待する。

JpnI勝ちで勢いに乗る4キョウエイギアが中心。56キロのハンデは魅力でうまく先行力が生かせればチャンスはある。次位は1マスクゾロで上り調子にあり積極策から押し切れる。▲は8ピオネロで距離延長はプラスで決め脚勝負なら互角。