ダノンプレミアムは母が持つダンジグ4×3の影響で、この時期のディープ産駒にしては後駆が強靭で、“お利口なミッキーアイル”という趣がある。ここもパワーとスピードで圧倒のシーン十分。

　タワーオブロンドンは二つのニアリークロスを軸にした好配合で、全体にミルリーフの斬れ味も増幅しており、ゴーンウエスト系のマイラーにしては追ってシッカリ斬れる。末脚の質はショウナンアデラのようなイメージだ。

　母父ダラカニは凱旋門賞や仏ダービーに勝った名馬で、その父ダルシャーンも仏ダービー馬。フレンチな斬れ味をよく伝えるラインだが、こういうフレンチな斬れ味で差す馬に乗せたらフレンチの鉄人が一番達者で、たとえば母父ダルシャーンのレッドエルディストもルメールとのコンビでは2戦2勝だ。

　ルメールがデビュー戦からコンビを組みつづけてタメて差すケイバを教えてきて、京王杯ではそのイメージどおりに斬れただけに、阪神マイルでも斬れ味が鈍ることはないだろう…という信頼感がある。

【プレミアムもののフォーム】ダノンプレミアムは世代の中枢となるディープインパクト産駒。新馬戦の走破タイムは1分48秒7(やや重)、テレビ画面を突き破りそうなド迫力で後続を4馬身とチギリ捨てたが、続くサウジアラビアロイヤルCも、やや重という条件下で、あっさり1分33秒0のレコードをマーク。1000m通過・58秒3というミドルラップを素早く二番手で構え、11秒5-11秒5-11秒7(3Fは34秒7)というレースラップを0秒3上回る好ラップで、悠々トップで駆け抜けた。馬体は482キロと手ごろ、グッと沈み込む水平首、スナップの効いた手返しも、めったにお目にかかれない上級フォームだ。

　対抗一番手はタワーオブロンドン。早仕掛けで2着に惜敗したクローバー賞を糧に、続くききょうSは後方一気を心掛ける。前半5F・57秒3というHペースも味方したとはいえ、差し味を学習させた。前走の京王杯2歳Sは、一転前半5Fは59秒3のスロー。ラスト3Fは11秒2-11秒1-11秒5(3Fは33秒8)という速い上りとなったが、ひやひやするほどギリギリまで追い出しを我慢。残り2F標識から鞍上の合図にこたえ、上り33秒2という加速ラップであっという間に全馬をのみ込んだ。1F延長も、これなら大丈夫。朝日杯FSのタイトルが視界に入った。

　割って入ればダノンスマッシュ。新馬戦は2着に取りこぼしたものの、二戦目の1分21秒9というタイムは、ペースこそ異なるものの、前記タワーオブロンドンのききょうSと0秒2差だった。続くもみじSも上り3Fは推定11秒8-11秒6-11秒2という加速ラップを描いており、こちらもマイル延長不問。

　ステルヴィオは、新馬・コスモス賞を連勝。2着に敗れたものの、サウジアラビアロイヤルCでは、上り33秒5という豪脚を披露した。ただ、前走あたりから、走るのを何か嫌がっている素振りを見せる。阪神マイルは決め手が生きるコースではあるが、東京と同じ位置からでは踏み遅れがあるかもしれない。

　ダブルシャープは、クローバー賞で対抗馬を一蹴した実績がある。札幌2歳Sの直線も印象深い。サウジアラビアロイヤルCは、北海道から遠征で、かわいそうなくらい発汗していたが、渡辺厩舎に転厩。阪神はホームとして出走できる。

　ファストアプローチは、近走の9-10Fは「お試し」。札幌1500mのラップおよびムチっと張った肉厚な体型は、マイラーのソレだ。

　前売りでは○ダノンプレミアムが1番人気で、そのままいきそうな雰囲気。ただ予想としては◎ステルヴィオの逆転に賭けたい。

　前走芝1600m以上の新馬か500万条件を勝ってきた馬がいない今年は、前走重賞組有利。その中でもマイル以上の距離を好走していた馬は有利なので、サウジアラビアロイヤルカップ組重視まではセオリー通りというところ。

　そこから◎○の序列を決めたのは過去3年の結果からだ。阪神に移ってからのこのレースはかなり差し追い込み色が強い。馬券に絡んだ9頭のうち過半数の5頭が4角10番手以下からだった。

　逆に前走は◎が33.5秒の上がりを使っても届かないレースだったわけで、コースと展開の助けがあれば逆転は可能。◎からの馬単をメインとし、逆転できなかったとき用の3連複と併用で。

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【上位拮抗】4戦3勝。とくに、ここ2戦の勝ち方が良い3タワーオブロンドン。1ハロン延長の距離不安も囁かれるが、反応は鋭く操縦性は高そう。広い阪神コースならば、不利なく自分の競馬ができるはずだ。8ファストアプローチは前走2000mからのマイル参戦。フットワークの大きい馬でワンターンの同コースは合っているはずだ。14ダブルシャープは中央転厩初戦。未知の面は大きいが、実際◎に先着の過去あり。札幌2歳Sの強烈な内容を考えると、いきなり走られても驚けない。

　◎ダノンプレミアムは｢ディープインパクト×インティカーブ｣という組み合わせ。母方にデインヒルを持つディープインパクト産駒なので昨年の優勝馬サトノアレスと配合構成が似ており、｢父ディープインパクト、母の父インティカーブ｣の組み合わせはダービー2着馬サトノラーゼンと同じ。母の父インティカーブはエリザベス女王杯(G1)を連覇したスノーフェアリーの父として知られ、欧州のロベルト系ながら日本向きの軽さを備えている。

　前走、サウジアラビアロイヤルカップ(G3･芝1600m)は、稍重のコンディションながら前後半46秒1-46秒9という緩みのないラップ。このきつい流れを2番手から押し切った。1分33秒0は2歳の芝1600m戦で歴代2位に相当する出色の好タイムだった。

　阪神芝1600mの2歳戦種牡馬成績は、ディープインパクトが連対率34.2%とずば抜けた成績を挙げている。当条件で産駒が10走以上し、なおかつ産駒が稼働中の種牡馬のなかで断然トップの成績で、2位ゴールドアリュールに7.5ポイントの大差をつけている。ダノンプレミアム級の実力馬が出走すればまず崩れることはない。

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

　小回りで器用さが必要な中山から、直線が長い阪神外回りへ。2歳牡馬のチャンピオン決定戦・朝日杯が生まれ変わって4年目を迎える。今年からはホープフルSがGIに昇格したこともあって、伝統の2歳王者決定戦もその意味合いに変化が生じることになるだろう。しかしながら、2歳マイルの頂上決戦として、変わらない部分も当然少なくない。

1.前走1着馬が強い

　トーナメントの決勝戦のような位置づけにあるレースで、前走で負けていることはそれだけで割り引き材料になる。前走で1着だった馬が最近では9連勝していて、2着も過去10年で5頭までが前走1着馬だった。

2.差し・追い込みが優勢に

　これは阪神移設以降3年間で顕著な傾向。中山で行われていた当時は逃げ・先行タイプに優位なレースだったが、近3年の連対馬で4コーナーの位置取りがもっとも前だったのが、一昨年2着のエアスピネルの6番手。それ以外はすべて4コーナー10番手以下だった。直線が長いコースのGIマイルを早め先頭で押し切るのは簡単ではない。

3.11月に使われているのがベター

　2か月半以上の休み明けでこのレースを制したのは、最近10年では2008年のセイウンワンダーのみ。最近10年間の連対馬20頭のうち、18頭は11月にレースを使われていた。昨年は10月のサウジアラビアロイヤルC以来だったダンビュライトが2番人気13着、2014年は9月の札幌2歳S以来だったブライトエンブレムが2番人気7着、2013年は10月のデイリー杯2歳S以来だったアトムが1番人気5着。

　タワーオブロンドンは京王杯2歳Sの勝ち馬。関東馬ながらききょうSで阪神コースも経験済みなのも、朝日杯を見据えての布石と考えられる。初戦は逃げ切ったが、次走から控えて差す競馬を教え込まれて、前走はスローペース、前々走はハイペースをともに完勝。本質的には短距離タイプとも考えられるが、現時点の経験値、完成度を考えればマイル戦も大きなハードルにはならないだろう。

　ダノンプレミアムはサウジアラビアロイヤルCを2歳コースレコードで勝って2戦2勝。今回はGIの強敵相手に早め先頭から凌ぎきれるかどうかがカギになる。ヒシコスマーはハミ替えの効果があって万両賞を完勝。あの勝ちっぷりならGIでも。ステルヴィオのサウジアラビアロイヤルC2着は開幕週で外々を回らされてのもので、敗れてなお強しの内容だった。

　以下、新種牡馬ロードカナロア産駒の素質馬ダノンスマッシュ、大型馬でコース替わり歓迎のファストアプローチ、久々を叩いた上積みを見込めるケイアイノーテック。

【前走破格】前走のサウジアラビアRCが「破格」の内容だった01ダノンプレミアム。かなり先行指向の強いメンバー構成となったが、それでも押し切れるだけのスタミナと底力がある。稽古での動きは相変わらず素晴らしく、好仕上がりであるのは間違いなし。相手は、差し脚のある03タワーオブロンドンと14ダブルシャープを上位に取った。◎-○▲の組み合わせから流す3連複・3連単主体で勝負だ。

【小波乱】ダノンプレミアムはセンス上々。粘り強いケイティクレバー。ファストアプローチはこのコースが合う。

指数が跳ねている馬を狙うのは2歳GIのセオリー。初戦を81で勝ち2戦目をさらに109で勝つという滅多に見ない指数を持っている◎ダノンプレミアムが軸になる。同じく○ステルヴィオも同じ傾向の馬。この2頭は外せない。だがこのレースは3頭目の薄めを捕まえないといけない。以下も指数が伸びている馬を押さえていく作戦。▲ダノンスマッシュ。一発は☆ケイアイノーテック。

潜在能力は極めて高い1ダノンプレミアムが断然。前走のレコード勝ちの圧勝から好枠でロスなく運べれば楽勝する。焦点は2着争いで筆頭は12ダノンスマッシュ。スピードがあり先行策から好走は可能。▲は3タワーオブロンドンで末脚は鋭く上位争いは必至。

　同じ舞台で行われた先週の阪神ジュベナイルFは、1分34秒3の決着タイム。けっして低くはない今年のメンバーレベルを考えると、阪神移設後の最速決着どころか1分33秒台に突入してもおかしくはない。絶対能力の戦いとなるなら、サウジアラビアRCで1分33秒0の驚異的レコードをマークしたダノンプレミアムの出番となるのだろうが、先行したとはいえ、過去2戦とも最速の上がりをマークしたわけではない点が気懸かりだ。ダノンを前に見ながら運んで、キッチリと捉えるだけの決め手を持った馬に狙いを定めたい。

　◎はタワーオブロンドンとした。京王杯2歳Sの勝ち時計は、朝日杯でも2着だった昨年のモンドキャンノの勝ち時計と同タイムだが、上がり3ハロンは大きく上回る33秒2。明らかにモンド以上の能力を示したと言える。2ヶ月以上もレース間隔が空いたサウジアラビアRC組と比べても、はるかに有利なステップであり、藤沢和厩舎のレース連覇が濃厚と見た。

　相手筆頭は、当然ダノンプレミアムとなるが、以下はひとひねりしてケイアイノーテック、ファストアプローチへが本線。押さえに、カシアス、ダノンスマッシュ、フロンティアまでとした。