【新・怪物牝馬伝】
ラヴズオンリーユーは歴代最速のタイムで、
オークスをレコード勝ちした逸材。京都1800mの新馬を33秒9で一閃。続く
白菊賞は14キロ減、452キロに馬体が細化したが、1000m通過・58秒4というハードなペースを上り33秒9で外一気。1分33秒6という走破タイムは、一週前に行われた古馬GI・
マイルCSと、わずか0秒3差というHレベル決着だった。
一冠目の
桜花賞には間に合わなかったが、
忘れな草賞から
オークスへと
アタック。レースは、1000m通過は59秒1の平均ペースで展開、5F通過以降もピッチは緩まず、2000m通過は1分58秒9。ラスト4Fめから11秒7に突入、最後の3Fは11秒4-11秒6-12秒3という猛ラップが続いたが、最後にもう一段ギアが上がり、最後は力でねじ伏せる完勝。
ジェンティルドンナ(後の三冠牝馬)が保持していた2分23秒6という
オークスレコードを、才能と力で2分22秒8に塗りかえた。半兄の
リアルスティールは、古馬となりドバイのGIを制覇。血統的に懐も深く、鍛えつつ木曜日発表の体重は480キロに増量。筋金入りの身体を造り上げている。イレ込み防止のための装備(二重メンコ)も万端。半年ぶりの実戦、古馬とは初対決になるが、ど真ん中の豪速球で勝負。
第一本線は
スカーレットカラーの決め手。デビュー時438キロだった身体は472キロにビルドアップ。二走前の
クイーンSは札幌の洋芝で上り33秒4という破格の末脚を駆使。完成形の予兆はあったが、
府中牝馬Sは、前半の5F通過は58秒3のミドル、後半4Fはすべて11秒台。
府中牝馬S史でも屈指のHレベル決着を、レースの上りを1秒1上回る、33秒2で一閃。走破タイムは稍重条件下で1分44秒5、良馬場で行われた一週前の
毎日王冠と、わずか0秒1差は凄い。2200mは初めてになるが、東京であの豪脚が使えるのなら、直線平坦コースの京都は、さらに爆発力が生きる可能性が高い。
割って入れば
クロノジェネシス。
桜花賞は追い込み届かずの3着、
オークスも乱ペースを早めに追いかけ3着入線。春二冠は体調維持にも気を遣わされたが、
秋華賞は狙いすまして20キロの増量。発馬はスンナリ、水気の残る重い芝を中団から徐々に追い上げ、直線二枚腰を繰り出し後続を2馬身と完封。半姉の
ノームコアは4歳春
ヴィクトリアマイルを東京1600mのトラックレコードで急襲し、今なお進化し続けているが、妹も中距離戦線のGIで確変の真っ最中。前走後のアフタケアーもほぼ安全、世代最強馬・年長古馬にくらいついていく。
連下筆頭は
ウラヌスチャーム。タイトな小回りやスローだったり、条件に恵まれることが少なく重賞勝ちはまだないが、
中山牝馬S2着など、終いは必ず強靭な末脚を使う。
京都大賞典は7着に終わったが、コースは経験できた。鞍上はマーフィー、枠は4番。イン一気に馬群を割る、大胆なレース構築が頭にあるはずだ。
ラッキーライラックは、
府中牝馬Sは勝ちに行っての、格好の目標にされながらの3着。内容自体は一番といってよく、スミヨンには、頭を上げる癖を制御――課題となる残り100mを我慢させ、2番枠からロスなく進め持たせる技術がある。
ポンデザールは目下破竹の4連勝中、前走はオープンに挑戦してさらに着差が開いた。56キロ、初距離も一気に超える勢いを感じる。