【血統をたどれ】
エクランドールは、兄
フィエールマンに
シルエットの似た、お尻のちっちゃな女の子。天分のほどもよく似ている。新馬戦は430キロで登場、上がり3Fのレースラップは11秒7-10秒9-11秒1(33秒7)。対する自身の上がりは33秒1、ラスト2Fは10秒台の加速ラップで駆けた。続戦はマイナス8キロ(422キロ)、体重は減っていたが、新馬戦時より歩きが力強く
バランスもしっかりとれている。1000mは61秒8のスロー、前残り必至。取りこぼしのないよう、いつかのダービーと同じ「
レイデオロ乗り」――向正面でスルスルと二番手に押し上げ、上がり3F・推定11秒4-11秒0-11秒4(33秒8)という二枚腰を駆使、ゴール前は後ろをチラリと振り返る余裕さえあった。身体はちっちゃいが、やっぱ器はでっかい。テッポウ使いや成長・変化度合は、兄に倣え。
手塚調教師もこの血統は手の内に入れている。春の調教は3-4Fが中心だったが、秋は長め6Fから時計が出せるようになり目に見えて体力アップ。自動計測となり上がり1Fの数字は何故か手動より速くなったが、本追い切りの11秒4という数字と伸びは出色。
第一本線は
メイサウザンアワー。祖母は2001年の最優秀古馬牝馬
トゥザヴィクトリー。
母ディナシーは、2006年のセレクトセールで6億3000万円で落札(未出走)。あの日のあの時のハンマーの音が、今でも頭に残っている?。なんて、7番仔は
ノヴェリスト産駒、四肢も首も頑丈な494キロの牝馬。二走前の
フローラSは狭い内に進路をとったのが裏目。切り返すロスが生じ、0秒2差の4着。
あと一歩で
オークス出走権を逃したが、
カーネーションCは馬の気に任せ二番手、前半1000mは62秒5の超スロー。さていつ追い出そうか。内から一旦何頭か馬体を並べてきたが、よほど力関係に自信を持っていたのだろう。直線中盤まで手綱はピクリとも動かず。残り2F標識を過ぎ、満を持してひと気合い注入。11秒3-10秒9-11秒5(3Fは33秒7)という高速ラップで堂々のフィニッシュ。ゴール板をすぎてもグンとひと加速していた。上がりの数値は精密。重心低く、重い馬場も、距離延長もOK。元々馬っぷりはいい馬ですが、ひと夏を越えさらに体も調教もグンと成長。重賞ホースのような貫録がついてきた。
ファインルージュは、
フェアリーSをドトウの一気差し。レコードで決着をみた
桜花賞を1分31秒2で3着に食い下がった。マイルなら文句なしの重賞級――ただし2000mは、福永Jのデリケートな操作に頼る部分が多くなる。
惑星は
プレミアエンブレム。母はGIマイラー・
メジャーエンブレム。成長過程はゆっくりだが、前走は1000m通過・59秒6のミドル、ラスト4F・11秒9-11秒9-11秒9-12秒5(3Fは36秒3)というタフな流れを、自身35秒8で快勝。走破タイム・1分47秒8は、翌週のGIII・
クイーンSと同タイムだった。
クリーンスイープはGI馬・
スイープトウショウの娘。腰や胸に筋肉がつききっておらず、ふらふらして使える脚もまだ短いけれど、前走の福島戦は好位のポケットで上手く脚がたまり、鮮やかなイン強襲に成功。稍重条件下で時計は地味だが、走破タイム・1分49秒1は、メインの
七夕賞の1800m通過・1分49秒4より0秒3速く、レース精度は見た目の数字以上に高い。
ハギノピリナは
オークス3着。無欲の直線勝負がハマったことも確かだが、二走前の2分12秒7という記録は、湿り気が残る。馬場差1秒など差し引きすれば意外に良質。コーナー4つの中山2000mという舞台が向いているとは言えないが、
オークスは決してフロックではない。
トウシンモンブランの勢いも侮れない。