【体と切れ戻る】
ナミュールの才能にこだわる。牝系の大本は
キョウエイマーチ、近親
マルシュロレーヌはBCディスタフを制圧した。
ハービンジャー産駒ながら、母系のスピードを満載した切れ者マイラー。中京・芝マイルの新馬戦は推定11秒9-10秒8-10秒6(33秒3)という超速ラップを計測。二戦目の
赤松賞は、後半5Fはすべて11秒台。上り3F・11秒0-11秒4-11秒7(34秒1)のレースラップを1秒1も上回る、33秒0で直強襲を決めた。時計の速いCコースとはいえ、1分33秒8という走破タイムは、GIII・
アルテミスSより0秒2速く、記録の精度は明らかに上。
阪神JFは中二週、430キロ(-10キロ)に馬体細化。元々発馬はあまり上手ではないが、腰回りの筋肉が落ち踏ん張りが効かず、17番枠で派手な出遅れ。道中は最後方で我慢、荒れたインに進めるしか路がなかったが、着差は0秒2。馬体が戻り、スタートに気をつけさえすれば巻き返しは当然。最終追い切りは終い重点ながら手綱を緩めると矢のような伸び。横山武Jも特性と才能を感じとった。
対抗は
サークルオブライフ。母は芝1200-1400mで3勝、平坦向きの栗毛のスピード馬だったが、
エピファネイアを配合、478キロのズシリと重量感のある、度胸も据わった黒っぽい鹿毛馬が誕生。新馬戦は
イクイノックス(後に東スポ杯圧勝)の3着に敗れたが、中山マイルの未勝利をひとマクり、
アルテミスSは直一気。
阪神JFは長距離輸送も余裕のよっちゃん。テンの2Fめに10秒4という高速ラップが登場したかと思えば12秒6に落ちたりする、アップダウンの激しいミドルにも、先行勢のアタフタ劇をよそにじっくり後方待機。上り3Fのレースラップは12秒1-10秒9-11秒8(34秒8)。正味2Fの瞬発力勝負となったが、レースの上りを0秒9上回る33秒9の伸びやかな末脚を披露。着差は半馬身ながら、力でねじ伏せる完勝だった。度胸も体力もあり、ハードな調教メニューも存分なく消化。
トライアルだから云々という課題や弱点もない。
まとめて負かせば
ルージュスティリア。母は北米7勝(GI・メイ
トリーアークS、サンタ
バルバラH、サンタアナH勝ち)。新潟・芝1800mの新馬戦は466キロで登場したが、数字以上に馬体は長く、いわゆる短背胴長。スタートは
ロケット、しかし1000m通過は65秒9、歩いているような超スロー。折り合いに四苦八苦というワケではないが、構想より窮屈な道中となったが、他とは脚力が違うのだろう。直線入り口ではもう先頭。予定より追い出しが早くなってしまったが、上り3Fは推定11秒1-10秒4-11秒2(32秒7)。新潟外回りは残り2F地点で、ちょっとした素材の馬なら10秒台が出せるが、そのラップが速ければ速いほど能力が高く、10秒4という数値は文句なしのS級。まだキャリアは一戦、体型や走法は
桜花賞というより
オークス向き。距離短縮、重賞マイルの流れにどう対応するか、課題は山ほどあるが、CWを11秒フラットで駈けるド迫力の調教等、あの
シーザリオを彷彿させるスケールの持ち主。既成の勢力図を一気に塗りかえる可能性を秘めている。
ステルナティーアも、馬体が戻り本領発揮。全兄はGIマイラー・
ステルヴィオ、新潟マイルの新馬戦はラスト3F・11秒5-10秒5-11秒3(33秒3)という高速レースラップを32秒7で一閃。
サウジアラビアRCは0秒1差遅れをとったが、東京の坂でもラスト2Fめに10秒9というHラップを含む33秒4の瞬発力を計上した。阪神JFは10キロ減、密集馬群の中で前に乗っかかり躓き、
バランスを崩してしまった。脚元の状態を確認しながらの苦しい競馬となり、7着に伸びあぐねたが、身体さえ戻れば平常心で進め、天性の切れも戻る。
ウォーターナビレラは、阪神JFは勝ちに行っての3着。強靭な心臓と体力を持ち、緩急自在のレース運びが可能。青鹿毛の肌艶はなんともたとえようのない輝きがあり威圧感が漂っている。
ラリュエルはつい先日サウジの重賞レースで大暴れした
ステイフーリッシュの妹。まだパドックで尾っぽを振ったり、この一族独特の気難しさも遺伝しているが、あの体の造りと精神状態でも、
クイーンCは内からスルスル一閃見せ場を作った。今度は地元関西、身体もふっくら見せ上積みも期待できる。