去年のようなスローならローズキングダムでいいと思うが、バテないのが取り柄のコスモラピュタとのコンビで和田が逃げるとなると、多少なりとも後続を脚を使わせるようなラップを刻んでくるはず。

　フミノイマージンは捲りの馬だからこれも外回りならスロー希望で、となるとステイヤーのギュスターヴクライと直線長い2400mベストのオウケンブルースリ、この二択になるがどちらも万全の仕上げかどうかが怪しい。

　というわけで、格下もいいところだが◎ヒラボクビクトリーの大駆けに期待した。
ホエールキャプチャのイトコで母母はナシュワン×リマンドとスタミナの塊、そこにサンデー、アルカセットだから重々ししぎるぐらいだが、母はヘイロー≒レッドゴッドのニアリークロス2×4だし、アルカセットの代表産駒になって不思議ない好配合ではある。

　この血統で2000mの高速決着で重厚に伸び続けて差した前走内容がいいし、晩成ステイヤー血統が本格化を辿ってきたとみるべきで、距離延長と陣営も太鼓判を押すデキの良さ、ここに期待したい。

　近年の京都大賞典で必ず重要視する調教条件があります。それが「最終追い切りが栗東坂路で終い最速ラップ」というもの。ちなみにどういうラップがそれに該当するかというと、

2008年　トーホウアラン(4番人気1着)
14.3-13.3-13.1-12.9秒

2011年　オウケンブルースリ(3番人気3着)
14.3-13.4-12.9-12.4秒

　坂路時計を1Fごとに分けて、ゴール前の1F、一番右の数字が一番速い時計になっていれば終い最速ということです。上記に掲載したのは該当馬から抜粋したもので、全体的な数字は[4-0-3-4]。複勝率64%と馬券の軸として優れた成績を残しています。

　今年の該当馬は2頭いましたが、ビートブラックはかねてから好走凡走の基準としている、追い切り時に舌を越しているかどうか、という点で大幅に減点があったので、自然と◎メイショウカンパクの流れになりました。

　前走オールカマーでは勝負どころ手前で前が塞がる不利。そこから外へ持ち出して、届きそうにない位置から6着まで差を詰めており、確実に脚を使えるようになってきました。そこから200mの距離延長はむしろ歓迎すべき。今週の追い切りも一杯に追えば、併せた相手を楽に交わしていただろう手応えでしたし、乗り替わったジョッキーとの手も合いそうです。

　○フミノイマージン、▲ローズキングダム、△ギュスターヴクライは過去の好走調教タイプから抽出しました。


1.ミッキーペトラ
今回：標準少め併用
前回：標準トラック

2.マルカボルト
今回：標準トラック
前回：標準トラック

3.レックスパレード
今回：標準多め坂路
前回：標準多め坂路

4.フミノイマージン
今回：標準併用
前回：標準トラック

5.マカニビスティー
今回：標準多め坂路
前回：標準少めトラック

6.ギュスターヴクライ
今回：標準坂路
前回：標準併用

7.コスモラピュタ
今回：一杯平均坂路
前回：一杯平均坂路主体

8.ローズキングダム
今回：標準坂路
前回：標準坂路

9.オウケンブルースリ
今回：標準坂路
前回：一杯平均坂路

10.ビートブラック
今回：急仕上げ坂路
前回：標準坂路

11.グラスゴッド
今回：一杯平均坂路
前回：一杯平均併用

12.ヒラボクビクトリー
今回：標準少め坂路
前回：標準坂路

13.フォゲッタブル
今回：標準多め坂路
前回：標準多め坂路主体

14.メイショウカンパク
今回：標準坂路
前回：標準坂路

　GII格付けのS59年以降の28年間から、■消える馬・□残る馬をチェック。H6年は代替阪神2500m。なお、文中の「掲示板」は着順掲示板(5着以内)のこと。

■オウケンブルースリ…前2走とも1800m以上戦で掲示板外の6着以下かつ1秒以上敗退の斤量57キロ以上馬は[0-0-1-22]

■グラスゴッド…前走非重賞戦使用馬のうち、斤量軽減がない馬は[0-0-4-27]

■ヒラボクビクトリー…前3走ともG3以下を使用し、その中に2000m以上の非重賞戦芝で連対外がある馬は、前走芝G3連対またはOP戦1着馬を除き[0-0-2-14]

■ビートブラック…斤量58キロ以上馬のうち、前3走内に掲示板外の6着以下が2回以上ある馬は、京都芝(H6年は阪神芝)4勝以上の馬を除き[0-0-1-18]

■フォゲッタブル…前2走ともG2以下戦、斤量57キロ以下で6着以下は[0-0-1-19]

■マカニビスティー…芝1勝以下は、前2走内に芝G1またはG2戦で5着内好走があった馬を除き[0-0-0-21]

■マルカボルト…前3走内に1800m以上の非重賞戦で0秒6(約3馬身)以上の敗退歴がある馬は[0-0-5-38]で、この中には前走重賞戦連対馬が5頭いたが、再度連対には至らず

■ミッキーペトラ…前走G2以下芝良馬場で、斤量58キロ以下かつ6着以下かつ1秒以上敗退の6歳以上馬は[0-0-1-15]

■メイショウカンパク…夏8月以降に3戦以上消化し前走敗退は[0-0-2-12]

■レックスパレード…前走ダート戦使用馬は[0-0-0-12]で、掲示板は4着が2回だけ

□ギュスターヴクライ…前走上半期のG1戦、斤量57キロ以上で5着内好走していた6歳以下馬は[9-6-2-11]

このうち、
(a)京都芝を経験してゼロ勝馬は×
(b)前走芝良・稍重、斤量58キロ以下で0秒4以上敗退(体重増減10キロ以上時を除く)の斤量59キロ馬は×
(c)前走8キロ以上体重減あり、当日も8キロ以上体重減馬は×

以上の3項目クリア馬は[9-5-0-1]、着外1回は妨害失格馬の影響により落馬したH13年2番人気ナリタトップロードでこれは度外視。

　ギュスターヴは前走G1天皇賞・春1.3秒差の5着(この時の3着馬ウインバリアシオン-G1戦2着2回馬-からは0.3秒差)から斤量減57キロでの出走だが、これはH16年の優勝馬ナリタセンチュリーと酷似。

　ナリタも前走天皇賞・春1秒7差の5着(1着馬は大逃げ10番人気イングランディーレ。この時の3着馬シルクフェイマス-次走G1宝塚記念2着馬-からは0秒3差)から斤量減57キロでの出走だったが、ひと夏を越して上昇軌道に乗った。

　休み明けの実績馬が好走するレースではあるが、今年の場合は一頓挫あった馬が多いだけに、過去の傾向から残り4-5Fのロングスパート適性が高い馬を狙いたい。

　本命はメイショウカンパク。中盤以降のラップが落ちない展開で｢115｣、｢113｣をマークしているように、タフな展開になるほどポテンシャルを発揮するタイプ。前走のオールカマーは6着ながら、苦手の急坂で3角過ぎで致命的な不利がありながら、指数自体は上げてきている。今回が初の京都外回り長距離戦になるが、指数的にはこの舞台が最適の可能性すらある。

3番：デキ良いし、大逃げすれば。
4番：凄い迫力。ただ展開微妙。
6番：休み明けも仕上がる。
8番：フックラ好仕上がり。

【力で奪ったGIIの札幌記念】本年の札幌記念の、フミノイマージンの勝ちタイムは1分58秒7。過去十年で第二位の好タイムだった。ラップをひも解くと、1000m通過は59秒5の平均ペース。格別な乱ペースのアシストを受けたというワケではないし、完調途上とはいえ、別定戦で、ダークシャドウを、外からかぶせるようにして競り落とした内容は秀逸。爽快な上がり34秒4だった。牡馬を相手に、主要GIIを確たる時計で快勝したパワーを、2400mでも素直に信頼。攻め馬からは体調のよしあしが見えにくいが、ローズキングダムは、久々が旬。昨年より1キロ減の57キロで戦える。ギュスターヴクライも、ギリギリ間に合った。叩き良化型だけに、少し印を落とそうかなとも考えたが、休養明けでモタついていた昔とは、馬が一段上のラインにいる。順調さを重視すれば、メイショウカンパク、マルカボルト。▲以下は、当日の体重や気配を見て、強弱をつけて欲しい。

　格はあっても近走内容が悪いか、近走内容が良くても格が足りないか、どちらかの馬しかいないようなメンバー構成。一応この中で両方備えているのは◎ギュスターヴクライかと考え、やや急仕上げを承知でこの馬を本命にする。△フミノイマージンだと脚質の極端さからそこまで思い切ったシルシは打ちづらい。

　問題は○以下の組み立て。穴馬として強調したいのが○マルカボルトだ。額面上は前走準オープン勝ちだが、昨年のAJC杯6着・中山記念4着という実績は今回のメンバー中ではむしろ上位のほう。先行力があって内枠なので、京都の外回りコースを生かしてインから抜け出せば波乱を演出することは可能だと見る。ただ、福永騎手はあまり極端な競馬をしないタイプでもあるので、▲コスモラピュタの単純な逃げ残りというパターンも想定して以下のような買い目を組んだ。

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【小波乱】フミノイマージンは札幌記念で並み居る牡馬を撃破。上がり3ハロンはメンバー最速で、ひと皮むけた感もある。折り合い面で距離延長も問題ない。ビートブラックは今春の天皇賞でGI初制覇。昨年の京都大賞典も2着と健闘しており、京都は得意の舞台だ。ギュスターヴクライは追ってしっかり伸びる。堅実なタイプで大崩れはない。ローズキングダムは昨年のこのレースの勝ち馬。近走は精彩を欠いているが、ポン駆けの利くタイプで一変に注意。あとはマカニビスティー、メイショウカンパクまで。

　◎フミノイマージンは「マンハッタンカフェ×ディキシーランドバンド」という組み合わせ。母シンコウイマージンはノーザンダンサー2×4で、これは「母にノーザンダンサーの強いクロスを持つ」という父マンハッタンカフェの成功パターンに合致する。母の父ディキシーランドバンドはスタミナと底力を武器とし、04年にアメリカで母の父ランキング首位に輝いた。ハイペリオンが豊富に織り込まれているので底力があり、成長力も十分。まだまだ強くなる可能性を秘めている。札幌記念のレースぶりから牡馬の一線級が相手でも見劣りはしない。