【資質信頼】ダービー・ハナ差2着の
フェノーメノは、ひと足早く、先週の
セントライト記念制覇で、秋の覚悟は示した。さて、今週の
神戸新聞杯。
皐月賞馬
ゴールドシップの、誇りを問いたい。ひも解けば、本年のダービー。走破タイムは
オークスに見劣るものの、2000m通過は、
オークスより0秒6も速い1分59秒4。二番手のウィ
リアムズと
トーセンホマレボシが、
ゼロスを動かす形で、身を切り、身を削りまくり、骨さえたつことさえ厭わない、Hペースの消耗戦に持ち込んだことを、残り3Fのレースラップ・11秒7-12秒0-12秒4が物語っている。
ゴールドシップの内田博も、スタンド前手綱をしごいて馬を動かし、好位のポジションを一度は奪いに出た。そう、
皐月賞とは一変。好位3番手から上がり33秒3で後続を振り切った、あの
共同通信杯のイメージと、ロングスパートを頭に描いていたかもしれない。しかし、スタート直後、外から
ディープブリランテ、さらに外から
トーセンホマレボシが、かぶせるようにして、コーナーに差し掛かった2F目は10秒8。11秒台のスローなら、押して行けばなんとか先行争いに潜り込むことができるが、根がズブい追い込み馬だけに、10秒台のラップにはついていくことができない。どこかで、「あまりにハマりすぎた
皐月賞」が頭をかすめ、描いていた位置取りよりも、後ろになってしまった可能性もある(人の心は読めないけれど)。しかも、3コーナーすぎ。
トーセンホマレボシのウィ
リアムズが、
ゼロスをつつきながら、再び11秒7とピッチを上げる。3番手以下とは大きな差が生じてしまったが、今春の
ビートブラックの天皇賞然り。長距離戦の大逃げというのは、いつもいつも、この間隔を埋める作業が実にデリケートだ(大概は、逃げ切りもしくは2-3番手の馬が残るものだが)。幅員の狭いCコース仕様もあって、直線は外。最速の上がりは示したものの、あの5着は、ギリギリと歯をかみしめる、消化不良の思いもあるかもしれないなぁ。なんて、ズバリとインを突いた
皐月賞は、歴史的内田の快挙ともいえるし、
ゴールドシップという馬は本来、動かしどころに工夫を凝らさなければならない馬である。その不器用は、
神戸新聞杯にも
菊花賞にも、たぶん古馬となっても、課題に残るだろう。瞬発力勝負型が多数の今となっては、「古い」タイプに属するステイヤーだけに、常に取りこぼしも覚悟しなければならないが、たとえ何かに先着を許しても、素材自体は3歳牡馬屈指の実力派ステイヤー。普通に勝ち負けでいい。ちなみに、基本的に攻め馬は動かない。本数云々を言われているが、北海道で意外に丁寧に乗り込み(坂路中心の春と違って、コース追いができている)、1か月がたった。逆転候補は
マウントシャスタ。器には器をもって、対抗したい。祖母は
クロカミ、母の父は
フレンチデピュティ。半兄はキラウェアに
ボレアスと、確かにダート色の濃い、たぶん本質はマイラーだろうが、この血統が、古馬相手の2200mの
宝塚記念で、一旦内からスルスル。あの5着に、字面や血イメージを超えるべき大器の相あり。宝塚で先着を許したのは、
オルフェーヴルに
ルーラーシップ、
ウインバリアシオン。4着の
エイシンフラッシュとは5馬身差、その4馬身あとの5着が
アーネストリーだった。やや押せ押せのローテで、馬が窮屈だった春と違って、調教の動きや仕草も実に伸びやか。2400mでも、正味3Fの瞬発力勝負が大勢。余裕があれば押さえに単。
マウントシャスタに、やっぱり距離の壁があれば、
カポーティスターの流れ込み。
新緑賞の、11秒3-11秒1-11秒1(自身の上がりは33秒0)という鮮烈なレースラップに、良質ステイヤーの可能性が見て取れる。休み明けをひと叩き、鞍上には
武豊。たぶん一発を狙っている。
ヒストリカルも、惑星より下には落とせない血統馬。さすがにダービーは売り切れの観が強かったが、
きさらぎ賞の上がり32秒8を、ゆめゆめ軽視してはならない。スケールはやや落ちるが、
ミルドリームも、新潟戦を上がり32秒7でここへ。