オールステイはフラワーアレイ(トラヴァーズS)やトーセンラーの甥で、母母はノーザンダンサー4×3にグーフド4×4、母はミスタープロスペクター4×3にノーザンダンサー4×4･5と代々クロスがうるさく、そこにアホヌーラなどアウトサイダー血脈を豊富に引き、強いクロスを持たないケープクロスを配した緊張→緩和のリズムがほめられる配合だ。
　ケープクロスはロジユニヴァースの母父でもあるダンジグ系でタフな馬場に向いた血統だし、ヴェイグリーノーブル-オリオールの血を引くだけに揉まれ込んだたときにどうかというのが唯一の不安点だが、明らかに追い不足だった前走を叩いての上積みも見込め、ここは勝てばアッサリとみる。

　マラムデールはライラプスの全妹でフサイチリシャール(父クロフネ)の3/4妹で、1800mは守備範囲だし洋芝も道悪もこなすパワーを持ち合わせているが、今の函館は道悪になるととてつもなくタフな馬場になるだけに、マイラー寄りの牝馬よりも中距離型の牡馬からのほうが入りやすい。

　函館芝1800mで行われる札幌2歳Sですから、過去に札幌芝1800mで行われたレースは参考外。では、2013年に函館芝1800mで行われたレースを参考に、と言いたいところですが、Cコースになってから、走破時計が大幅に遅くなっている状態を考慮すると、AコースやBコース時の結果を参考にするわけにもいきません。

　そうなると、4回函館、Cコースになってから行われた芝1800mを参考にするしかありませんが、全部で6鞍あった該当レースの1着馬と調教タイプは下記の通り。

・2歳未勝利
コスモディクシー/馬ナリ平均トラック

・大倉山特別
マイネヒメル/馬ナリ平均トラック

・2歳新馬
ロードフォワード/標準少めトラック

・2歳未勝利
ツクバアズマオー/急仕上げトラック

・知床特別
マウイノカオイ/馬ナリ平均トラック

・ライラック賞
ショウナンカミング/馬ナリ平均トラック

　走破時計が遅く、重い馬場であれば、標準多めや一杯平均といった調教をビシバシやっているタイプが勝っているのかと思いきや、意外にも馬ナリ平均や調教本数の少ないタイプが勝ち切っています。もちろん、馬体重が大きい(重い)馬でなければ好走できないといったこともなく、6頭はすべて500キロ以下。ロードフォワードは牡馬で434キロと、むしろ小柄な部類です。

　見た目のイメージと違う、軽快なスピードがあるタイプ。これを重点に置くと、調教タイプは、常に馬なりの追い切りを重ねた馬ナリ平均か、調教本数が少なくても仕上がるような標準少めや急仕上げを評価することになります。また、最終追い切りの併せ馬では先着もしくは、手応えが非常に良い同入も、軽快なスピードの裏付けとなるでしょう。

　◎レッドリヴェールは函館芝コースで3頭併せの最後方大外。それでも、持ったままの手応えで前2頭に追いついて、最後は交わしにかかる勢い。この追い切り内容は須貝尚介厩舎の勝負調教に該当しているので、それだけでも評価できます。函館芝は未経験ですが、追い切りでこれだけ動けるのであれば、適性がないとは思えません。

1.レッドリヴェール
今回:標準少めトラック
前回:馬ナリ平均坂路主体

2.ピオネロ
今回:標準トラック
前回:標準多め併用

3.バウンスシャッセ
今回:標準トラック
前回:標準トラック

4.ハイアーレート
今回:標準多め坂路
前回:標準多め坂路

5.メイショウスミトモ
今回:標準トラック
前回:標準トラック

6.マイネグレヴィル
今回:馬ナリ平均トラック
前回:馬ナリ平均併用

7.サングラス
今回:標準多めトラック
前回:急仕上げトラック

8.オールステイ
今回:標準トラック
前回:標準少めトラック

9.ロードフォワード
今回:一杯平均トラック
前回:標準少めトラック

10.マイネルフロスト
今回:馬ナリ平均トラック
前回:標準トラック

11.マラムデール
今回:標準少めトラック
前回:軽目トラック主体

12.ダンツキャノン
今回:標準多めトラック
前回:急仕上げトラック

13.トーセンシルエット
今回:軽目トラック
前回:標準少め併用

14.クリノコマチ
今回:連闘
前回:標準少めトラック主体

【卓抜したレースセンス】マイネルフロストは、初陣の東京・芝1800mを1分50秒9で完勝。ピタリと好位で折り合い、鞍上の指示に即座に反応。そのレースセンスも特筆モノだが、11秒7-10秒9-11秒1(3Fは33秒7)というレースの上がりに対し、自身のソレは33秒4。推定10秒台連続ラップは文句なし。次走のコスモス賞は洋芝の函館。右回り、やや重馬場にも対応し正攻法の競馬でグイとひと伸び。コース経験の利は大きい。体重も14キロ増と余裕残し。最終追い切りでは併走古馬に楽々先着。前走力走の反動も見られない。ただ、兄姉・近親にブラックタイプ不在。いずれ血統の確かさみたいなものを突かれる時がくるかもしれないが、札幌2歳Sは、普通に勝ち負け。対抗はコスモス賞3着のマイネグレヴィル。450キロ台の中型牝馬ながら、ブライアンズタイム産駒らしく走りはパワフル。時計のかかる洋芝適性を前走でも示した。しかし、着差はわずかでも、勝ち馬とは勝負付けは終わったように思う。コスモス賞組を脅かす新勢力の筆頭はバウンスシャッセ。新馬戦の走破タイムはスローもあって平凡だが、函館の洋芝を、推定11秒7-11秒6-11秒7・上がり35秒0は、ちょっとしたモノ。半兄は道悪巧者でなるホーカーテンペスト。荒れ馬場もドンと来い。ハイアーレートの福島1800mの新馬戦・1分52秒3は、ラップ構成は異なるものの、マイネルクレヴィルの1分52秒4と同質。美浦の坂路を11秒6で登板する脚力にも能力の片鱗がチラチラ。トモの甘い馬だけに、適度な荒れ馬場もたぶん合う。レッドリヴェールは、阪神1800mを上がり33秒3で一気差しを決めたステイゴールド牝馬。初陣は、ウィリアムズの腕で「走らされた」感じもあったが、直前の追い切りは、洋芝の感触を確かめつつ上がり11秒台でフィニッシュ。ピオネロに先着を果たし、出走態勢は万全。

　以前は各場の2歳Sというとその競馬場でデビューした馬どうしの対決だったが、ここへきて出走馬の流動性が増してきた。さらに今年は函館の新馬戦が全体的に低調だったということもあり、ここは函館デビュー馬に一切シルシを打たない予想をしてみようかと思う。バウンスシャッセあたりは正直未練が残るのだが、新馬勝ち当時の2着以下がその後も勝ち上がっていないので、特に贔屓はせず消してみる。

　軸は無難で申し訳ないが、◎マイネルフロスト。本当は阪神で新馬を勝ってきた馬を買いたいのだが、△マラムデール、▲レッドリヴェールはサイズが小さめで、○ピオネロで460キロ台。限界まで使い込まれた函館の馬場を考えると、なるべくガサのある馬を買っておきたいところ。それゆえ馬体重順のようなシルシになった。雨が降るようなら血統的に▲絡みを買い増したい。

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【波乱含み】かなりの混戦だが、ハイアーレートの馬場適性が高いとみて中心に指名。マイネルフロストは引き続き好位差しが可能とみて対抗に据える。トーセンシルエットは距離延長がプラスで前走以上も十分可能。ピオネロは仕上がり良好で素質的にも警戒が必要だ。バウンスシャッセは素質互角で流れに乗れれば食い込みも。オールステイは単騎逃げが叶えば押し切りが考えられる。

　◎トーセンシルエットは「トーセンダンス×スウェプトオーヴァーボード」という組み合わせ。6月の東京新馬戦(芝1400m)を10番人気で勝った際はフロックかもしれないとの先入観があったが、掲示板に載った他の4頭のうち3頭が勝ち上がり、そのなかにはダリア賞(OP)を勝ったマキャヴィティが含まれるレベルの高いレースだった。2戦目の函館2歳S(G3・芝1200m)も8番人気と評価は低かったものの、出遅れながらしぶとく追い上げて3着を確保した。重賞3着の実績がありながら人気にならないのは、1200mから1800mへの距離延長が嫌われているからだと思われるが、父トーセンダンスはダンスインザダークの全弟で、2代母の父はリアルシャダイ。決して短距離専用の血統ではない。母の父スウェプトオーヴァーボードは一本調子ながらパワーと持続力を伝える血で、3代母ダイナフェザー(オークス馬ダイナカールの全姉)の一族は道悪の上手さに定評がある。したがって、馬場コンディションが悪化して切れ味不要となった芝1800m戦はフィットする可能性がある。好位につけてレースの流れに乗れれば一発があっても不思議はない。

　コーナー4つという条件で行われる最初の2歳重賞。早期に勝ち上がった中距離馬にとって、数少ない目標レースになります。北海道シリーズの短縮に伴って、昨年から施行時期が一ヶ月繰り上がりましたが、フルゲートの激戦になるのは相変わらずです。今年は優先出走権を持つ新馬戦勝ち馬だけで出走枠のほとんどが埋まってしまう事態になりました。

　このレースには鉄の掟が二つあります。ひとつは「北海道組有利」。もうひとつは「牡馬有利」です。

　本州で勝ち上がって北海道で走った経験がない馬でここを勝ったのは、過去にロジユニヴァース一頭だけ。2着したのもアヴェンチュラがいるのみです。また、牝馬もこのレースは苦手にしていて、テイエムオーシャンやアヴェンチュラなど、のちのG1ホースもここは勝てませんでした。よほどの実力差が認められるのでないかぎり「北海道デビューの牡馬」を中心にするのが的中への近道です。

　オールステイは育成牧場で乗り込まれて速い調教時計を出さないままの出走で、デビュー戦では軽く見られていましたが、マイペース逃げから早めペースアップ、直線ではツクバアズマオー(先週未勝利勝ち)を突き放す完勝でした。先々週からの芝Cコースでは、逃げ馬が断然有利ですから、再度のハナが叶えばデビュー戦の再現は充分に可能です。

　マイネルフロストは東京でデビュー勝ち、函館ではコスモス賞勝ち。小回りコースに替わっても好位抜け出しのレースぶりに変わりはなく、安定感は充分です。この中間は函館に滞在しての調整で、さらなる体調アップが期待できます。

　マイネグレヴィルはコスモス賞で早め先頭から3着。「牝馬」というところが鉄の掟の二番目に引っ掛かりますが、安定した先行力としぶといレースぶりを見れば「牝馬の壁」を破る可能性も感じられます。今走ではマイネル軍団のエース・柴田大知騎手が参戦して手綱を取ります。

　ピオネロは阪神デビューの早期勝ち上がり。この中間は牧場に帰って調整されてさらなるパワーアップを図っています。バウンスシャッセは藤沢厩舎の大型牝馬で、一度使っての上積みは小さくありません。レッドリヴェールは阪神開幕週の新馬を勝って以来ですが、早めの函館入厩で臨戦態勢は万全。サンダラスは未勝利戦が長く脚を使ってタイレコードの完勝で、抽選を突破すれば侮れません。