アンタレスSが阪神ダート1800mで行われるようになったのは2012年。過去2回の優勝馬の調教タイプは、標準多め坂路主体(ゴルトブリッツ)、標準多め坂路(ホッコータルマエ)。2頭とも1番人気だったことを考えると、決して調教適性だけでの優勝でないと思いますが、追い切り本数が多いことはアドバンテージになると考えて間違いありません。

　標準多め坂路ということで、☆グレイスフルリープに◎を打つことも検討しました。最終追い切りで抜群の動きを見せ、橋口弘次郎厩舎の勝負調教にも該当。ただ、先行激化が予想されるメンバー構成で、1800mダート経験がないというのは、大きなマイナスだと思います。

　ここは追い切り本数が多い、乗込坂路の◎エアハリファ。こちらも最終追い切りの動きは抜群。2012年3着のシルクシュナイダーは最終追い切りを栗東坂路でラスト1Fが最速になるラップを踏んでいました。その決め脚が鋭かったことを思い出すと、同じ追い切りができた今年のエアハリファは、前記した今年のハイペースが予想される流れなら、まとめて差し切る可能性は十分にあるでしょう。

1.トウショウフリーク
今回：標準多め坂路
前回：地方

2.グレイスフルリープ
今回：標準多め坂路
前回：標準坂路

3.ミッキードリーム
今回：標準坂路
前回：標準坂路

4.ナリタシルクロード
今回：馬ナリ平均トラック
前回：標準トラック

5.クリールパッション
今回：乗込トラック
前回：標準少めトラック

6.クリソライト
今回：標準多め坂路
前回：標準多め坂路

7.グラッツィア
今回：一杯平均坂路
前回：標準併用

8.エアハリファ
今回：乗込坂路
前回：標準多め併用

9.ダノンバラード
今回：標準坂路
前回：標準多め坂路

10.ナムラビクター
今回：標準多め併用
前回：標準多め坂路

11.グランドシチー
今回：標準多めトラック
前回：標準トラック

12.ニホンピロアワーズ
今回：標準トラック
前回：地方

13.ソロル
今回：標準坂路
前回：一杯平均坂路

14.グレートチャールズ
今回：標準併用
前回：標準併用

15.クリノスターオー
今回：標準多め坂路主体
前回：標準坂路

16.ゴールスキー
今回：標準併用
前回：標準多め坂路

【衰えなし】ニホンピロアワーズの地力をダイオライト記念で再確認。フェブラリーSは8着と凡走したが、大一番の気負いか。調教で攻めすぎ、パドックでは、なんだか馬が萎んでしまったようにも見えた(元々前肢の曲がったゴツゴツした馬だが)。スローや左回りもあったろうが、盛りをすぎたのではないか――? そういう懸念も感じたけれど、ダイオライトを力でねじ伏せる完勝。58-59キロは[2201]。昨年のアンタレスSも、59キロを背負い、休み明けで2着。JCダート・1分48秒8圧勝のパフォーマンスまではどうかだが、ホームの関西圏のGIIIなら力は一枚上だ。

斤量差を突いて、逆転があればナムラビクター。調教で急に止まってみたり、まだ不確実な面は残るものの、仁川Sは1800m通過・1分50秒5を踏襲し、7馬身差の独走。きっかけ一つでダートシーンの頂点も見える器だ。フェブラリーSは12着と大敗したが、マーチSで、すかさずソロルは巻き返し。ただ、57キロは正念場。

良馬場の乾いたダートなら、東海S2着のグランドシチー。タメ逃げができるようになったトウショウフリーク。エアハリファも、1800ダート仕様のゆったりとした追い出しを、コーラルSでマスターできた。

　施行時期が少し前倒しとなり京都→阪神となったアンタレスSだが、4月は4月なので過去10年全体について好走馬の臨戦過程を調べてみると、前走オープン特別組の活躍が目立つ。過去10年で5勝している。ただ、勝ってきた馬でないと苦しく、勝ったにしても人気薄の激走ではだめ。オープン特別ならば確実に勝ち負け、というレベルであることが求められる。

　今回は◎ナムラビクターと○エアハリファの2頭が前走オープン特別1番人気1着なので、この2頭のいずれかが勝つ前提の買い目を組んでみたい。2頭ともに阪神は得意なタイプ。脚質的には前付けできる◎が有利と見るが、馬券上の扱いは五分にする。

　▲にニホンピロアワーズ。昨年このレースを2着したときは59キロだったが、G1勝ちから1年以上が経って今回は58キロ。ただ、勢いは昨年のほうがあったので今年も2着付けまでの前提にしておく。

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【軸不動】ニホンピロアワーズは初マイルのフェブラリーSこそ8着に敗れたが、距離延長の前走は快勝。昨年のこのレースは勝ち馬ホッコータルマエより2kg重い59kgで0秒1差の2着で、内容は悪くない。今年は58kgでV最有力だ。ナムラビクターの前走は2着に4馬身差の快勝。メキメキと力を付けており、引き続き相性のいい阪神なら重賞でも好勝負になる。マーチSで重賞初制覇を飾ったソロルは、コーナー4つの舞台なら崩れることはなさそう。ゴールスキーの前走はスタート地点が芝で、流れも向かなかった。エアハリファ、グランドシチー、トウショウフリークを押さえる。

　◎ニホンピロアワーズは「ホワイトマズル×アドマイヤベガ」という組み合わせ。父ホワイトマズルは芝向きの中距離タイプで、母の父アドマイヤベガは日本ダービーを制覇した芝馬。これだけを見れば芝向きだが、母方の4代前にトニービンとヌレイエフというハイペリオン色の強い血を並べ、3代母ミルカレントは「リトルカレント×インリダリティ×コーニッシュプリンス」というアメリカのダート血統。このあたりがパワーの源泉となっている。

　4、5歳馬が強い、という傾向が見られるレースではあるが、本馬は7歳を迎えても衰えはなく、今年に入って東海Sとダイオライト記念を制している。メンバー中、G1で骨っぽい相手に勝ち負けを繰り返してきたのはこの馬だけで、能力水準ははっきりと一頭抜けている。昨年、59kgを背負ってホッコータルマエに4分の3馬身離された2着だったが、相手が2kg軽かったことを考えれば勝ちに等しい内容だった。今回は58kgで昨年よりもメンバーが軽いとなれば順当に勝利をものにする。

　春の京都競馬の開幕を告げるダート重賞でしたが、マイラーズカップと入れ替わる形で一昨年から阪神の最終週に移動してきました。しかしながら、かしわ記念や帝王賞などの統一G1へ向けた重要ステップという位置づけに変わりはありません。むしろ、直線に坂がある阪神コースに替わったことで、より底力が問われるレースになった印象があります。

　ニホンピロアワーズは一昨年のジャパンカップダートの勝ち馬。以来G1勝ちからは遠ざかっていますが、今年に入って統一G2を2勝と、力量に衰えは見られません。今回は58キロを背負いますが、この馬としては背負いなれた斤量ですし、得意の右回りコースに替わるのも歓迎。力量差から見てもこの馬の中心は動きません。

　ゴールスキーはダートG1初挑戦だったフェブラリーSこそ10着に沈みましたが、前が残る展開でしたからやむを得ない結果と言えます。今回は距離延長で追走が楽になるはずですし、ニホンピロアワーズが前の馬を掃除していくでしょうから、追い込みには持って来いの展開になりそうです。

　ナムラビクターは仁川Sを4馬身差で圧勝。心身ともに充実してぐんぐん力をつけているところで、得意の阪神コースなら重賞のメンバーに入っても互角の戦いが期待できます。ソロルはマーチSを快勝しましたが、ハンデ戦で56キロが効いた印象があります。57キロを背負う今回が試金石になるでしょう。マーチS組では今回斤量が楽になるグランドシチーの巻き返しが期待できます。トウショウフリークは逃げ一本槍。展開が楽になる地方交流重賞では安定していますが、久々となるJRA重賞では厳しい競馬が予想されます。

　ダノンバラードは6歳にして初めてのダート挑戦。芝では頭打ちの現状で苦し紛れという印象もありますが、右の小回りは得意な馬ですし、宝塚記念2着の実力は尊重すべきでしょう。

【順当】ナムラビクターが軌道に乗ってきた。自在性があり重賞でも十分に通用する。負担重量が軽くなりグランドシチーが前進。流れに乗りゴールスキーが巻き返す。

◎はニホンピロアワーズ。ダート路線ではトップレベルの実力があり、休み明けだった昨年より状態も数段いいし、相手関係も楽になった。斤量も58キロなので今年は負けられない。

相手は、前走完勝だったナムラビクター、阪神得意のエアハリファが有力だが、トウショウフリーク、ダノンバラード、ソロル、ゴールスキーにも注意。

指数としては◎ニホンピロアワーズがダントツに抜けている。たとえ人気であっても馬券はここから勝負だ。だが相手は面白い。2番手評価には○グランドシチー。距離数値が高く争覇圏内。人気薄からでは△クリールパッション。阪神ダート向きということだろうかかなり指数を持っている。