いよいよ、3歳馬の頂上決戦、
日本ダービー。過去のこのコラムでも綴りましたが、今年の
皐月賞はPP指数で見ても例年以上にレベルが高く、別路線組はやや低めです。
皐月賞の上位馬をまとめて負かすには、よほどの成長力を見せないと厳しく、別路線組でチャンスがあるとすれば大幅な伸びシロが見込めるキャリアの浅い馬にほぼ限定されるでしょう。
確かに
皐月賞で3着以下を突き放した上位2頭には、決定的な死角はありません。しかし、隙はあります。まずは、
皐月賞馬の
ドゥラメンテ。
皐月賞では五分のスタートから窮屈になり、そこから下がって後方と、勝つためにはあまり好ましくない位置取りになりました。しかし、向こう上面で
ブライトエンブレムの後を追ってポジションを押し上げ、3コーナーでは馬群の後方に突っ込んで折り合いに専念。4コーナーでは驚く勢いで外に持ち出して直線(勢いが良すぎて、後続の進路を少し妨害し、鞍上は騎乗停止)。そこからラスト2F目で先頭に立って、ラスト1Fでもグングン伸びての圧巻の内容でした。
この内容は、良く表現すれば反則クラスの“化け物”、悪く表現すれば成長途上の“荒い競馬”で、優等生の競馬とはほど遠いレース運びでした。圧巻のレース内容は、1番人気に非常に相応しいのですが、乗り方は全く相応しくありません。この馬はこれまでに前のスペースを詰めていくような競馬をしたことがないので、勝つための乗り方としては大外一気という乗り方にほぼ制約されます。明日は雨が降らない可能性が高まり、先週同様に逃げ、先行馬が有利の馬場状態の状況の中で、大外一気という乗り方は、レースの流れに反した乗り方となります。
また、
皐月賞2着馬の
リアルスティールは、超スローペースを勝ちに行こうとしなかった
スプリングSから一転、緩みない流れの
皐月賞では好位をそれほどロスなく立ち回り、ほぼ完璧に乗りました。けっこう
リアルスティールに向く流れだったのに、
ドゥラメンテにそれをぶち壊されて、更にラスト1Fで突き放されてしまう結果。この馬は
ドゥラメンテとは真逆でレース運びは優等生。幅広いレースに対応できますが、実はそれほど強くないということを表面化させる残念な結果となってしまったのです。
皐月賞の
ドゥラメンテは脚質が信用できないし、
皐月賞ではほぼ完璧に
ドゥラメンテに負けた
リアルスティールを狙うのはあまり夢がないし、楽しくありません。だからここは大波乱ダービーに期待します。大波乱ダービーの最も相応しい◎と言えば、私にはこれしか考えられない
キタサンブラック。
この馬は3戦3勝で
スプリングSを勝利した馬。続く前走の
皐月賞は緩みない流れで先行馬にとっては厳しい展開となりましたが、逃げた
クラリティスカイを早めに潰しに行く強気な競馬で3着を死守した内容は秀逸でした。
クラリティスカイが続く
NHKマイルCを勝利したこと、前に行ってシンガリ負けとなった
ワンダーアツレッタが本日土曜日の京都500万下戦で2着に巻き返したことからも、
皐月賞が厳しいペースだったことを推測することが出来ます。
また、
皐月賞当時のコンディションは2着
リアルスティールが
スプリングSをほぼ叩き台のような感じで使い、
皐月賞は体調面が
ピークに近かったと推測されるのに対し、3着
キタサンブラックは
スプリングSで
皐月賞出走権を掴むためにかなり仕上げきった後の一戦で、万全な状態ではなかったと推測されるなかでの好走でした。このことから
キタサンブラックの潜在能力は決して
皐月賞上位2頭に劣るものではないと推測されるのです。
今回は前残りが目立つ東京へと舞台が変わり、レースもそこまでオーバーペースになるようにも思えません。基本は前が有利な展開になりそうです。馬場と展開の援護射撃を得て、
キタサンブラックが前残りの流れからダービー馬を目指します。
○は
皐月賞馬
ドゥラメンテ。
皐月賞の直線での末脚は反則クラスでした。この馬が強いことは、私も理解しているし、みなさんも理解していることと思います。しかし、気性面に危うさを残し、そして一番気になるのは前走が強すぎたことです。あそこまでの走りをしてさらにお釣りがあるでしょうか? 並の馬ならば今回は危険信号とも言えなくはないですが、やっぱり化け物ということで、あっさりダービー馬になってしまう可能性も十分の馬です。
▲はデビューから2連勝した
アダムスブリッジ。前走の
若葉Sは馬場もタフで本来の末脚を発揮できませんでしたが、それでもデビューから3戦連続して、出走馬最速の上がり3Fをマークしたことに非凡さを感じます。もともと新馬戦では後に
青葉賞を勝利することになる
レーヴミストラルよりも明らかに強い内容で勝利した馬です。秘めた能力は相当なものがありそうです。キャリアが浅い馬は前走から飛躍的に指数を伸ばすことがありますが、特にキャリア5戦目までの馬は激変することも多々あります。今回でキャリア4戦目、かつての
フサイチコンコルドのように前走からの大飛躍を目指します。