伝統の
中山記念。昨年の
皐月賞1着、
日本ダービー2着の
イスラボニータ、そして昨年の
オークス1着、
秋華賞2着の
ヌーヴォレコルトが始動します。昨年のクラシック戦線では、牡馬はレベルが低く、牝馬はレベルが高いと言われてきましたが、そのトップクラスの2頭がG2のここで対決します。
No.1予想の『今週の見どころ』では、中山芝1800mの
中山記念は、過去10年でレースの最速ラップ地点がラスト5F目(2コーナーの坂を下ってしばらくの地点)というのが半数もあることを紹介しました。上り坂スタートで序盤でリードを奪い切れない逃げ、先行馬が下り坂の勢いを利して仕掛けていくパターンが多いのです。
近代競馬の中距離戦は、ラスト2F目や3F目が最速地点の上がりの競馬が多いというのに、中盤で最速ラップが出る早仕掛け戦というのは非常に稀。こういうレースになると前で立ち回ってスピードだけで押し切ることはできないし、逆に後方から一瞬の鋭い末脚を使っても先頭までは届きません。スピードを維持する持久力、すなわち
中山記念は総合能力が問われるレースになりやすいのです。
確かに過去10年のすべてのレースが早仕掛け戦になっているわけではありません。しかし、今年は小頭数のわりに行けるならば必ずハナを主張する逃げ馬の
タイキパーシヴァルに、先行馬もそれなりに揃っています。確かに1回中山開幕日の土曜日は、雨が残っていたはずの土曜日でけっこう時計が出ていましたが、今年もこのメンバーだと例年の
中山記念の傾向を踏襲する、あるいはそれに近い流れになる可能性が高いでしょう。少なくとも上がりの競馬になることはなさそうです。
つまり、
イスラボニータや
ヌーヴォレコルトを負かすに相応しい馬は、それらに準ずる能力が必要だということ。また、けっこう厳しい流れになるので、
イスラボニータも
ヌーヴォレコルトもしっかり仕上げてこないと能力を出し切れない可能性が高いでしょう。同じくらいの力関係ならば、レースを順調に使われている馬がいいです。レース間隔が詰まっていれば息持ちが良く、その馬自身の持久力を存分に発揮することが出来ます。
よって、◎には一昨年の
皐月賞馬で前々走の
中山金杯2着の
ロゴタイプを推します。この馬はタフな馬場状態の上に、早仕掛け戦となった昨年の
中山記念で先行して3着に粘ったように持久力があります。今年は昨年の
中山記念ほど雨が降らない可能性が高いこと、小頭数であることから昨年よりは前が楽な展開になると見ています。唯一の不安は、前走の根岸Sもそれなりに勝負がかりだった気配があること。前走が捨て戦であくまで今回が勝負といった感がない点はややマイナス材料と言えますが、2強と比較した場合にレースを順調に使われている点は強みです。
○は昨年の
オークス馬であり、
秋華賞2着、
エリザベス女王杯2着と安定感抜群の
ヌーヴォレコルト。本来、競走馬は勝ったり負けたりするのが自然で、安定して毎回好成績を残せるような馬はそのクラスでは一枚上の潜在能力を持っていると評価できます。今回は始動戦なので過大評価は出来ないのですが、能力の天井はかなり高いところにありそうな馬です。
▲は昨年の
皐月賞馬で、昨秋の天皇賞では3歳馬ながら見せ場十分の3着と奮闘した
イスラボニータ。続くジャパンCではさすがに天皇賞で頑張りすぎた疲れが出てしまったようで、大敗の結果となってしまいました。今回は今年の始動戦となります。始動戦といっても底力で十分に押し切れる相手関係とも言えますが、普通に考えれば目標はまだ先でしょう。勝っても当然ですし、負けても実力がないからという理由ではありません。