難解な一戦だが、仮に前走ナスノセイカンが佐渡Sを差し切ってここに53キロで出てきたら、ほぼ迷わず◎を打ったと思う。

　その佐渡Sのエーシンマックスの逃げ切りは、たしかに道中のリードが大きかった面はあるのだが、しかしあと100mからの脚色は追いすがるナスノセイカンと五分で、持続力そのものは感じさせる勝ち方だった。

　佐渡Sの上がり34.4は新潟外回りでは決して速い数字ではないが、昨年のパッションダンスやマイネルミラノ、一昨年のクランモンタナもそれぐらいの上がりで前で残っているわけだから、あの勝ちにまだ余力があるとみればここでも狙いは立つ。

　ここ3年は夏場に良績が集中しており、昨夏も新潟で連続好走、一昨年は小倉の玄海特別で好位から差す形でトーホウジャッカルに競り勝ってもいる。

　ヒモ穴で拾いたいのがムスカテールで、実績どおりのサウスポーで叩いてここを狙ってきたが、タガノエルシコ、イケトップガン、キングトップガン、マヤノライジン、ホッコーパドゥシャと、高齢のマヤノトップガン産駒は夏の中距離ハンデ重賞で何度も穴をあけてきた。

【パドック速報対象レース】
当レースはパドック速報対象レースです。レース発走20分前に最終結論(印・買い目・見解)を公開します。パドックの気配で前予想と最終結論が変わる可能性がありますので、予めご了承ください。

2番：素晴らしいデキ。これなら上位争いに持ち込める。
10番：デキ良い。
14番：太目感なく好仕上がり。

【混戦】ルミナスウォリアーは前走8着も展開不向き。力量アップ顕著で状態も良く55キロなら巻き返し必至。アルバートドックは心身ともに成長見せる。58キロ鍵も動き素軽く連勝も可能。ベルーフは前走で2着と復調示す。追い切り遅れも体調に不安なく争覇圏。マイネルミラノは充実示しており調整も順調。ダコールも衰えなく、アデイインザライフやファントムライトなどにも注意を払いたい。

【ダコール8歳の夏】ダコールの地力と実績を信頼だ。ここ4走はGIIIのハンデ戦、58キロを背負い2・4・2・4着と、あと一歩がもどかしい。しかし、二走前の七夕賞は前半1000m通過が57秒9―マイル通過・1分33秒4という、タフなミドルラップの力勝負、そして走破タイムは1分58秒5。前走の小倉記念は直線入り口から密集馬群に入り込み、追うに追えない、窮屈な競馬を強いられ4着に終わったものの、勝ち負けの機微は外していない。新潟大賞典勝ちの当コース、鞍上にはデムーロ、直線一気で8歳の夏のサマーシリーズを締めくくりたい。

　対抗はアルバートドック。七夕賞は、一瞬の脚を駆使する馬を操るのに長けた戸崎のエスコートも大きかったが、小倉大賞典に続きGIIIで2勝をマーク、実績的には58キロでも好勝負必至だろう。ただ、使える脚は意外に短く、新潟外回り2000mでは、伸びひと息のシーンも頭に置きたい。ならばバーディーイーグル、新潟替りで一変も十分。小回り福島の七夕賞は、先行勢と後続が二つに分かれ、仕掛けどころが難しい競馬となったが、直線勝負に徹し切れる新潟は、戦法もシンプルでいい。

　七夕賞8着のルミナスウォリアーも、左回りの2000mにかわれば、ジューンSの1分58秒1という記録が説得力をもってくる。二番連続が効き辛いタイプだが、最速の上がりで小倉記念2着のベルーフ。アデイインザライフの資質も連下に加えておきたい。

　新潟記念は荒れることが比較的多い重賞だが、内容を見てみると前走GIII組どうしの間で序列が入れかわっている印象。サマー2000シリーズができて他場からの転戦が多くなっているので、他場で求められた適性とここで求められるものが異なるのかもしれない。

　ここでは新潟外回りということもあって差しが届きやすいし、上がり順位上位馬がそのまま好走につながりやすい。ただ、前走や前々走などの上がり順位をそのまま参考にできるという感じではなく、新潟に舞台が替わって隠れた適性が引き出されるような馬を探したいところだ。

　◎はエキストラエンド。これまではディープインパクト産駒にしてはキレないイメージだったが、新潟芝は自動的に上がりタイムの額面は詰まるし、この馬自身2000mはそれほど走っていないので、逆に未知の引き出しがある。前走の上がり2位がそのヒントかと期待する。前走上がり最速の☆ベルーフからという手も考えたが、やはりハービンジャーとディープインパクトの比較から◎を選んだ。

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　◎アルバートドックは｢ディープインパクト×アニュージュアルヒート｣という組み合わせ。母ゴールデンドックエーはラスヴァージネスS(米G1･AW8f)の勝ち馬で、ハリウッドターフカップS(米G1･芝12f)を勝ったアニュージュアルサスペクトの全妹にあたる。晩成傾向のある伸びやかな芝中距離血統で、まだ4歳だけに成長の余地を大いに残しており、これからG3→G2→G1と活躍のステージを上げていくだろう。

　ローカルが舞台の小倉大賞典(G3)と七夕賞(G3)の勝ち馬ながら、ディープインパクト産駒らしく芝中距離で長くいい脚を使えるタイプなので、直線の長いコースへの対応は問題ない。

　7着と敗れた2走前のエプソムC(G3)は、スローの上がり勝負だったにもかかわらず後方の位置取りだったことが響いたもので、左回りに対する適性が敗因ではない。行く馬が揃った今回は極端な決め手勝負になりそうもなく、地力上位のこの馬にとって有利だろう。すでにG2クラスの力は備えているので58kgもこなすだろう。

【波乱必至】今年も混戦。難解だが、一応の中心には2番手から楽に先行できそうなマイネルミラノに期待。エキストラエンドは長く差し脚を使えるタイプでコース替わりもプラスとみる。ダコールは差し脚堅実で最近の充実ぶりからも上位食い込みが期待できそう。ベルーフは差し一手だけに、コース替わりで持ち味がいきる可能性がある。ルミナスウォリアーは前走案外も差し脚がいきる展開なら上位が視野に。アルバートドックは決め手上位で器用さもあるタイプだが、ハンデとコース替わりが微妙とみて押さえまでにとどめておく。

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

　サマー2000シリーズの最終戦で、多くの場合この一戦でシリーズチャンピオンが決定します。今年は七夕賞の1-2着馬、函館記念の勝ち馬、小倉記念の1-4着馬と、札幌記念以外のシリーズの上位馬が数多く登録してきました。1着賞金4100万円に加えて、シリーズチャンピオンの報奨金が4000万円。GIに近い賞金を奪い合う、かつてなく激しい新潟記念が期待できます。

1.夏は追い込みが届かない

　春の新潟と異なって夏は馬場状態が良好なため、新潟記念での追い込み馬は［1-1-1-45］(過去10年)と苦戦の傾向です。対照的に、逃げ・先行馬は［4-6-3-32］という好成績。2013年に逃げて2着したエクスペディションは8番人気、昨年2番手追走から2着したマイネルミラノは9番人気と、人気薄の逃げ・先行馬の粘り込みがしばしば波乱の要因になっています。

2.斤量58キロ以上は勝ち切れない

　過去10年で斤量58キロ以上の馬は[0-0-1-8]。多くが単勝配当二桁の人気馬でしたから、このレースでは斤量が重い馬の苦戦は明白です。かといって、近年は極端な軽ハンデ馬もまた不振。「背負いすぎていない実力馬」にチャンスが巡ってくる、という構図になっています。

3.リピーターレースである

　ナリタクリスタルは2010-2011年に当レースを連覇。サンライズベガは2009-2011年まで2、3、2着していますし、他にもトウショウシロッコが3、2着、タッチミーノットが4、2着、エクスペディションが4、2着など、複数回好走する馬が多いのがこのレースの特徴です。

　マイネルミラノは函館記念で待望の重賞初制覇を果たしました。タイムは稍重馬場では出色といえる1分59秒0。これ以上のタイムでの函館記念の勝ち馬は、今世紀ではトウケイヘイローとマイネルスターリーだけです(いずれも良馬場)。昨年の新潟記念で2着したように、じわっと先行できるワンターンの中距離戦は得意条件ですし、また滞在で臨める夏競馬も気性的に燃えやすいこの馬には合っているようです。ハンデも57.5キロにとどまり、重賞連覇のチャンスは十分。

　ファントムライトは函館記念が15着の大敗。慣れない滞在競馬で馬体重14キロ増の影響が大きかったようです。今回は栗東で思い通りの調整ができていますし、新潟記念は休み明けで挑んだ昨年も3着した相性の良いレースです。アルバートドックは乗り難しさのある馬で、騎手を選ぶ面が小さくありません。今回は前走好騎乗を見せた戸崎騎手の連続騎乗ですし、ゆったり構えられる新潟コースも競馬がしやすいはず。58キロの克服が最大の課題になります。

　ロンギングダンサーは新潟大賞典以来の休み明けですが、この馬は5勝のうち4勝が休み明けという鉄砲巧者。叩き2走目だった昨年の新潟記念でも4着していますが、休み明けで臨む今回のほうがローテーション的にはむしろベターと考えられます。ダコールは詰めの甘い馬ですが、58キロはいつも背負い慣れた斤量ですし、デムーロ騎手への乗り替わりで新味を出したいところ。未完の大器で底を見せていないアデイインザライフ、休み明けを叩かれた上積みが見込めるマイネルディーンが押さえ。

【小波乱】ロンギングダンサーはスムーズな競馬で能力全開。アデイインザライフは仕上がりがいい。安定しているダコールが肉薄。

昨年も荒れたが上位3頭はすべて100連発&前走から斤量変わらずタイプ。まあそれでも押さえきれなかったわけだが…。今年条件がピッタリなのが◎ルミナスウォリアー。近3走最速上りありという点も条件満たしている。相手筆頭に前走112で斤量マイナスの○アデイインザライフ。斤量上がるも指数はいい▲マイネルミラノ。人気薄でも指数は100連発☆アロマカフェ激穴。以下人気薄では△バーディーイーグルも一応当てはまる穴馬。もう少し押さえたい馬もいる。

叩いた効果で完全復調してきた1ベルーフを狙い撃つ。追い込みタイプだがうまく馬混みをさばければ差し切りは十分。次位は18クランモンタナで先行策からチャンスはある。▲は14アルバートドックで末脚は鋭く首位浮上も。

　サマー2000シリーズの最終戦となるが、今年は、七夕賞、函館記念、小倉記念と、勝ち馬が顔を揃える王者決定戦にふさわしい顔ぶれとなった。過去10年のレースの上がり3ハロンの平均値は34秒45で、本来は高速決着に強くキレ味のある馬を選ぶべきなのだが、今年は全体に少し上がりがかかっている点に注意すべきだ。波乱の度合いの高さも考え併せて、◎はマイネルディーンとした。前走は少し前へ行き過ぎたもの。逃げ馬が揃って展開も流れそうなここは、ジックリと脚をタメての直線大外一気を。石川騎手ならそういう思い切った競馬ができるはずだ。

　相手本線は、得意の新潟で見直しが必要なルミナスウォリアーと、本格化を示すアデイインザライフ。ともに手頃なハンデも魅力だ。対して、ダコール以下の重いハンデを背負った馬は押さえまでの評価にとどめたい。