【際立った紅一点】
ファンディーナは規格外の牝馬、牡馬相手の
皐月賞も一気に呑み込む。能力の拠りどころは二走前の
つばき賞にあり。前半1000mは1分4秒1のスローで展開、ラスト3Fのレースラップは12秒2-10秒7-11秒0(3Fは33秒9)という、逃げ馬絶対有利の究極の瞬発力勝負を、上がり33秒0でとらえ、ゴール前さらにもうひと伸び。推定ではあるが、最後の1-2F連続して10秒5前後のラップを計測。上がりの速い平坦の京都とはいえ出色のこのラップは、即座にGIに通じる絶対能力の証。
フラワーCも12秒4-11秒2-11秒7(3Fは35秒3)という流れを、上がりを34秒9でゴボウ抜き。4コーナー手前の2F目あたりを11秒2で瞬時に動き、しかも坂上から持ったままで再加速。
皐月賞制覇のお手本となる機動力とレース運びを前走で示している。
年明けデビュー、今回が4戦目という異例のローテーションではあるが、4月2日に調教時計を出し始め、二週にわたってキチンとした追い切りができた。そのタフさも常識外の傑物牝馬の証となる。
対抗は
スワーヴリチャード。マイルから2000mにおける一連の重賞レースで、2歳戦の中では最も内容が濃かったのが
東スポ杯2歳Sだったが(同馬は2着)、年明けの
共同通信杯は1分47秒5に時計を更新。思えば昨年の
ディーマジェスティも、一昨年の
ドゥラメンテも
共同通信杯からの直行組、スワーヴもほぼ同レベルで前走を勝ち上がり皐月へGO
サインがともった。
腰回りが充実し、発馬のダッシュもマシになった。枠は2番、1コーナーを抜けるまでに好位にスッポリ収まれば、自然とGI奪取が見えてくる。ただ、デビュー二戦目や調教の動きを見ると、右回りは脚を突っ張り、勝負どころでモタつく感じがする。コーナーで急がせるか、自らハミをとって進んで行くか。分かれ目はそこだろう。
シンプルに、中山2000mの適性と時計の質を問うなら
レイデオロだろうか。東京の新馬戦の走破タイムは重馬場で2分4秒3。湿った馬場で11秒台のラップを2連続計時し、資質の在り処は何気に示していたが、続く中山の
葉牡丹賞は、前半5F通過は1分1秒0のスロー。残り4F目から一気に11秒7にピッチが上がり、続く3Fも11秒9-12秒1-11秒9(3Fは35秒9)という激流を、レースの上がりを1秒2上回る34秒7で坂上一気。返す刀で
ホープフルSを2分1秒3でV。ラップの精度は
葉牡丹賞に軍配が上がるが、開催最終日の
パワー馬場で前回より余裕をもちレースを組み立てることができた。中山2000mのあの破壊力は、同じ
キングカメハメハ産駒の
ドゥラメンテを彷彿させる。
しかし
葉牡丹賞と
ホープフルSをつかえば疲れもたまる。気のいいファイターだけに緒戦から走ろうとするし、坂上強襲のシーンも十分考えられるが、ローテーションは
皐月賞の王道ではない。馬体はふっくらとして写真写りはいいけれど、GIで勝ち負けは細いくらいに厳しく仕上げないと通じない。次のダービーを見据えた造りのようにも感じる。
惑星は
カデナ。東京の
百日草特別、
京都2歳Sと異なる競馬場で上がり33秒台をマークしてきたが、
弥生賞も11秒9-11秒4-11秒7(3Fは35秒0)というレースの上がりに対し、自身のソレは34秒6。直線外からきれいな加速力ラップを描いている。
ペルシアンナイトも、健やかさにあふれ記録面でも上昇一途。
シンザン記念は、発馬で一完歩出遅れ、直線も前が壁になり進路を探せず、内に切れ込むしかなく、結果1-2着馬の外強襲を許してしまったが、
アーリントンCは前半1000m・59秒1のミドルペースで展開。よどみのない流れの上に立ち、直線入り口の脚色で、ほぼ勝負あった。ラスト3Fのレースラップは11秒4-11秒3-12秒3(3Fは35秒0)、対する自身のソレは34秒0(推定11秒台を3連続マーク)。1分34秒1という走破タイムは、過去十年で第三位タイ。昨年の
レインボーライン(
菊花賞2着)と同タイムだったが、ハナ差決着だった昨年と違い、
ペルシアンナイトは後続に3馬身、ゴール前は手綱を抑える楽勝だった。
マイルの
アーリントンCは、なんとなくクラシックやGIと関連性はなさそうに映るが、優勝馬は
ジャスタウェイ、
コパノリチャード、
ミッキーアイル。スピード系が中心ながら、後のGI馬が過去十年で3頭もいる。
毎日杯の
アルアインの1分46秒5は、過去十年で
ディープスカイの1分46秒0、
キズナの1分46秒2に次ぐ第三位。勝ちっぷりは地味に映るが、GI勝ち負けの下地は整っている。