エアレーションが入るようになってからの中山開幕週オータムHは、16年ロードクエスト、15年フラアンジェリコ、13年エクセラントカーヴと、サンデーサイレンスとノーザンテーストとボールドルーラーの血を引く馬の外差しが届くレースになっている。

　となると田辺グランシルクでよさそうなレースだが、ロサギガンティアは母がボールドルーラー系×ダンジグ系だから小脚のきいたマイラーで、重賞勝ちはスプリングSに阪神Cといずれも内回り。人気もないので中山マイルで気楽に追い込めば面白い。

【上位拮抗】グランシルクは勝ち切れないレース続くも安定感抜群。中間気配さらに上向きで今度こそ決めたい。ブラックスピネルは乗り込み順調で巻き返しの態勢整っており自在性も魅力。ダノンプラチナは久々を叩かれ良化うかがえ力量発揮を見込む。マルターズアポジーは58kgカギもスムーズなら。ウキヨノカゼも展開次第で浮上可能で、ボンセルヴィーソやミッキージョイなども差なく要警戒。

【GIIIでは格上?】マルターズアポジーが力の逃げで押し切る。逃げ馬は速ければ速いほど他馬のターゲットとなり、GIでもラビット役を演じなくてはならなくなるが、4走前の小倉大賞典・1分45秒8という質の高いタイムがあれば、なるほどGIIIマイルの関屋記念はアッサリ逃げ切り。重量は58キロに増えるが、中山の急坂も蓄えてきた地力で押し切れる。

　逆転があればグランシルク。オープン特別でも重賞でも、誰が乗っても詰めが甘い。しかし、一瞬の脚が生きる中山マイルがもっとも得意。田辺は単勝妙味の騎手でもある。馬柱からは消えてしまったが、ウインフルブルームは朝日杯FS3着、皐月賞3着。11か月振りの実戦になるが、三走前の福島TVオープンをテッポウ勝ちした時と調教過程は合致している。

　イン強襲か大外か、惑星はウキヨノカゼ。横山にピッタリの穴馬だなぁ。3歳馬ボンセルヴィーソは、相手がだれでも常に全力投球。ブラックスピネルも連下に押さえておこう。

各馬の上昇度・脚質・騎手・調教師・血統データを「先週最も儲かった」設定で解析。導き出された4頭の馬単・3連単ボックスで勝負！

なお、プレミアムサービス(※)にご登録されますと、中央競馬全レースで、上昇度・脚質・騎手・調教師・血統の項目を自由にカスタマイズして予想することができます。各レース情報ページの予想タブから「CP予想」にお進みいただき、ご利用ください。

※netkeiba.comのスマートフォン版・競馬総合チャンネルでは、プレミアムコースにご登録されますとご利用頂けます。

　◎グランシルクは｢ステイゴールド×ダイナフォーマー｣という組み合わせで、ブレイクランアウト(共同通信杯)の甥にあたる。2代母の父フレンチデピュティは父ステイゴールドと相性が良く、母の父ダイナフォーマーは｢ロベルト系×リボー系｣という底力満点の配合。ステイゴールド産駒の配合としてはA級だ。ダイナフォーマーの巨大な馬格によってステイゴールドの馬体の小ささをカバーしているのもいい。

　持続力勝負に強い血統なので、ニュージーランドトロフィー(G2)2着、ダービー卿チャレンジトロフィー(G3)3着の成績が示すとおり本質的には中山コース向き。3歳秋にこのレースに挑んだ際は4着だったが、勝ち馬とは同タイムで、ハナ、ハナ、アタマ差だった。中京記念(G3)で2着となった前走と同じく56kgのハンデなら勝ち負けに持ち込める。

【軸不動】6グランシルクは開幕週の馬場は歓迎材料とはいえないが、それでも差し脚が届く可能性が高いとみるのが妥当。14ミッキージョイは展開次第だがうまく流れに乗れれば上位食い込みが狙えそうだ。13ダノンリバティは詰めひと息だが相手なりに走れるとみて3番手にマーク。堅実に差を詰める11アスカビレンが連下の筆頭。8ブラックスピネルは安田記念で大敗したが、立て直しての巻き返しに警戒したい。末脚秘める9ウキヨノカゼにもチャンスあり。

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

　秋競馬の到来を告げるマイル重賞。GIを目指すようなクラスは、10月の毎日王冠や富士Sあたりから始動するので、ここに出走するのはそのひとつ下のクラスになるのが通例です。それら休み明けの馬と、サマーマイルシリーズを使われてきた馬たちとの比較がカギになるレースです。

1.待機組は侮れない

　関屋記念など、夏場のレースに使われている馬が比率的に多数を占めますが、このレースに備えてじっくり調整してきた馬は侮れません。2か月半以上半年以内の休み明けの馬、かつ5番人気以内が過去10年で[4-1-2-9]という好成績。あえてここから始動するということは、結果を求めていることの裏返しでもあるとも言えます。

2.逃げ馬は苦戦

　開幕週ということで前残りを狙いたくなるのが人情ですが、中山マイルで多頭数のハンデ戦で展開が加熱するのが通例で、じつは逃げ・先行馬狙いは得策ではありません。過去10年のうち中山開催に限定した9回で、逃げ馬の連対は皆無。フラアンジェリコ、レオアクティブ、キストゥヘヴンなど4角後方からの追い込み勝利もしばしばで、切れ味さえあれば脚質にはそれほど神経質になる必要はありません。

3.格より調子

　一昨年のフラアンジェリコのように、前走惨敗馬が一変することも少なくありませんが、「格はともかく前走で勝っていた」という馬が最近10年間で6勝を挙げていることは注目に値します。夏場の疲労が残りがちなこの時期、上り調子でここに出走してくる馬には警戒が必要です。

　グランシルクはあと一歩が足りない近況ですが、前走は先行有利の馬場を味方につけた勝ち馬以外は差し切っており、敗れてなお強しという内容でした。ハンデGIIIならいつでも上位争いできるところまで力をつけており、ここは重賞初制覇へ向けて勝負を賭けての出走です。

　ダノンプラチナは休み明けだった前走でも目を引く差し脚を見せて5着。さすがはGIホースというところを見せました。当レースは久々だった昨年も3着の実績があり、今年は大幅馬体重増を叩かれての上積みも見込めます。マルターズアポジーはマイル路線に舵を切った関屋記念を快勝、3つめの重賞タイトルを手に入れました。絡まれると脆さがある馬で、斤量を背負う今回はどれだけスムーズに行けるかがカギに。

　トーセンデュークは気難しさが残るものの、前走関屋記念でも最速上がりをマーク。重賞に入っても決め手の破壊力は上位で、展開次第で馬券圏内突入も。ブラックスピネルは春のマイル路線の上位馬ですが、叩いて良くなるタイプなので、今回は休み明けが課題になります。アスカビレンは牡馬相手の中京記念で正攻法での4着と力をつけており、あのレースができるなら中山も問題ないでしょう。ウキヨノカゼは不器用さがあるものの重賞3勝の力量馬。スプリンターズS3着の実績がある中山コースとも好相性です。

【小波乱】グランシルクは充実している。展開利が見込めるガリバルディ。ミッキージョイは潜在能力が高い。

前走値100超えタイプを重視していく。『関屋記念』で勝馬より指数が高かったダノンプラチナは残念ながら回避。これならば前走値で3差で負けるが平均値では上の◎グランシルク筆頭だろう。そこに相手○ダノンリバティ。3番手評価は人気薄▲ウキヨノカゼとなる。指数としては上位と変わらない。3歳で一発☆ボンセルヴィーソ。以下△も圏内十分。

充実の5歳を迎えて心身が充実してきた6グランシルクが重賞初Vだ。勝ち味に遅い面はあるが追える田辺とのコンビは魅力。終い勝負で抜け出る。次位は11アスカビレンで切れ味は鋭く能力は上位。▲は5マルターズアポジーで逃げ粘りは怖い。

　秋競馬の開幕戦とはいえサマーマイルシリーズの最終戦という位置付けもあって、夏の好走組に目が行きがちのレースだが、過去10年のうち中山で開催された9回で、前走関屋記念組が[0,3,4,33]なのに対し、前走安田記念組は[1,1,0,2]で、着外2頭も掲示板を確保している。夏場を休養に充てて早くからここを目標にしてきた実力馬が、キッチリと結果を出すレースなのだ。

　◎にはブラックスピネルを指名した。前走の安田記念では思わぬシンガリ負けを喫したが、最終追いが予定外の軽めとなってしまう誤算があったもの。元々が攻め馬直結型だけに、これは展開が厳しかったこと以上に最大の敗因と言える。陣営も前走の轍を踏まぬよう、今回は3週連続で坂路51秒台をマークしての臨戦。春の使い出しだったマイラーズCの時よりも状態は数段上と見た。

　相手は、安定感を増しているグランシルクへが大本線だが、アスカビレン、ボンセルヴィーソあたりにもチャンスは十分ある。関屋記念組はあくまでその次の評価で、マルターズアポジー、ウキヨノカゼ、ミッキージョイを押さえとした。