※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。
短距離GIは、春は
高松宮記念で、秋は
スプリンターズS。双方とも春秋のGIシリーズの幕開けという日程に位置しているが、顕著な違いがひとつある。それが、サ
マースプリントシリーズの存在。GIに手が届きそうにないクラスは、サ
マースプリントシリーズに全力投球する傾向が近年強まっている。
その影響で、秋本番を前に余力を使い果たして、
スプリンターズSを欠席する馬が少なくない。つまり、数少ない短距離GIでありながら、
高松宮記念ほどのオール
スターキャストにはなりにくくなっている。そして、そのことがレースの展開面にも少なからず影響を与えている。
ランキング中位の「一発狙う馬たち」の層が手薄になるため、上下差のあるメンバー構成になり、どうしてもペースは緩みがちだ。一昨年は前半3Fより後半3Fの方がレースラップが速いという「上がり勝負」になり、昨年も前半3Fの方が速かったものの、差は0.8秒だった。ス
プリントGIとしては寂しいことだが、「バテる馬が少ない終いの瞬発力勝負」が、このレースでは当たり前になりつつある。
1.上がり33秒台のキレ味が必要
昨年の勝ち馬
レッドファルクスがマークした上がり3Fは推定33.5秒で、一昨年の
ストレイトガールは33.1秒。新潟開催だった2014年を挟んで、その前の2年間を連覇した
ロードカナロアの上がりが33.8秒と33.4秒。3F33秒台前半で上がって来られるようなキレ味がないと、勝ち切るのが難しくなっている。
2.距離に融通が利く馬が有利
前述の3頭のうち、
レッドファルクスは前走
CBC賞で1200m重賞に初挑戦する以前は、芝ダート問わず1400mを主戦場にしていた馬だし、
ストレイトガールは
ヴィクトリアマイルの勝ち馬で、
ロードカナロアも
安田記念を勝った。いずれも、より長い距離に対応できるだけの「適性面のゆとり」があったことに注意したい。ここが、ス
プリント性能が厳しく問われる
高松宮記念とは違う、
スプリンターズSならではの「味付け」になる。
3.
セントウルSステップは難しい
昨年のこのレースで、
セントウルSを完勝した
ビッグアーサーが断然人気を裏切ったのは記憶に新しい。もちろん、直線で行き場をなくす不利が響いての敗戦だったが、
セントウルSと
スプリンターズSは連勝できないというジンクスは継続してしまった。阪神と中山ではコース特性が違うし、中2週という詰まったレース間隔では仕上げの面でも難しさがつきまとう。
セントウルS組では、試走と割り切って負けてきた馬が狙い目になる。
日本の競走馬生産においては短距離路線は傍流になるので、
ロードカナロアのような絶対的な存在がいる年のほうがむしろ例外的だ。今年の
スプリンターズSの出走表を見ても、確たる主役不在の混戦模様になっている。しかしながら、「瞬発力」と「距離適性のゆとり」というフィルターで
スクリーニングするならば、「
レッドファルクスが断然」という評価になる。
去年の勝ち馬だから当然とも言えるが、それ以降に1400mの
京王杯SCを58kgで完勝して、
安田記念でも小差3着。この一年で着実に
スケールアップしている。
高松宮記念を1番人気で3着に敗れたことで評価がぶれている面があるが、こと
スプリンターズSを戦うためには昨年以上に盤石な態勢が整っていると考えていい。
今回は
安田記念以来の久々になるが、昨年も
CBC賞から3か月間隔が開いていたし、管理する
尾関知人調教師は同様の
安田記念以来のローテーションで一昨年には
サクラゴスペルで2着(11番人気)した実績もある。予定の行動でもあり、評価を下げる必要はない。
ビッグアーサーは昨年の
高松宮記念の勝ち馬だが、それよりも前述の
スプリンターズS大敗の印象が強烈かもしれない。この中間順調さを欠いたため、昨年暮れ以来の休み明けとなり、今走で絶好調までは望むべくもない。また、昨年の当レースが示すように、器用さが要求される中山コースも歓迎とはいかないだろう。
だが、昨年はその先の海外遠征を展望したため、勝ち方にこだわって不必要に面倒な競馬をしてしまったがゆえの敗戦でもあった。徹底先行型がいない今回の相手ならば、気分よく逃げてしまえば良いのではないか、と思う。気持ちで走るタイプで大型馬ながら休み明けは得意(2か月半以上の久々は香港遠征以外3戦3勝)だし、人気が軽くなる今回は自由な競馬が許される立場だ。
福永祐一騎手ともども、昨年のリベンジに期待したい。
レッツゴードンキは昨年こそ9着に終わったが、スタート直後に挟まれた影響を受けて位置取りを下げての悔しい結果だった。それ以降、
京都牝馬Sを勝って
高松宮記念でも2着。この馬もまた、この一年間で着実に競走馬としてレベルアップしている。
ヴィクトリアマイルは1000m通過が60.1秒という遅い流れで、前に馬を置けずに折り合いを欠いてのもの。
スプリンターズSの出走馬として見る場合、評価を落とす必要はまったくない。
セイウンコウセイは
高松宮記念の勝ち馬。2012年のコース改装以降、
高松宮記念を勝った馬のその年の
スプリンターズSでも成績は、[2・1・12・不出走・12]。連対を果たした2頭は
カレンチャンと
ロードカナロアで、いずれもその前年の
スプリンターズSの勝者でもあった。
高松宮記念と
スプリンターズSの両方を好走するには、能力面で大きく優越している必要があり、
セイウンコウセイがその域まで達しているかどうか、という判断になる。
シュウジは近走スランプが続いているが、その原因が喉の疾患によるものだったことが判明した。原因が判明したからと言ってすぐに結果が出るとは限らないが、不必要な迷いから開放されて正しい対処がなされることで、足踏み続きから脱出できることは確かだろう。素質馬の復権に期待したい。
セントウルS組では、勝ち負けした組よりも叩き台と割り切った競馬で3着した
ダンスディレクターに注目。スタートの不安が影を潜めており、近走は安定感を増した。4着の
メラグラーナは中山芝1200mでは3戦3勝のコース巧者だが、いずれも勝ち時計は1分8秒台で、時計勝負には不安がある。