プラチナムバレットはスマートレイアーの弟で、ディープ産駒の姉もしぶとい中距離馬にシフトしつつあるが、こちらはマンハッタンカフェの男馬だからより重厚な中距離型に出ていて、イメージとしては「リファール風味のヒルノダムール」。

　ここは距離延長がプラスだし、先週の京都芝は外差しがきかなかったから前に行けるのも有利で、ハーツクライやハービンジャーの差しなら何とかしのげるのではないかと考える。

【兄の背中を追って】サトノクロニクルの半兄サトノラーゼンは、二年前の京都新聞杯の覇者。兄も想像をひとつ超える進化を短期間でとげ、あれよゝという間にダービーを2着したが、弟のクロニクルにも相通じる部分が大きい。ひも解けば、デビュー戦の上がりは33秒9。湿った芝を思えば、特にゴール前の脚色は望外の脚だった。次走で未勝利は脱出、稍重だけに時計もラップも平凡だが、腰の動かし方や切れは、例えるならリスグラシュー――走ると言われるハーツクライ産駒のソレ。

　ただ、まだ馬体を造り切れておらず、動かし方を誤ると体が痛む。水仙賞は1000m通過・1分4秒3という超スローはわかっていたが、陣営も鞍上も無理のないよう外差しと決めていた。追い込み届かずの2着に終わったものの、11秒7-11秒2-11秒5(3Fは34秒4)というレースラップに対し、自身の上がりは33秒7。急坂の待ち構える中山で、ゴール板が近づくにつれ伸びる加速ラップに、改めて血統力と資質を感じ取ったか。まだ追い切りで併せ遅れもあるが、二週にわたり川田が手綱を握り、兄の背中を追うべく、ダービーの最終切符取りとジャンプアップに備えてきた。

　逆転があればミッキースワロー。中山2200mの勝ちタイムは2分16秒0と平凡。高速決着も見え辛かったが、ひめさゆり賞は11秒8-11秒2-11秒6(3Fは34秒6)というレースの上がりに対し、ミッキーのソレは33秒9。平坦とはいえ、目の覚めるような加速ラップで、1分59秒9という好タイムもマーク。思えば父トーセンホマレボシは、京都新聞杯・2分10秒0のレコードホルダー。同レースを起点にダービー3着、母の父はダービー馬ジャングルポケット――ダービーでも大駈けがあるかもしれない、破壊力のある血統構成だ。

　インヴィクタも、祖母はハルーワソング、今を時めくシュヴァルグランやヴィブロス一族。ハービンジャー産駒ゆえ、たぶん高速決着は辛い。パワーを要する札幌でデビューした当時から、茫洋とだがダービーは、京都新聞杯あたりを逆算する形で成長を促してきた。3着に敗れたものの、若葉Sは1000m通過・59秒1-1800m通過・1分47秒9という澱みのない流れを経験し、2分0秒3に時計を詰めている。

　プラチナムバレットは、キャリアが示すように相当タフ。しかもレースごとに、小さな課題をクリア。半姉のスマートレイアーはディープ譲りの切れ者だが、父がマンハッタンカフェにかわり、距離2200mも望むところ。サトノリュウガの福寿草特別・2分0秒3も、クラシックを展望できる好記録だった。ただ、一頓挫あってのGII。将来性はともかく、京都新聞杯は毎年勢いのある上がり馬を狙ったほうがいい。ゴールドハットは、直線勝負の気楽な立場。連穴突入を一考。

　過去10年、全馬均等買い時の回収率が単勝33%・複勝58%という堅いレース。前走オープンで掲示板に来ていた馬は勝ちきれるかどうかはともかくして崩れにくい。一方で新馬・未勝利を勝ちたての馬はまず通用しない。500万条件組については、やはりある程度長いところを使われてきた馬を重視したいところだ。

　ここは前走オープン掲示板組が2頭いるが、敢えて人気は下位になるであろう◎ダノンディスタンスのほうから入ってみたい。○インヴィクタもキレるタイプではないので、上がりの脚で大きな差がつかない可能性がある。ならば道中前にいるほうから、という理屈だ。

　決め脚重視なら▲サトノクロニクル。京都新聞杯そのものは差し馬もよく届くレースなので、◎を1着決め打ちにするつもりはない。◎○・◎▲からのマルチにして、◎が3着でもよいという構えの馬券で。

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【上位拮抗】一瞬の決め手は鋭いものの、なかなか頭までは来れていない3サトノクロニクル。ただ前走の中山に比べると、ベストの条件はここ京都。立場的に何が何でも勝たないといけない一戦だけに川田騎手の強気の競馬に期待する。9メルヴィンカズマは3走前、アドミラブルを追いかけた競馬内容が上々。前走は馬群を捌けなかっただけ。今回はしっかり走ってきそう。11プラチナムバレットはデビュー戦で◎に先着。器用さが際立つ。

　◎サトノクロニクルは｢ハーツクライ×インティカーブ｣という組み合わせで、サトノラーゼン(京都新聞杯、日本ダービー2着)の4分の3弟にあたる。母トゥーピーはアランベール賞(仏G3)の勝ち馬で仏1000ギニー(仏G1)2着馬。母の父インティカーブは日本向きの素軽さを秘めた血で、ミスタープロスペクターとダンジグを併せ持つ配合構成。クラシックレースを勝ったハーツクライ産駒2頭、ワンアンドオンリー(日本ダービー)、ヌーヴォレコルト(オークス)は、いずれも母方にミスタープロスペクターとダンジグを併せ持っていたので配合的に高く評価できる。

　前走の水仙賞(3歳500万下)は1000m通過64秒3の超スローペースながら後方に控え、上がり33秒7の鬼脚でゴール前伸びたものの逃げ馬をとらえられなかった。直線の長い京都外回りコースなら、多少前残り傾向のある馬場であっても勝ち負けに持ち込める。

※月曜段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

　ダービーへの優先出走権は与えられませんが、サトノラーゼン、キズナ、トーセンホマレボシと、ダービーでの好走馬がこのレースから最近5年間で3頭輩出されています。関西馬にとっては、青葉賞よりもこのレースのほうが重く扱われている節もあり、ダービーの帰趨を占う観点からも見逃せない一戦です。

1.オープン・重賞負け組より前走1着馬

　このレースでは勢いがなによりも重要で、前走1着だった馬が最近6連勝中。そのうち4頭は500万条件を勝っての臨戦でした。重賞で敗れながらも上位を賑わせた馬たちは名前が売れていることもあって人気を集めがちですが、このレースでは分の悪い戦いを強いられています。

2.マイラーでは勝てない

　マイル志向の強い馬でも能力が高ければ、1800、2000までは我慢が利きますが、2200となるとそうはいきません。過去6年の勝ち馬のうち、スマートオーディンを除く5頭にはいずれも、それ以前に芝2000m以上の距離で好走実績(勝ちか重賞3着以内)がありました。

3.差し一手では難しい

　直線が長い外回りコースで行われますが、過去10年間で上がり3F最速タイムをマークして勝ち切ったのは2013年のキズナと昨年のスマートオーディンだけ。この時期の京都はなかなか前が止まらないので、ある程度早めに動いていける自在性が必要になります。

　プラチナムバレットは5月生まれで成長が遅れていましたが、季節が暖かくなるにつれてぐんぐん充実してきました。毎日杯はアルアイン、サトノアーサーという好メンバーに混ざっての4着で、重賞の常連トラストには先着していますし、前走のはなみずき賞では若葉Sで僅差の2着したエクレアスパークルを競り負かしての勝利。重賞クラスと互角に渡り合った実績は、今回のメンバーでは最上位に評価できます。浜中騎手が絶賛するレース運びの上手さも、この重賞の傾向にぴったり。

　インヴィクタがこれまで大崩れしたのは出遅れた上にスローにはまった札幌2歳Sだけ。ジリ脚ゆえに勝ち味の遅さはあるものの、ゆったり流れる距離では安定感があります。サトノクロニクルは一昨年の当レースの覇者サトノラーゼンの半弟。前走は前残りの展開で脚を余しましたが、ゴール前は強烈な追い込みが目を引きました。輸送帰りで馬体が回復していれば。

　ミッキースワローの前走はローカルのひめさゆり賞とはいえ、上がり3F33秒台の末脚を披露して完勝といえる内容でした。父は5年前の当レースの勝ち馬トーセンホマレボシです。福寿草特別の勝ち馬サトノリュウガは、1月以来の休み明けが課題に。以下、小柄ながら瞬発力は一級品のゴールドハット、NHKマイルCが本線もこちらに回ってくれば侮れないガンサリュート。

【激走期待】人気はまったくないが、先行内容がいい12ウインベラシアスを本命視。大外枠だが12頭立てなら大きな問題はなく、ここもハナを奪取できるはずだ。稽古でもいい動きを見せており、展開利も見込めそう。相手は、11プラチナムバレットと04インヴィクタを上位に評価した。◎-○▲の組み合わせから流す3連複・3連単主体で、いい配当を狙いたい。

【小波乱】インヴィクタはいい脚を長く使える。粘り強いプラチナムバレット。メルヴィンカズマはスムーズな競馬で浮上。

平均値トップ○プラチナムバレットか、前走96で平均値3位◎インヴィクタかの軸2択。どちらも距離は初でコースは93。悩んだ末に京都で勝ちのある◎インヴィクタを上にした。安定感で▲サトノクロニクル。一発は☆ダノンディスタンス。

潜在能力は一級品の3サトノクロニクルが有力。長くいい脚が使えるタイプで京都なら切れ味がフルにひきだせそうだ。次位は11プラチナムバレットで先行策から抜け出しは可能。▲は4インヴィクタで差し脚は威力がある。