【GI級の記録とエンジン】ウィクトーリアのデビュー戦はなんとも破格。母は秋華賞馬、兄ブライトエンブレム(父ネオユニヴァース)は札幌2歳S勝ち、現役5歳馬アストラエンブレム(父ダイワメジャー)はエプソムC2着。ヴィクトワールピサ産駒の本馬も、洋芝適性の高さはある程度は予測できた。

　ただ、開催最終週に、従来の記録を1秒3も塗りかえる1分48秒3には仰天。1000m通過・1分1秒3のスローとはいえ、上り3Fのラップは11秒7-11秒6-11秒6(34秒9)。やや腰が甘い未完成な状態でも11秒6の連続ラップを刻み、GI級の大型エンジンが、時計やラップに見え隠れする。

　当面の敵はアフランシール。本命のタイムがあまりに出来がいいため霞んでしまったが、新馬戦の走破タイムは同じコースで前週に1分49秒8(レコードに0秒1差)。推定11秒6-11秒6-11秒3という加速ラップで、後続を楽々と2馬身完封。

　母ルシュクルは3勝(ファルコンS3着)。半姉のブランボヌール(父ディープインパクト・芦毛)は、函館2歳S優勝。やや敏感質な血統ではあるが、父がハーツクライにかわり背中も脚も長目の鹿毛の牡馬にかわった。

　まとめて負かせばクラージュゲリエのカミソリの切れ。初陣は前半1000m・1分7秒1の超スロー。しかし12秒0-11秒3-11秒3(3Fは34秒6)というレースラップに対し自身のソレは34秒0。ラスト2Fは推定10秒台の連続ラップであっという間に2馬身と突き抜けてきた。半兄のプロフェット(父ハービンジャー)は、京成杯優勝、札幌2歳S2着。父がキングカメハメハにかわり、背中や首差し、毛色も大きく変化し、より瞬発力が強調されている。

　道営馬ナイママは、コスモス賞を入魂の手綱で気迫の勝利。ただ1分50秒2というタイムは、パワー馬場を考慮しても若干平凡。函館2歳S2着のラブミーファインも、良馬場11秒前半の上り対応に課題を残しているか。ニシノデイジーは、前走1分49秒7を計測。例年のレベルなら2歳Sでもソコソコ勝負になるが、今年はちょっと相手が強すぎる。

　新馬戦の勝ち方が鮮やかだった△クラージュゲリエあたりが人気になりそうだが、頭数が増えて最内枠ということになると、どういうレース運びをするか難しい。イン詰まりや差し遅れのリスクも考えなくてはならない。

　同じ新馬組ということになると、過去の例では「新馬戦で3番人気以内」「距離は芝1600m以上」「中3週以上のレース間隔」といった条件を満たす馬が良い。今回のメンバーだと◎ウィクトーリアでもいいということになるし、半兄ブライトエンブレムがこのレースを勝っているというのも心強い。ヴィクトワールピサ産駒の1800m成績も良く、色々と条件が合っている。

　オープン特別好走馬はなんだかんだ強いが、勝ちきれず2、3着止まりのケースも目立つ。○ナイママについては1着固定の馬券にはせず、◎と組ませた3連複でいく。

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【伏兵多し】デビュー戦は1200m。そこを勝ったことで2戦目で函館2歳Sへと挑戦することとなった7ナンヨーイザヨイ。しかし血統的にはベストな距離はもっと長め。それなのに函館2歳Sが1番人気で、1800mの今回がこの人気なら評価はアベコベ。負けたことで、逆に本来のレースに使えると、陣営は喜んでいるくらいの妄想が成立。新馬を勝ったばかりの馬で敗戦を知らないピリピリした馬よりも、有意義な負けで肩の力が抜けた同馬を狙いたい。大物の可能性を感じる10ウィクトーリア。やや人気先行タイプにも思えるが、デビュー戦で見せた光景は、有名ブランドのクオリティーの高さを感じさせるもの。傷をつけない走りが出来るか。14ナイママは4コーナーの手ごたえが悪かったにも関わらず、しぶとく伸びた前走は好感。根性に見どころ有。

※月曜日段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

　翌年のクラシックを展望する中距離タイプの夏場の大目標という位置づけで、かつてはロジユニヴァースやゴールドシップというクラシック馬がここに登場したこともある。ただ、2012年の北海道開催短縮で、施行時期が繰り上がって以降は、出走馬のレベルが低下傾向にあり、翌年以降のGIを賑わせるクラスの出走が稀になっている。近年ではたんに「北海道シリーズの2歳戦の総決算」という意味合いが強い。

1.馬格が必要

　過去10年のうち函館で施行された2013年を除いた9回で、馬体重が最も軽かった勝ち馬は、2016年のトラスト(456kg)で、勝ち馬9頭の平均馬体重は480.9kg。2012年は428kgの1番人気ラウンドワールドが474kgのコディーノの後塵を拝し、2015年は456kgの1番人気プロフェットが492kgのアドマイヤエイカンに競り負けた。昨年は538kgのファストアプローチが4番人気で2着。

2.牝馬が強い

　2012年に施行時期が繰り上がって以降の6年間で、牝馬が2勝して2着3着も2回ずつある。一昨年10番人気で2着したブラックオニキスはメンバー中唯一の牝馬だった。それ以前は牝馬がほとんど好走できないレースだったが、近年は傾向が一変。最近5年間は牝馬の馬券圏内好走が途切れていない。

3.スピードが必要

　過去10年のうち函館施行の2013年を除く9回で、逃げ・先行馬が5勝を挙げている。マクリを決めた2015年のアドマイヤエイカンも前走では逃げ切りを収めていた。新馬戦レベルでは先行する脚を見せている馬でないと、多頭数になる重賞では位置取り争いで後手に回る危険性がある。

　ウィクトーリアは2014年にこのレースを制したブライトエンブレムの半妹。牝馬ながら前走で462kgと、小柄な馬が多い母の仔としては馬格にも恵まれている。前走は2歳レコードを1秒以上も更新する優秀な内容だった。前半から脚を使いながら、3コーナーから加速して最後までまったくスピードが落ちていない。スローになることが多い2歳の中距離戦としては出色の好内容だった。

　クラージュゲリエは札幌開幕週の新馬を快勝。前残りの展開を大外を回って差し切った末脚は圧巻だった。半兄は2015年に当レースを2着したプロフェット。ナイママはホッカイドウ競馬所属で、前哨戦のコスモス賞の勝ち馬。中央2戦目の上積みも見込める。前走で減っていた馬体重が戻っていれば。

　ラブミーファインは函館2歳S2着だが、この距離で新馬勝ちしており、距離に融通は利くタイプ。以下、ブランボヌールの半妹アフランシール、東京デビューから転戦するエメラルファイト、福島デビューで随一の素質馬クリスタルバローズ。

初戦を函館の同距離戦で95勝ちをしている◎ウィクトーリア。いい数字での初戦勝ち上りを重視する。相手に同距離コース93○ナイママ。3番手に▲クラージュゲリエ。一発に☆アフランシール。

4年前の勝ち馬ブライトエンブレムの半妹10ウィクトーリアが有力。潜在能力は高く上積みは必至ならチャンス。次位は1クラージュゲリエでデビュー戦の鮮やかな末脚からチャンス。▲は5アフランシールで決め脚は鋭く互角。