【混戦】カツジは重めを叩かれたNZTを差し切り勝ち。ここに向け動きさらに上向きでG1勝利に期待。ギベオンは毎日杯2着もキャリアの浅さ出た印象。能力非凡で力感も前走以上でチャンスあり。プリモシーンは桜花賞が不完全燃焼も素軽さ十分で好勝負が可能。タワーオブロンドンも引き続き迫力十分で争覇圏。ケイアイノーテックも力量見劣らず、ミスターメロディやパスクアメリカーナなども差はない。

【世代マイルの巨塔】タワーオブロンドンは、馬体の造りも坂路の動きも迫力満点。現3歳世代のマイルシーンの中ではもちろん、古馬や世界を相手にしても通用するマイラーだ。ダノンプレミアム相手に、真っ向勝負を挑んだ朝日杯FSは3着。さすがの大型馬も少し連戦の疲れもたまっていたか。密集馬群の中でリキみもみられ、勝ち馬を早めに捕まえにいったぶん、アゴが上がったが、ミッドウェイFでの立て直しは良好。いつも調教は動くが、アーリントンCも今回も、また一段上の違う造りができている。

　アーリントンCでは、レースレベルも向上。1000m通過・58秒7のミドルペースにも、気負うことなく対応。直線入り口では追い出しのタイミングを計る余裕、メンバー中第二位の上りで1分33秒4を計時。マイルでもしっかりと「タメ」がきいた。東京コースは京王杯2歳優勝で経験済み。その京王杯2歳Sは、直線坂上までもったまま。そこまで追い出しを我慢できるのかと、逆にヒヤヒヤするくらいスムーズに流れに乗り、上りは33秒2。ルメールなら、レースはブレない。

　対抗はギベオン。デビュー戦の阪神・芝1800mは、前半5Fが1分3秒4のスロー。上りが速くなるのは当然とはいえ、向かい風に戸惑いつつも、直線の上りは推定11秒4-10秒9-11秒5(3Fは33秒8)。坂コースの阪神で、目に見える10秒9という具体数字は能力の証。次走のフリージア賞は、11秒3-11秒1-11秒8というレースラップを(3Fは34秒2)、坂下までひと呼吸追い出しを待ち、タフな東京コースでも上り33秒7で外一気。毎日杯の時計決着は、過去10年でもキズナに匹敵する高レベルだったし、レースの上りも推定11秒5-11秒1-11秒5と良質。ま、毎日杯経由とはいえ2着というのが若干弱いが(笑)、毎日杯からNHKというローテは、キングカメハメハ、ディープスカイ、ダノンシャンティなど、実は王道。

　一角崩しがあればプリモシーンの切れ。桜花賞は直線手前、どこに進路をとるのか。そこはダメだろうというところに進み、お手上げ。脚はあっただけにもったいなかった。ただ、東京マイルの持ち時計・1分34秒2と上り33秒2は、よく見れば同時期のアーモンドアイの未勝利勝ちより内容は上。その時ロングスパートで、力でねじ伏せたのがテトラドラクマ。牡馬混合でもGIでも、通用可能な切れを隠している。

　パクスアメリカーナは、アーリントンCは休み明け。少し首回りとトモの筋肉が硬いなという状態でも2着。叩いた変わり身も期待できそうだ。ただ、10秒台のラップが見当たらず、本質的に33秒台前半の上りがどうか。同アーリントン3着のレッドヴェイロンは、逃げた二走前から一転。道中何度も頭をあげそうになりながら、我慢ゝで直線最速の上りをマーク。当日のテンションの高さを確認する必要があるが、前走で能力はわかった。

　NZTの走破タイムは1分34秒2と、アーリントンCと比べると少し見劣る。ただ、勝者カツジだけは東京にも新味を残しているが、そのほかはどうだろう。

　NHKマイルCはもともとマイル路線にいたりそれより短いところを使われていた馬より、いったんはクラシックを意識して中距離方向に行った馬のほうが馬券的な妙味がある。理由のひとつはニュージーランドトロフィー組で、人気ほど走らない年も多く、特に1,2着してきた馬は印象ほど走っていない。

　今年はアーリントンカップ組のレベルがある程度高いと思うのでそちらからマイラータイプが来てしまう可能性もあるが、転向組が付け入る隙間があるようなら◎ルーカスで複勝圏内の確保も可能。このタイプは勝ちきれないことが多いが、今回の人気ならば3着でもOKだろう。

　○ギベオンはこのレースと相性の良い毎日杯組でだからこそこのシルシなのだが、ちょっと人気になりすぎている感も。▲は血統のポテンシャルがある馬で、今回は関東圏での競馬なので桜花賞とはまた違った一面が出てくる可能性もあると見る。

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【波乱必至】混戦のメンバーで展開的にも難解なら、好位から上位の決め手を発揮できそうな9ギベオンが優勢。7タワーオブロンドンは堅実に差を詰めるタイプでこの舞台でも崩れることはないだろう。15カシアスは今回も単騎逃げが見込めそうで叩き2走目の上積みにも期待。

　1カツジは今回も立ち回りひとつで差し脚が届く可能性がありそうだ。3テトラドラクマはひと息入ったが先行してしぶとい粘り脚に警戒が必要。18ロックディスタウンは大敗続きでも転厩2走目で立て直した効果があるとみて、穴として挙げておく。

※月曜日段階の予想ですので回避馬が含まれるケースがございます。あらかじめご了承ください。

　1996年の創設当初は、クラシックへの出走権利がなかった外国産馬の3歳春の大目標となっていて、「マル外ダービー」の異名をとった時期もあった。当時の優勝馬には、日本調教馬として初めて海外GIを勝利したシーキングザパールや、凱旋門賞2着のエルコンドルパサーの名前もある。

　今世紀に入ると、外国産馬と内国産馬の力関係が逆転。それ以降は、2001年のクロフネを皮切りとして、キングカメハメハ、ディープスカイと、このレースをダービーへの叩き台として利用する例が増えた。このルートを開拓した松田国英調教師の名前をとって、「マツクニローテ」と呼ばれているのは周知のとおりだ。

　ディープスカイのダービー制覇からもう10年。勝ち馬がダービーへと転戦した例は、最近では途絶えている。この4年間の勝ち馬は、ミッキーアイル、クラリティスカイ、メジャーエンブレム、アエロリット。ダービー・オークスを見据えた中距離タイプというよりは、マイルが適性のピークにある馬たちの頂上決戦へと、ここに来てレースの性格がふたたび回帰しているような印象がある。

1.1分33秒台の持ち時計が必要

　昨年の勝ち馬アエロリットは2番人気だったが、メンバー中で芝マイル1分33秒台の持ち時計があったのは、この馬一頭だけだった。一昨年のメジャーエンブレム、ロードクエストは持ち時計第1位と2位。近年のこのレースでは、「持ち時計の比較」という単純なツールが、物差しとして非常によく機能している。2011年以降の勝ち馬7頭のうち、6頭はそれ以前に芝1600mを1分33秒台で走破した履歴があった。

2.スピード戦の経験が必要

　かつての経緯からこのレースでは、中距離路線からの距離短縮が持て囃される向きがあるが、そう簡単でもないよ、というデータ。それ以前に芝のマイル戦に使われたことのなかった馬の連対は、2010年のダノンシャンティが最後。2013年2番人気5着のガイヤースヴェルト、2012年2番人気失格(6位入線)のマウントシャスタは、この条件をクリアーできていなかった。

3.マル外ダービーふたたび？

　昨年13番人気で2着したリエノテソーロは、メンバー中唯一の外国産馬だった。2015年2着のアルビアーノも同様。ここに来て、このレースにおける外国産馬の存在感が復活している様相がある。ディープインパクト産駒は[1-1-1-5]、1番人気のミッキーアイルが勝って2番人気のコティリオンが2着と、ほとんど人気通りにしか走っていない。キングカメハメハはこのレースの勝者でもあるが、産駒は[0-0-1-5]と結果を残せていない。

　タワーオブロンドンは朝日杯を1分33秒9で3着、アーリントンCを1分33秒4で勝利。アーリントンCは休み明けで八分程度の仕上がりで、さらに直線で追い出しを待たされる場面もあったが、他馬をほとんど問題にしなかった。父が米国産で母が英国産という持ち込み馬で、内国産馬にはなかなか見られない圧倒的なパワーを持っている。スローに流れた場合の対処も京王杯2歳Sの内容から問題なく、死角の少ない本命馬と言える。

　ミスターメロディは初芝だったファルコンSがほぼ完勝といえる内容だった。距離延長は課題になるが、レースセンスは抜群と言えるし、芝ではまだ底を見せていない点も魅力だ。リョーノテソーロは、ニュージーランドトロフィーで8着とはいえ最後までしぶとく脚を使っており、距離面の不安をクリアー。エンジンの掛かりの遅さがあるので、東京替わりで前進が期待できる。

　テトラドラクマはマイル戦で2回1分33秒台で走った実績があるし、自分でレースを作れるのは強みだ。以下、ニュージーランドトロフィーが好内容だったカツジ、ケイアイノーテック、広いコースに替わるのはプラスのファストアプローチ。

【小波乱】ギベオンは決め手上位。潜在能力が高いレッドヴェイロン。プリモシーンは流れに乗って浮上する。

平均値トップは重視がセオリーだが前走96だけの☆ミスターメロディは一発候補まで。これならば平均値は低いが前走同距離コース103◎テトラドラクマ抜擢。関東の牝馬という同レースのトレンドにもバッチリ当てはまる。相手に○タワーオブロンドンと▲ギベオン。さらに関東牝馬△プリモシーンも押さえ。前走値比較すればわかるように大混戦となった今年。△までで押さえきれるかどうかの勝負である。

前哨戦アーリントンCの鮮やかな勝ちっぷりから7タワーオブロンドンが有力。マイラーとしての資質は高くパワーアップは必至。ここは負けられない。次位は5プリモシーンで他力本願だが末脚は強烈。▲は3テトラドラクマでスピード能力は高く時計優先の馬場は歓迎。

　例年、この東京開催の前半は時計が速く、特に芝のマイル戦では先行有利の傾向がある。実際に近年のこのレースでも、ハイラップになっても前が止まらないケースが多いのだが、今年は例年よりも更に速い時計が出ている上に、差しもバンバン決まる馬場。流れを味方に付けた決め手勝負の馬を狙う手だろう。

　◎はプリモシーンとした。この舞台で人気の一角テトラドラクマを差し切った未勝利戦、不利な中山の外枠から楽に抜け出したフェアリーSは共に秀逸な内容。出遅れと直線の不利で全く競馬をしていない桜花賞から、ジックリと立て直して臨むここは、真価発揮の場となるはずだ。

　相手は、タワーオブロンドン、テトラドラクマ、カツジへが本線で、以下は、パクスアメリカーナ、ミスターメロディ、ギベオンまで押さえる。