【重賞馬のパフューム】3歳馬オメガパフュームの勢い右翼。明け3歳の1月期だけに、古馬と比べると新馬戦の走破タイムは地味。ただ、上り35秒8は強烈。続戦の阪神1800ダートでは、一気に1分52秒7に時計を短縮。レース内容も、終始外々を回し、直線入り口で再加速するという圧倒振りだった。

　青竜Sで一度3着と躓いたものの、加古川特別ではアッサリと古馬を撃破。JDDダートは、ダートシーンの次代を担うルヴァンスレーヴの後塵を拝したが、良馬場・2分6秒1というタイムは、JDD史上でもトップランクに数えられる。阪神2000mは大井の10Fより脚抜きがよく、53キロなら加速力もアップも見込める。

　当面の目標はラインルーフ。梅雨時の7月・中京開催のダートは、レコードが続出する、経験のないほどの高速馬場ではあったが、名鉄杯は1000m通過・59秒3-マイル通過は1分36秒5というミドルラップを自らが演出し、上り3Fは推定12秒4-12秒6-12秒4。2着を1秒3と突き放す、1分49秒1はお見事。ハンデはまだ56キロ、今回も迷いなくシンプルな戦法でいける。

　グレイトパールの実力も、もちろん侮れない。ダートレースでは、平安Sで初めて馬券対象から外れてしまったが、554キロとなると腹回りがダブつき、数字通り重かった。テッポウには良績があるけれど、当日の体重は要チェックだろう。

　サンライズソアは57.5キロに増量。先手争いがデリケートになるが、近3走で名古屋大賞典、57キロで平安Sなど重賞で2勝を挙げ、調教の動きもピークに近い。

　6歳夏のダート転向にはなるが、ウェスタールンドは、唸るような差し脚で時計をどんどん更新しながら目下2連勝。さすがにいきなりのGIII、10F延長が微妙ながら、オープンの器にあることは前二戦の上りラップの精度の高さで確認できた。ミキノトランペットも、オープンレベルにレースに圧倒感が出てきた。

　阪神ダート2000mは本質的には先行タイプ有利のコースだと思うのだが、クラスが上がるほどに逃げ残りは難しくなり、このレースでも最近は16年のマスクゾロしか好走例がない。そのマスクゼロも、昨年は1番人気で7着だった。「ハナには行かないが好位にいる」というのがいちばん無難だろう。

　シリウスSについて言えば、前走で地方側のダートグレードを走っていた馬が不振で、中央組では前走準オープン勝ち上がりの昇級組がやたらと強いという傾向にある。前走準オープン勝ちの馬は過去10年で[4-1-0-6]。実は前走準オープン9着だったマイネルアワグラスが08年に勝っているので、過去10年のうち5回は昇級組が勝ったということになる。

　今回は▲グレイトパール、☆サンライズソアといった強い馬もいるが、この傾向を重視して◎ミキノトランペット、○ウェスタールンドからの馬単でいってみようかと思う。◎は安定して先行している馬だし、○は初ダートから圧勝での2連勝。

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【穴ムード】阪神2000mは2戦2勝と抜群のコース相性を誇る7ナムラアラシ。近走着順は良くないものの、一度使われて目標通りに駒を進めてきた。道悪に加えて、イレギュラーな距離。ジョッキーたちの意識が自然と前に向けば、一気に差し込めるスペースが生まれるはずだ。同様に相手も追い込み脚質の10ヒロブレイブを狙う。自分から動くこともできるが、理想は直線一気。前走1400mを使ったことが何とも不気味にうつる。8グレイトパールは能力一枚上。平安Sの勝ち方を見ると、まともなら…という気持ちになるのは当然のこと。

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　翌週に地方交流の日本テレビ盃と白山大賞典があるので、メンバーは分散する。舞台は、JRAのダート重賞としては最長距離となる2000m戦で、ゴール前に坂がある阪神コース。つまり、舞台設定はタフだが、メンバーはそれほど強くならない、という点がシリウスSの特徴である。

1.上がり馬が通用する

　前走で準オープンを使っていた馬が過去10年で[5-1-0-7]、勝率38.5%・連対率46.2%と、半数近くが連対している。昨年はドラゴンバローズが5番人気2着、2015年はアウォーディーが3番人気1着。ハンデ面で優遇されやすいこともあって、格上がりの馬にほとんどハードルは感じられない。

2.芝の実績が重要

　2011年の勝ち馬ヤマニンキングリーは、札幌記念など芝で重賞を2勝していて、ここが初のダート挑戦だった。2015年のアウォーディーも目黒記念4着などがある芝の実力馬で、ダートはその前走が初経験。一昨年2着で昨年3着のピオネロも、デビュー以来ずっと芝で実績を積み重ねていた。ダート重賞ながら、芝での実績がある馬が走りやすいレース。

3.逃げ馬は苦戦

　逃げて連対したのは一昨年1番人気1着のマスクゾロだけ。そのマスクゾロも、同じく逃げた昨年は1番人気で7着に敗れている。2013年の1番人気サトノプリンシパルも逃げて15着に大敗した。逃げて実績を残してきた馬の扱いには慎重になりたい。一方、差し・追い込み馬は過去10年で5勝を挙げていて、その人気は6・2・5・3・11。差し馬がハマりやすい、というレース傾向。


　ウェスタールンドは去勢手術明けの久々だった前々走の1000万条件を快勝。続く前走の準オープン薩摩Sも最後は手綱を緩める完勝だった。これでダート転向後2戦2勝と、まったく底を見せていない。2歳時には未勝利戦でアルバートドックやグリュイエールというのちの重賞好走馬と好勝負をしていた馬で、秘めた素質がようやく開花しつつある。気難しさは完全には解消していないようで、不器用なレースぶりは以前と同様だが、差し馬優勢のレース傾向は追い風になりそうだ。

　グレイトパールは平安Sでダートで初めて土がついたが、逃げ馬ペースにハマったのもあるし、長期休養明け好走の反動もあっただろう。仕切り直しの一戦で見直しは当然。サンライズソアはレースぶりに注文はつくが重賞2勝の実力馬。今回はルメール騎手との初コンビも魅力だ。スタートさえ決まれば。

　オメガパフュームは3歳ダート路線の上位馬。しぶとい差し脚が武器で、古馬初挑戦でも侮れない。以下、重賞実績豊富で前走を度外視して狙いたいクインズサターン、芝挑戦を挟んだ名鉄杯が圧勝だったラインルーフ、初ダートになるが芝実績馬が強いというレース傾向から注目のムーンクレスト。

【差し優勢】先行指向が強く、差し有利の展開になりそうなメンバー構成。それに、阪神ダ2000mは瞬発力の要求度が高いコースでもある。本命は06クインズサターンで、末脚のキレはかなりのもの。状態も変わりなく順調な様子である。相手は、08グレイトパールと12リーゼントロックの2頭を上位にチョイス。やや紛れもありそうなので、◎○▲の組み合わせから流す3連複・3連単主体で勝負したい。

【小波乱】グレイトパールはこの距離が合う。力をつけているコパノチャーリー。追い比べでナムラアラシが浮上。

面白いのは◎ラインルーフ。前走は半年ぶりとなるダート戦でいきなり120を出しているのは凄い。もちろん今回このレベル出れば圧勝もあり。この数字に近い走りをどれだけできるかの勝負だろう。相手に○グレイトパールと▲サンライズソア。前走値114☆コパノチャーリーの一発。

今期の成長株14サンライズソアが優勢。器用な脚がありここは先行策から押し切れる。次位は8グレイトパールで地力は上位で得意の阪神なら鉄砲駆けの魅力はある。▲は3オメガパフュームで上り馬で実力は互角。