【輝き戻る】
アーモンドアイが7つめのGIタイトルに向け進発。
全成績は[8111]、馬券の対象から外れたのは前走の
有馬記念のみ。前回の有馬は予定していた香港遠征を熱発で回避。調教はそれなりに動いた。ぱっと見ただけではダメージはなさそうに映った。しかしいざ実物を見ると、パドックでやけに小じんまりと映る。返し馬も、普段なら降ろした一完歩めから豪快。ダイナ
ミックなフォームも、同馬の魅力の一つだったが、
有馬記念は妙におとなしく溌剌さを欠く。道中
フィエールマンなど、ラ
イバルの厳しいマークにもさらされたが、直線は風船がしぼむように失速…。あの敗退は、やはり体調ひと息が原因だろう。
ヴィクトリアマイル前も、予定していたドバイ遠征は、コ
ロナ奇禍で回避という事象が生じ、美浦トレセン入りし、二週間余で実戦に向かうローテーションも初めて。しかし前をとらえようとするときの伸び脚、気迫は、そして瞳の輝きは本来のアーモンド。最大の懸案であった体調はしっかりと整えた。マイルは
桜花賞のレコ勝ち(当時のレースレコード)を含め[3010]。昨年の
安田記念はスタートで痛恨の不利を被り追い込み届かずの3着に敗れたものの、11秒1-11秒2-11秒6(3Fは33秒9)というレースの上りに対し、自身の上りは仰天の32秒4。残り1F標識からの加速には鳥肌が立った。
牝馬限定戦ならパドックや本馬場入場のストレスも軽い。有馬→
ヴィクトリアマイルというローテの成功例はないが、脱常識とデータ超えこそが競馬だ。
対抗は前年の覇者
ノームコア。昨年の
ヴィクトリアマイルは、
安田記念を0秒4上回る、1分30秒5のコースレコードで一気差し。富士Sは56キロを背負い、追い出しのタイミングをはかりつつ見降ろしの完勝。マイルなら、東京1600m適性は、
アーモンドアイと同等とみていい。二走前の香港は、輸送で
テンションが上がり出遅れ。
高松宮記念は初の1200m、この距離は「お試し」。6F仕様に筋肉量を増やして参戦したが、結果は肉が邪魔で動けない。未知の不良馬場など諸々の条件が重なり15着に終わったが、もともと春の第一目標は
ヴィクトリアマイル。馬体をひと絞り、
シルエットと脚捌きもシャープ、一瞬の切れを活かせば、小さくとも勝機も見えてくる。
割って入れば
サウンドキアラ。昨年は旧1000万クラスを勝ち上り
ヴィクトリアマイルへ参戦、GIの壁は厚く7着と跳ね返された。だが、その経験を糧に、以降の成績は[4010]。うち重賞3勝、コース、馬場、展開は不問。自由自在の機動力を備え、状態も右肩上がり。最終追い切りの坂路の動きも圧巻、今の充実振りなら1分30秒台の高速決着にも突入できる。
終い勝負に徹すれば
プリモシーンが一発。昨年の
ヴィクトリアマイルはクビ差2着。
東京新聞杯は56キロを背負い余裕の完勝、東京戦績と走りは、対抗の
ノームコアにきわめて近い。ダービー卿CTはハンデ戦、1番人気。丁寧を心掛けたが、結果的には乱ペースの外々を振り回され、大味な競馬になってしまった。前回はあくまでGIIIのハンデ戦、ここへの
ステップレース。鞍上のレーンは昨年の
ヴィクトリアマイルは
ノームコアとのコンビで優勝したが、今年は
プリモシーンで勝ちを目指す。
ラヴズオンリーユーは、昨年の
オークスを2分22秒8という快記録で直強襲を決めた。ひとつ上の
アーモンドアイの
オークスの記録を1秒更新した血統馬、資質はアーモンドと五分に近い。ただ、まだ腰の入りが本物ではなく、
トップギアに切り替わる際、ほんの数秒タイムラグが生じる。体重の変動も大きく、まだ体造りはデリケート。能力はわかっているが、マイルは若干忙しく、
アクセルの踏み遅れがあるかもしれない。
スカーレットカラーは
府中牝馬Sを1分44秒5、上り33秒2でまとめて串刺し。
ステップレースの
阪神牝馬S・上り33秒4で2着に押し上げ、デキもいい。ただ9Fとマイル適性は求められるものが微妙に異なるかもしれない。