【終わってみれば】本年の
皐月賞の前評判は「3強」。だが終わって見れば、
コントレイルが飛びぬけた存在であることと、きっと知ることになる。
祖母はBCジュヴェ
ナイルフィリーズ勝ち、父にディープを配した3番仔は、構想をはるかに超える切れ者。デビュー戦の阪神9F・1分48秒9、上り33秒5(ラスト2Fめ10秒7を計測)で、何気に資質の高さを示していた。
次走の東スポ杯は、世界も仰天。5回東京5日目は、2レースの10Fで2歳レコードも出た、特別な鏡のような高速馬場。9Fでもきっと、レコードが出るだろうと思っていたが、1000m通過は58秒8でよどみなく展開。ラスト3Fのレースラップは11秒7-10秒8-11秒4(33秒9)、自身の上りは33秒1。鞍上のムーアが、右から左から圧を入れ、走破タイムは1分44秒5。あの
イスラボニータが保持していた2歳コースレコードを、一気に1秒4更新。おったまげた。
続く中山2000mの
ホープフルSは、2分1秒4でひとまず完勝。抜け出すと頭を上げたり、幼い面も見せたけれど、坂上からもうひと伸び。稽古事は遊び、あまり時計の出すほうではないが、一週前の追い切りは福永Jを背にCWで6F追いを敢行。三頭併せの内に潜り込み、馬なりでフィニッシュ。頭を上げないよう抑え込み、モタれ癖など矯正。
皐月賞への約束事を互いに確認できた。
父ディープインパクトの、最後にして最良の後継者となる瞬間を
皐月賞で見たいものだ。
対抗は
サリオス、逆転もある。サウジアラビア
ロイヤルCを1分32秒7のレコードで駆け抜け、いざ
朝日杯FSへ。身体はシュっと締まったが、逆に尖った部分や、腰高のラインなど、まだ成長段階なのだなとも感じた。3枠6番枠から発馬は一斉。テンの2F・10秒5のあたりですでに、ガッチリと3番手を確保。1000m通過は57秒2のHピッチで通過。直線入り口ではフラフラする先行馬のあおりなどくらわないよう、様子をうかがいつつ、交わしたと同時に11秒8-11秒6-12秒4(3Fは35秒8)というレースラップを、自身・35秒4で叩き出す。
ゴール手前、ふっと手綱に目を落とし、走破タイムは1分33秒0、2着を2馬身半差の完封劇。一週前の阪神JFより時計は若干遅かったが、一週経って若干馬場に傷みもあり、エンジンの吹き上りまでにタイムラグを要する、
ハーツクライ産駒の大型牡馬。マイルの
朝日杯FSが最終駅ではない。
お立ち台で、あのムーアが笑った。「僕がファンだったら、この馬を追いかけるだろう」と呼びかけたが、その伝言を受け取るのはレーン。
前走後は、栗東近くのしがらきに放牧。馬体を一から見直し、3月15日から美浦トレセンで調教再開。もともと調教は動く。しかし、
皐月賞前の走りと時計は一段桁が違う。堀厩舎でこんな時計が出るのは、あの
ドゥラメンテ以来だろうか?これまでの戦法は先行差し。大事に安全策を取ってきたが、レーンの持ち味は、
リスグラシューの
有馬記念が示す通りの坂上一気の大胆。いい意味でイメージを覆す、ドトウの外強襲も十分あり得る。
割って入れば
サトノフラッグ。勝ち上がりは二戦目。ガツンと固まり切れていないような、幼さや水っぽさが残しつつも、よどみのない平均ラップを中団追走。11秒9-11秒5-11秒6(3Fは35秒0)というレースラップを、残り1Fからまたひと伸び。終わって見れば、東京2000m・1分59秒5のレコードの灯がともった。
年明け1月5日、中山・芝2000mは2分1秒4で2勝目を奪取。1回中山は年末のAコースからCコース替わり。芝のコンディションなど異なるが、
ホープフルSとタイムは同じ。推定2F・11秒6-11秒6という滑らかな加速ラップ、そしてレースの価値は、
ホープフルSと五分以上という見方もある。
弥生賞は決して得意ではないだろう重馬場。しかし
武豊Jの指示通り、1-2コーナーを抜けた地点で後方からジワリと外へ。1000m通過・1分1秒1とタフなミドルを踏み、3コーナーすぎ大外を鋭くターン。坂上一気に先行勢をのみ込み、最速の上りをマーク。後続は手も足も出ない。2分2秒9というタイムも、馬場差を差し引きすれば、レースレベルはA。
母はアルゼンチンの3歳牝馬チャンピオン(亜1000ギニー、亜
オークス)。首や背中の丸さ長さ、肌のしっとり感は、同じアルゼンチン系の
サトノダイヤモンドにもよく似ている。穏やかな馬ではあるが、先週の追い切りを境に目つきもキラリと鋭くなっている。
1分58秒を切るような決着だと危ういが、
パワー馬場なら
クリスタルブラックの大駈け。新馬戦は12秒3-11秒5-11秒5(3Fは35秒3)というレースの上りを34秒4で大外強襲。はて?。終い2Fは推定11秒1-10秒9という超加速ラップで駈けたのではないか?
京成杯も馬場差1秒の稍重。道中頭が高くなったり、4コーナーの回り方も乱暴。重巧者
キズナ産駒向きの舞台設定ではあったが、スローモーションでも見ているかのような、一完歩ごとの追撃、G前強襲。2分0秒前後の渋馬場なら、またしてもあの馬かというシーンもあるかもしれない。
ヴェルトライゼンデは、
ホープフルSを最速の上りで2着に連対。
スプリングSを叩いてひと絞り、こちらも湿り気の残る
パワー馬場を条件に、
ステイゴールド系特有の粘り腰発揮。
マイラプソディは、
共同通信杯はまさかの4着…。単なるポカかもしれないが、改めて3勝の内容など見直してみると、
野路菊Sは、例えるなら
ワグネリアンのレベル。
京都2歳Sは、フラットコースを思えば、35秒9も2分1秒5も案外と平凡だったかなぁ…。
レクセランスは、ポテンシャルはGI級。ただ、まだ腰が細い。コーナーリングや多頭数をどうさばくか。直線勝負に徹しての連穴まで。