【短でも金】
グランアレグリアが、マイルに続きス
プリントGIの
チャンピオンベルトを巻く。紐解けば3歳春、
桜花賞を1分32秒7のレースレコードで駈け、本年の
安田記念では、
アーモンドアイ、
インディチャンプといった超A級マイラーを0秒4差に封印。成長の過程は馬体重にも顕著。デビュー時458キロだったひょろひょろとした馬体は筋肉の鎧でおおわれ、
安田記念では492キロにビルドアップ。太い首、厚い胸、胴回りはズンと張り、臀部も丸々。
スプリンターズS前の木曜発表では506キロを計測。マイルも走るが、秋は短距離ランナーの体型に練り上げてきた。春の
高松宮記念は、短距離GIにしては緩めの平均ペースで推移。ポジションは後方、ちょっと構えすぎたか。直線入り口で外に振り回されるロスも重なり、追い込み届かずの2着に終わったものの、6Fの走りは普通に理解できた。
三走前の阪神Cは残り1F地点では先頭、1200m通過は1分7秒9と、高速ラップは学習済み。
安田記念はラスト3F・11秒4-11秒0-11秒9(34秒3)という上りを、33秒7で一閃。勝負を決めたのは残り1F標識手前、その地点で推定10秒6前後の超高速ラップをマークしており、このラップがあれば、6Fでも瞬時にワープする。時計勝負はもちろんだが、7・8Fもこなせる底力の持ち主だけに、今季の中山の
パワー馬場も問題なし。
対抗一番手は
ダノンスマッシュ。2019年の
高松宮記念は4着、同年の
スプリンターズSは3着。GIタイトルにあと一歩のところに迫ったが、
高松宮記念時は左回りに課題あり。
スプリンターズSは、内枠が災い。腰に力がつききっておらず、勝負どころの反応が遅い。負けるべきして負けたともいえた。しかし5歳となった2020年は、左回り1400m・
京王杯SCを逃げ切り。
安田記念も残り1F標識まで先頭。単なる速いだけのスピード馬から脱却を果たし、坂もある中京の1200m・
セントウルSを、前後半の3Fを33秒8-34秒1という対称ラップで、1分7秒9で完勝。身体
バランスは前年の比ではない。木曜日発表は前走比10キロ増の480キロ、ひと叩きして馬体もさらに張ってきた。今年のスマッシュはまず崩れない。
割って入れば
モズスーパーフレア。中山は昨年の
スプリンターズS・1分7秒2(2着)も含め[3200]。繰り上がりとはいえ、
高松宮記念は執念の粘り込み。平坦よりは負荷のある坂コースを得意としており、前年より見るからに地力もつけている。Hペースの逃げも打てるが、今は平均に落としレースをコントロールできる逃げ馬に進化した。GIというのに競り駈けてうる馬も見当たらない。競ってきたとしても絶対スピードも違う。坂上までは先頭、レースの流れひとつでギリギリの粘り込みがあるかもしれない。
次いで
レッドアンシェル。昨年の
CBC賞快勝から回り道もしたが、
北九州記念はブリンカー効果てきめん。身のこなしに溌剌さが戻り、直線馬群を割って一頭違う脚色で悠々の抜け出し。二番が効くかどうかが微妙だが、前走の馬体の張りと闘志を保っていれば上位争い十分。
ダイアトニックの巻き返しも要警戒。もともと誰が乗ってもコントロールが難しいところがあり、
キーンランドCは道悪も加わり競馬にならなかったが、
高松宮記念小差の3着。横山典Jのエスコートなら大仕事がある。3歳馬
ビアンフェの急変身にも注目。560キロの巨漢、正代のような、スピードと体力だけで逃げ戦法をとってきたが、
セントウルSは好位に控え、一瞬伸び掛かる素振りを見せた。若馬は想像を超えるスピードであっという間に大人になる。
ライトオンキューはゆるゆるの身体で近二走1・2着。栗東の坂路で鍛え直せば、思った以上の変身があるかもしれない。