【いつか来た道、進む道】
ヴァンドギャルドが、2019年の最優秀短距離馬に挑戦状を差し渡す。
2歳9月、阪神マイルで新馬勝ち。二戦目の東京スポーツ杯では、鋭く馬群を割り、勝ち馬に時計差なしの3着に肉薄。これは走る、切れる。続く
毎日杯も最速の上りで3着急追したが、3着続きではクラシックの出走権を得ることができない。疲労も蓄積、
アーリントンC9着を最後に春を切り上げたが、立て直しをはかり、秋は3連続V。二走前の
ウェルカムSはJC当日、岩田望Jとのコンビで一気差し。底力を問われる東京9Fを走り切るギアと才能、そして彼のジョッキーの度胸のほどを目にすることができた。
東京新聞杯は発馬で痛恨の立ち遅れ、加えて内目の2番枠。道中動くに動けず。二度三度と進路を探したが、仮柵を設置したDコースは馬群が密集。歯噛みするような思いを抱えながらの6着入線になってしまった。しかし、反発力と前進はあっても摩耗はない。中間3度、岩田Jが跨り、藤原英厩舎独特の精緻な追い切りを消化。この
マイラーズC好走なくして
安田記念は遠い。全力投球でGIIへ
アタックだ。
超えるべき壁は、ひとつ年長のGI馬
インディチャンプ。戦績をたどると、あら不思議。3歳春は、
毎日杯3着、
アーリントンC4着。ひと夏を超え条件クラスを連勝、3連勝で
東京新聞杯制覇。
マイラーズCは4着と躓いたが、
安田記念では
アーモンドアイ以下を完封。秋は
マイルCSを堂々の寄り切り。一年を終え、最優秀短距離馬の称号を手に入れた。香港遠征は
ピーク過ぎ。
中山記念はコーナー4つ、1Fが長い1800m、坂上で脚が止まってしまった。予定していた香港遠征から
安田記念へと舵を切り替え、微妙にローテーションは狂い、今回は実質休み明け。調教パートナーである
ダンビュライトに、
マイルCSの時は先着しているが、今回は若干の遅れ。地力を蓄えた今なら、昨年4着よりは走れるし、福永Jも王者の競馬は構築する。ただ斤量は58キロ、本当の勝負はやっぱり次回。今回は対抗でもいい。インディがフワッとゴール前甘くなるようなら、
ヴァルディゼールが一角崩し。京都マイルはGIII
シンザン記念を一気差しも含め3戦3勝。微妙に番組チョイスが異なるものの、成長過程や路線は◎○と相似。ギアの入り方など、不器用ではあるが、直線フラットコースの外回り京都1600mは、追えばそれに応え加速が増し直線馬群を割れる。
フィアーノロマーノは、中山マイルのダービー卿CTを1分31秒7で走破。マイルのタイム指数は
インディチャンプに準ずる。ただ、不利はあったにせよ、
阪急杯は微妙に残り1Fで止まり加減だったか。スピード指数が増したぶん今は、逆に1600mを走り切るスタミナがどうかという懸念もチラリ。
レッドヴェイロンは、
NHKマイルC3着など、戦歴は互角。ただ、高速馬場は道中ゴツゴツ。躓き加減で走り、できれば少し緩い
パワー馬場が望ましい。連穴は
ブラックムーン。終い一手の典型的な
ストレッチランナーだが、デキは上々、立場は気楽。一発あるとすれば今回だろう。