【王の帰還】
ダノンキングリーは、
安田記念でGI初制覇に成功。8番人気という低評価ながら、
皐月賞はアタマ差3着、ダービーはクビ差2着。3歳秋の
毎日王冠を過去十年ではNo.1となる1分44秒4・上り33秒4で一閃した英才。
昨年の秋の天皇賞凡走で人気は急落したが、前回の
安田記念前から調教コースを負荷の軽い南Dを主体とし、体重減を防ぎ腰が尖ることのないように工夫を凝らし復活が叶った。この中間は南Wで長め6Fをビッシリ追え、体力は春とは雲泥の差。
安田記念は58キロで結果を出している。
対抗は
安田記念3着の
シュネルマイスター。父
キングマンはスピード色豊かなダンチヒ系。
母セリエンホルデは
サリオスの
母サロミナの従妹。将来の種牡馬像まで考え抜かれた好配合のマイラーだが、体つきは同世代の中でもかなり幼い。
NHKマイルCは、1000m通過は56秒9という未経験の激流に戸惑い、ルメールJが小さく何度か叱咤。残り2F標識過ぎやっとエンジンが回り始め、鼻差勝ちの優勝だったが、1分31秒6という走破タイムは、2010年に
ダノンシャンティがマークした1分31秒4のレースレコードと0秒2差という快記録、
ヴィクトリアマイルや
安田記念と互角。古馬GIたちに数字でも追いついた。
しかし好タイムで走った反動は大きく、
安田記念は身体がこじんまり。その状態でも0秒1差に食い込んだが、ひと夏を過ごし体の張り、軽やかさや加速力が一気に向上。56キロだろうと好勝負に持ち込める。
一角崩しがあれば
ヴァンドギャルド。福永Jが丁寧にスタートや折り合いを教え込み、富士Sで待望の重賞奪取。GI・
マイルCSは6着、
東京新聞杯は4着に終わったが、1800mのG1・
ドバイターフは、世界屈指の中距離実力馬を相手に真っ向勝負で2着を死守。
前走を境に調教の強度もタイムも格段にアップ、馬が自信を持っているのがはた目からもわかる。
ポタジェは重賞奪取にあと一歩。[5410]、ここを目標に9月1週目から追い切り開始。飛ばし気味に先行したり、追い込んでみたり、中身の濃い稽古を消化。GIIでも、もうひと伸びが期待できそうだ。
ケイデンスコールも小差。
新潟2歳S優勝以来長く勝ち星から遠ざかっていたが、
京都金杯を制し
中山記念を1分44秒9の好タイムで走破。
マイラーズCは前半1000m通過・55秒8というHペースに恵まれたにせよ、力感あふれる末脚で大外を真一文字に突き抜けてきた。
安田記念はあまりに正直に横綱相撲を演じ、直線入り口でぶつかったり、10着とハネ返されたが、取り口ひとつで1800mでも上位争いは可能。
サンレイポケットは昨年の3着馬。GIII・
新潟大賞典勝ちを手にし、
ワンステップアップを果たした。