【どれだけ進化するのか】
ダノンザキッドは、厚く頑丈な首を持ち、四肢は長く胴伸びがよく、臀部はまるまると発達。血統配合は異なるが、あの
サートゥルナーリア(
皐月賞)と共通点の多い、瞬発力よりは持久力と体力に軸を置くクラシック候補。
二走前の東スポ杯はゼッケン下が汗で白く泡立つ未完成な仕上げ。それでも体力・能力は並ではない。慌てず徐々に外目に持ち出し他馬の脚色を見ながら、11秒9-11秒0-11秒4(34秒3)というレースの上りを、自身33秒5で寄り切り(推定10秒台のラップを内包)。次走の
ホープフルSは馬体をひと絞り。昨年の12月開催の中山は例年より良馬場で1秒以上時計を要する
パワー馬場ゆえ、11秒台のラップは2つしかなく、2分2秒8は少し平凡に映るが、坂下からの推進力は他とは一線を画していた。
心身ともにすこぶる健全な馬、調教は軽く促すだけでいくらでも速い時計が出るが、前走からまた一段アップ、
トライアル仕様の状態に整えた。本番前の課題はコーナーリング。中山2000mの3、4コーナーを、いかにスムーズに手前をかけ抜けていくか。そこをクリアできれば自然と全体時計も詰まり、
皐月賞が現実のものとして視界に入ってくる。
コーナーで膨らみ、隙が生じるようなら、
シュネルマイスターの切れ味一閃。父は快速
キングマン。しかし母は独
オークス馬、母の兄弟、祖母など一族はドイツを代表するブラックタイプがズラリと勢ぞろい。新馬戦の札幌1500mは、洋芝で上り3F・推定11秒9-11秒1-11秒7という快ラップを計測。
前走の
ひいらぎ賞は14キロ増、いい感じに気合も乗っていた。1000m通過・59秒9のミドルを、じっくり中団待機。勝負どころの三分三厘、密集馬群に度胸よく突っ込み、芸術的なラインを描き瞬間にワープしてりすり抜けた。坂下からさらに回転数を上げ、12秒4-11秒7-11秒8(3Fは35秒9)というレースラップを、35秒4という加速ラップで圧倒。1分35秒8は翌日の古馬2勝クラスより0秒1速かった。ベースとなる体型はマイラー、しかし掛かったりリキむ馬ではない。Hペースの消耗戦になると距離に限界など生じるが、スローよりの平均ペースなら、鞍上の指示通り
リラックスして走れる瞬発力を温存。古馬となればともかく、3歳春は2000mまでは勝負になる。
三番手は
タイムトゥヘヴン。二走前の2分3秒0は、同日の
ホープフルSとわずか0秒2差、道中のラップも共通点が多い。パドックでの
テンションは高め、
京成杯は馬の気に任せ逃げを選択したが、ジョッキーの姿勢は立ち気味、自信なさげで頼りない。直線入り口、安全策を取り馬場のいい外へ誘導したのが裏目。ポッカリ開いたインをまんまとすくわれてしまったが、ラスト4Fから11秒台で動いて行っての2着。ラップ的には見どころのあるロングスパートだった。思えば
母キストゥヘヴンも初勝利までに4戦を要した。母はその後3連勝で
桜花賞を制覇。まだ底は割れていない。中間ポリトラックから負荷の高い南Wコースにかえ鍛え直し。
惑星は
ワンデイモア。二走前の東京2000m戦は、道中はシンガリ、するすると内ラチ沿いからイン強襲。大型馬にしては意外と器用だなぁ。一転前走は、1000m通過は59秒5というHペース。
皐月賞に近いタフな流れをシンガリ近辺から漸次追い上げ、外から被せるようにしてネジ伏せる完勝。
皐月賞のお手本のようなレースを前走踏襲してきた。
タイトルホルダーは東スポ杯2着、
ホープフルS4着。馬体を薄く見える現状でもソコソコの成績を残しているが、筋肉が張り出せば一段階上に行ける素材。
京成杯3着の
テンバガーの上積みを連下に押さえておきたい。