【ラップの精度が違う】
エフフォーリアが、無敗で
皐月賞の戴冠をいただく。母系は女傑
ヒシアマゾン。近親に
アドマイヤムーン(JC、
宝塚記念など)の名前が連なる、心身の構えが大きな名族。父
エピファネイアの
シルエットも同時に受け継ぎ、頑丈な首と肩をもつ510キロの巨漢。四肢は伸びやか、性格は走りたがり屋。
札幌の新馬戦は、馬の気に任せコーナーすぎ外からするすると進出、上り3Fは推定12秒4-11秒5-11秒8(35秒7)。あたふたしながらも
パワーを要する洋芝で楽々11秒台の連続ラップを出せた。二戦目の
百日草特別は折り合いのお勉強。1000m通過は63秒4のスロー。道中口を割るシーンもあったが、
トップギアに入ると馬体が沈み、推定11秒1-11秒2-11秒1(3Fは33秒4)を計測。ドトウの勢いでゴール板へ一目散に飛び込んできた。
共同通信杯の1000m通過は、百日草より1秒5速い61秒9。意識的に内の馬たちと距離を置き、少しロスはあるのは承知、好位の外で伸び伸び走らせることを選択。ラスト4F標識から11秒9にペースアップ、続く3Fのレースラップは11秒5-10秒8-11秒5(33秒8)、対する自身の上りは33秒4。早め4Fから11秒台が登場、持久力も問われるレースにもなった。同時にラスト2F目は10秒8。
ヴィクティファルス以下を一気に突き放した地点はまさにそこ。瞬発力と才能の違いを数字として示している。
過去二戦とも、育成先から美浦トレセン入りして、調教時計の本数は中間5本。いつも通りのメニューを消化しながらも、調教タイムの数値はワンランク上げてきた。木曜日発表は509キロ。細くなるのが却って心配なくらいだが(笑)、いよいよGI仕様に絞った。札幌の新馬戦の内容から、コーナー4つの小回り、多少湿った
パワーを要する馬場も問題ない。
立ちはだかる強敵は
アドマイヤハダル。父は
ロードカナロア、母の姉は
スイープトウショウ。配合的にはマイラーだが、実馬は四肢と背中の長い中距離体型。ひ弱さも感じさせた華奢な体が、前走の
若葉Sは
エリカ賞から8キロ増の484キロ。胸前と首回りが別馬のように太く厚くなった。長くいい脚が使えることは元より承知。
若葉Sは前残りを許さないようポジションなど意識し、ラスト4F・11秒8-11秒6-11秒1-11秒3(3Fは34秒0)というレースラップに対し、自身の上りは33秒7。阪神の急坂をゴール板が近づくにつれグングンと加速。本命と負けず劣らずの能力を、上り3-4Fのラップ数値で示している。
ダノンザキッドは無敗の3連勝で
ホープフルSを制し、最優秀2歳牡馬に輝いた世代の
フロントランナー。三走前の東スポ杯は、慌てず徐々に外目に持ち出し他馬の脚色を見ながら、11秒9-11秒0-11秒4(34秒3)というレースの上りを、自身33秒5で寄り切り(推定10秒台のラップを内包)。
次走の
ホープフルSは馬体をひと絞り。昨年の12月開催の中山は例年より良馬場で1秒以上時計を要する
パワー馬場ゆえ、11秒台のラップは2つしかなく、2分2秒8は少し平凡に映るが、坂下からの推進力は圧巻。
ただ、中山2000mは手前の替え方がギコちない。前哨戦の
弥生賞は、1000m通過・62秒6のスロー。しかし本番
皐月賞のために、コーナーをどうカチッと回るか。確認作業を大事に、呼吸をはかって回したぶん、スローの前残りを許してしまった。試走だから3着で許されるという論調は疑問だが、レースの上りは11秒6-11秒0-11秒9(3Fは34秒5)、自身のソレは34秒2。大勢が決着したあととはいえ、脚色は確か。本番は3コーナーすぎから堂々攻めてくる。
渋馬場なら
グラティアスの金星、一気のロングスパートがあるかもしれない。半姉
レシステンシアの父は
ダイワメジャー。父が
ハーツクライにかわり、毛色は黒っぽい鹿毛になり、ひと回り四肢も背中も長い498キロ中距離体型に変身。瞳は鋭く、歩きは大きく闊達、闘志は満々。だが実戦にいくと、1000m通過・63秒7の超スローにも、好位のポケットでお行儀よく我慢が効く。
走法はパワフル、直線入り口他馬が嫌う荒れた内ラチ沿いにズボリと進路を定め、ラスト4F・11秒9-11秒9-11秒3-12秒0(3Fは35秒2)というレースの上りに対し、自身のソレは34秒9(4Fはすべて11秒台)。坂上から後続との差をどんどんと広げていった。
ヴィクティファルスも湿った馬場なら上位に肉薄。
共同通信杯はキャリア二戦目、高速決着を2着。続く
スプリングSは、馬場差3秒以上の重、1000m通過は62秒5のミドルで展開。直線坂下から一気にレースが動いたが、12秒4-12秒1-12秒5(3Fは37秒0)というレースの上りを、自身36秒1で大外強襲。他とは一線を画す、滑るような加速力で坂上一気を決めた。体調はまさに今が
ピーク。闘志がみなぎり、二度の輸送も1F延長もへっちゃら。
ヨーホーレイクは、スタートがもっさり。いつも微妙に流れに乗り遅れてしまうが、
ホープフルS3着、
きさらぎ賞は大外一気で2着。坂上でしっかり脚は見せる。
皐月賞仕様に調教の負荷を上げ贅肉をそぎ落とし、理想とする体作りにさらに一歩近づいた。