【叔母は
ザルカヴァ】
ダノンティアラが競り勝つ。
叔母は
ザルカヴァ、
凱旋門賞、仏
オークス、仏1000ギニー、ヴェルメイユ賞をブッコ抜いた名牝――2019年のセレクトセールの時、カタログを見ながらちょっとした感慨にふけった覚えがある。なんて、初陣は438キロ。パドックでチャカつき、走りにも幼さや無駄が多い。道中13秒台のラップが5つも並び、1000m通過は65秒6の超スロー。典型的な上り勝負とはいえ、3Fは11秒8-11秒2-11秒0(34秒0)。直線のフォームは血統通りの一級品、中山の急坂では限界ともいえる高速数値を叩き出した。最終追い切りは3F・36秒9-11秒8を馬なり。少しずつだが芯が入ってきた。
強敵は
アンクロワ。3代母は
バレークイーン、この血統のど真ん中の幹ではないけれど、
ディープインパクト産駒の母は芝1800mで3勝。422キロと小柄、モマれることのないようゲートは意識して出して行ったが、気持ちが落ち着いたところで好位に下げ、1000m通過・59秒8のミドルを内で我慢。直線入り口、ポッカリ開いたインに誘導。11秒7-11秒8-12秒0(3Fは35秒5)というレースラップを35秒2で内一気。数字以上に伸び脚は鋭く、坂上では手綱を緩める余裕があった。
エンタングルメントの才能と上昇度にも注目。近親のラヴェロックはイスパーン賞などG1・2勝。近親に
マークオブディスティンクション、
プルラリズムなど、輸入種牡馬の名も連なる良族。半兄
ターキッシュパレスは現役3勝。初陣の造りはいいとこ八分、しかし坂路で軽く52秒4-37秒9-12秒3を出せる。1000m通過・65秒4の超スローを、二番手あたりで馬の気に任せゆるゆると追走。上り3Fから一気にペースアップ、一瞬外から呑み込まれそうになったが、11秒3-10秒9-11秒5(33秒7)という高速ラップで、二枚腰を使いゴールイン。2000mから1800m、阪神JF除外明けという難しいローテになるが、中間の調教メニューを大幅に強化、変わり身も大きい。
ハッピープリベイルは、キャリアを積んでいるぶん鮮度は薄いが、当コースを二走前1分34秒2で鮮やかな強襲に成功。時計は地味だが
ティーガーデン、
ロードカテドラルは、前走の勝ちっぷりは力強かった。