【リレー】ファン投票一位に選出された3歳馬
エフフォーリアが、熱いファイトで期待に応える。全戦績は[5100]。3歳クラシックの一冠目の
皐月賞は、直線入り口手前、器用にインをすり抜けスパート開始。坂上どんどん加速、終わって見れば3馬身差の楽勝を演じた。
ダービーはわずか10センチの鼻差2着に泣いたが、2分22秒5という決着タイムはレースレコード。後半1000mは11秒7-11秒4-11秒5-10秒8-11秒6(3Fは33秒9)。5Fのなかに11秒台のラップが4つ、ラスト2Fめに10秒8という超高速ラップが飛び出す、ダービー史上屈指のHレベル決着だった。
秋初戦の天皇賞は、ひとつ年長の無敗の三冠馬
コントレイル、マイルの絶対女王
グランアレグリアを真っ向勝負の叩き合いで撃破。雨残りのやや緩めの芝で、上がり3Fを推定11秒1-11秒1-11秒0(33秒2)という高速ラップをしっかり刻んだ。半年ぶりだった天皇賞は、美浦トレセン入りを2週間近く早め1カ月近く念入りに調教を重ねたが、今回の間隔は約2カ月、
皐月賞やダービー前と同じ。爪に小さな怪我を負い始動は遅れ気味。開始当初は少しモノ足りなさもあったようだが、最終追い切りは3頭併せの真ん中を上がり11秒4で唸りながら突き抜けた。木曜日体重は+7キロの521キロ、輸送ぶんを考えればちょうどいい。大型馬でフットワークも大きいが、良質な前進気勢を備え中山のタイトなコーナーも
皐月賞は機敏にさばいた。斤量は55キロ、馬場も距離も問わない
スーパーエース。
グランプリは次代の競馬シーンを担う中継点だろう。
対抗一番手は
クロノジェネシス。3歳秋の
秋華賞でGI馬に脱皮、
宝塚記念2回、昨年の
有馬記念制覇も含め
グランプリを目下3連勝中。ドバイシーマCでは、中距離戦線では世界最強ともいわれる
ミシュリフとクビ差2着の死闘を演じ、
ラヴズオンリーユーに競り勝った。フランスの
凱旋門賞は、世界のGI馬たちも驚く、田んぼのような異例の不良馬場に脚をとられ7着に沈んだが、あのハードな馬場でも何度か勝ち負けにファイトしていた。帰国後も大きな反動はなく、通常の調教メニューを組めているが、
ピカピカの肌をしていた前年と違って、今年は冬毛ボーボー。まるで、ぬいぐるみ。ただ、牝馬は牡馬に比べ、冬毛が能力に及ぼす影響は小さい。全盛期のフォームより少しギクシャクした感じはあるけれど、芦毛色の
バゴの娘は常に全身全霊をかけて走る。まともなら二頭の一騎打ち、ただ崩れるとすれば年長馬?
――伏兵はやはり、春秋に富む3歳馬だろう。一番手は
タイトルホルダー。
皐月賞は2着、ダービーはタフなペースを積極的に好位追走、結果6着に沈んだが、ハードなダービーを経験した一桁着順の馬は
菊花賞で買えの格言通り、展開の利を得たとはいえ菊は5馬身差の独走。前走後の調教も5Fから6Fへと延長し負荷を高くし一段成長を見せている(木曜日発表は+14キロの478キロ)。中山の急坂も春より確かなグリップで駈け上る
パワーが備わった。同型もいるが、離れた二番手なら自分のリズムで単騎逃げを打っているのと同じ。
ステラヴェローチェも巻き返しムード。クラシック三冠は
皐月賞3着、ダービーも最速の上がりで3着入線。好敵手が回避した
菊花賞こそはGI奪取のチャンス――しかし不良馬場の
神戸新聞杯を走った疲労は思ったより大きく、体を慮りながらデリケートなレース構築を余儀なくされ4着…。前走後の良化はゆっくり、立て直しに時間をかけてきたが、最終追い切りはグッと身体が起き、持ち味である闘志も表に出てきた。
アサマノイタズラの大駆けにも注意。終い勝負の追い込み馬ゆえムラはあるが、二走前の
セントライト記念の外強襲と記録は古馬GII
オールカマーと小差。
菊花賞は道中14秒3という遅いラップも飛び出す超スロー、明らかな前残り競馬のため9着に終わったが、大勢が決着したあととはいえ最速の上がりをマークした。
シャドウディーヴァは、5歳冬の今がキャリアの中一番のコンディション。
府中牝馬Sの1分45秒6・上がり33秒1は
毎日王冠と互角のHレベル。
ジャパンCは発馬で立ち遅れ、すかさず前にとりつき、想定外のポジショニングになってしまったが、残り1F標識まで見せ場十分。腰が固まった今なら右回りの中山2500mでも、内か外か。大胆な戦法が可能。