【シンプルに軽快に】
レイパパレは4歳春、6連勝で
大阪杯を逃げ切りV。紐解けば昨年の
大阪杯時はまだマークも薄く、絶妙なコース取りが功を奏し、重い芝が
コントレイルや
グランアレグリアの脚を鈍らせたことも確か。しかし次走の2200mの
宝塚記念も真っ向勝負で3着に踏ん張った。420-440キロ台の軽量牝馬ゆえ、体力不足のため低迷期も経験したが、段階を追って体を造り、本年の
大阪杯は正攻法の競馬で2着は確保。ただ2000mを超える距離は微妙に折り合いがデリケート、少しでも歯車が狂うと末が甘くなる。
思えば1800mに1分45秒3という好タイム圧勝歴があり、マイルは3戦2勝。ワンターンの9Fが実はベスト条件なのかもしれない。
ヴィクトリアマイルは
大阪杯の疲れもあったのだろう。発馬で落馬寸前の不利を被り
バランスを崩し、見た目以上に前半エネルギーを消耗。残り2F標識手前では、ぶっちぎりもあるかと思えたのに、そこからまさかの急失速…。馬造りと競馬の難しさを痛感したけれど、斤量は55キロ、道悪はスイスイ。リズムよく向こう正面で流れに乗れば、仕上げに逃げ馬を捕まえ先頭ゴールが濃厚。
対抗は
サリオス――
安田記念はあわやの3着、強い
サリオスが戻ってきた。高い能力とスピード値で
皐月賞・ダービーを2着したが、マイル重賞は2勝、2020年の3歳秋・
毎日王冠を完勝、こちらもベストディスタンスは8-9Fでいい。6F対応のため100m走者のような筋肉をつけたりしたが、
安田記念3着の体重と
シルエットがやはり正解。この中間は珍しいくらい皮膚を薄く見せ、四肢の踏ん張りは力強い。
良馬場条件が前提になるが、まとめて負かせば
ジャスティンカフェ。馬格はあるがネジは緩い。心身の成長を促しながら丁寧なローテーションを組んできたが、横山典Jを背に二走前の
湘南Sはポツリ後方。直線は大外、引き絞った矢を放つように、11秒0-11秒5-11秒8(3Fは34秒3)というレースの上りを32秒9でゴボウ抜き。手綱を抑えながら2着に3馬身差をつける大楽勝だった。1分32秒3という走破タイムは、同日メインの
NHKマイルCと同じ、翌週の
ヴィクトリアマイルと0秒1差だった。
エプソムCは1番人気に推されたものの道悪はカラっ下手。支持に応えるべく少しでもコースロスを防ぎ、あえて荒れたインを突いて追い上げたが、最後は馬場に泣き力尽きてしまった。しかし良馬場なら伸び脚一変、マイル戦の加速ラップを見ると9Fでも伸びる。
キングストンボーイは
皐月賞馬
エポカドーロの弟。完成度の高かった兄と違いゆっくりと成長を促してきたが、その過程において
青葉賞2着、前走の
関越Sは1分44秒8・上り33秒5で猛追。GIIIレベルに静かに近づいている。
58キロのぶん連下としたが、
大阪杯優勝馬
ポタジェは
宝塚記念の疲れも癒え闘志も戻った。
ノースブリッジは、
エプソムCに似た雨模様と馬場に
ニンマリ。