【バンプアップ】理想像には少し遠いが、
アートハウスのひと夏の成長を見てみたい。中内田厩舎ゆかりの母は
秋華賞2着、
エリザベス女王杯4着。本馬のデビューは2歳10月、阪神・芝2000mを上り33秒9で一気差しを決めた。しかし
エリカ賞は6着に沈没、レコード決着を乗り切るだけの体力がまだついていなかった。4か月の成長期間を設け、
忘れな草賞は474キロ(+10キロ)にバンプアップ。1000m通過・61秒6のスローを、息遣いとフォームなど確かめながらスルスルと4番手に進出。上り3Fの推定ラップは11秒7-11秒5-10秒8(34秒0)、みるみるまに2着以下を3馬身と突き放す快勝を演じた。なるほど馬体の
シルエットやラインはGI級、
オークスは2番人気に支持を集め、好位から一旦先頭。勝ち負けに加わるべく、現状持てる力を振り絞りファイトしたが、GIを突破するには腰の踏ん張りが足りない。
オークス7着で春を終えたが、この夏は坂路からタフなCW追いへと切り替えスタミナ強化をはかり、一週前追い切りは川田Jを背に上り3F・35秒7-11秒0を馬なり。秋への身体造りを完了した。
対抗は
サリエラ、資質は五分。母は独
オークス優勝、全姉は
サラキア(
府中牝馬S)、半兄は
サリオス(
朝日杯FS)。11月末のデビュー戦の体重は424キロ。いかにも幼い造りに加え、1000m通過は61秒2のスロー。4角手前でムーアJの
サイルーンが外から圧をかけて、上り4Fは11秒6-10秒7-11秒3-11秒9(3Fは33秒9)というHラップで、直線の叩き合いを制した。1分47秒2という走破タイムは2歳秋とすれば
トップランクの評価が与えられる。ただ、まだ華奢、前進気勢も足りない。前走もスローに翻弄され冷や汗をかいたが、上り32秒9という出色の加速ラップでゴール寸前猛追に成功。完成までの道のりはまだ遠く、今回も前半をどう乗り切るか。課題も抱えているけれど、少々乱暴な競馬でも直線勝負だけでなんとなる可能性も高い。
単穴は
セントカメリア。未勝利、1勝クラスはともに重馬場。二走前のあずさ賞は、重馬場条件下上りは11秒4-11秒2-11秒9。驚くようなHラップを道悪で使った(2着の
ガイアフォースも負けるべくして負けた?)。高速決着の対応が課題だったが、
月岡温泉特別は高速ラップの新潟10Fを1分58秒6で2着。勝ち馬にイン強襲を許し0秒1差惜敗は喫したが収穫もあった。馬場が渋れば単勝勝負でもいい。
ラリュエルは2歳12月・阪神9Fの新馬戦を1分47秒3という好記録で勝ちあがった血統馬。軽量に泣いてきたが、
都井岬特別を力の逃げで制し本格化をアピール。
メモリーレゾンは初勝利は6F、2勝目は阪神マイル。そして3勝目の北海HC・洋芝の札幌9Fを直一気にはびっくり。10FのGIIに耐えうる馬に
ステップアップしている。
エグランタインも未勝利勝ち時は430キロ、前走の小倉戦は450キロにビルドアップ、前走は後続をズシズシと0秒5差に引き離した。