【鉄のハート、肉体は鋼】
ディープボンドが悲願のGI奪取に挑む。3歳春は
京都新聞杯を勝ち、ダービー5着、
菊花賞は4着。2021年は
阪神大賞典を制し春の天皇賞は2着、GIが手の届くところに見えてきた。秋はフランスへ遠征、GII・フォワ賞を逃げ切ったものの、
凱旋門賞は想像を超える未知の重馬場に脚を取られ14着に惨敗。しかし帰国初戦の
有馬記念は、過去十年で3番目というHレベル決着を0秒1差の2着に奮闘。前哨戦の今年の
阪神大賞典は横綱相撲で寄り切り。肉体のみならず鉄のハートも備わった。58キロは幾度も経験、重馬場戦績も[1-0-1-1]。少々の雨にもくじけない。
対抗は一つ年下の
タイトルホルダー。
菊花賞は5馬身差圧勝、走破タイムは3分4秒6。各1000m通過はタイムは60秒0-65秒4-59秒2。ちなみに
ディープボンドの
阪神大賞典は3分5秒0、各1000mは63秒1-62秒9-59秒0。
菊花賞は8-9Fめに14秒3-13秒1が登場、一気にペースが緩んだが、最初の1000mを3秒1速いラップで突っ込んでいき、最後の1Fは59秒2対59秒0とほぼ互角。スローの上りだけの勝負の
阪神大賞典よりレース内容としては厳しいくらい。展開に恵まれただけの単純な逃げ切りではなかった。まだ後肢の造りが硬く、
有馬記念は菊の疲労も残っていたのだろう。坂の頂上でフットワークを乱したが、
日経賞で微調整を施し、本番は菊の頃に近い体に仕上がった。
ただし「二強」は距離ロスの大きい8枠、一角崩しがあれば
マカオンドール。
母ミリオンウィッシーズは、
凱旋門賞を制した種牡馬
バゴの妹。3歳春の
京都新聞杯を2分11秒5・3着で走り、3000mの
万葉Sを3分4秒3で勝利。
阪神大賞典は初の強豪相手、スローに加え外目を回し、微妙に追い出しのタイミングが遅れたものの、終いの脚色は確か。5番枠を利しスタミナを温存、馬群を割りタイトにイン強襲に賭ければ、58キロの斤量でも面白い。
テーオーロイヤルも好枠7番。
ダイヤモンドSを歴代2位の3分30秒1、2着に0秒4差の完勝を遂げ、GI仕様のスタミナと記録の強固な基盤を構築した。
アイアンバローズは二走前のステイヤーズSは逃げて2着。
阪神大賞典はゴール前まで勝ち馬に激しく抵抗、0秒1差に食い下がり、レース内容通りジワジワ地力強化。マラソンランナーとしての資質の高さが確信に変わろうとしている。
ヒートオンビートは2500mの
目黒記念・
日経賞で最速の上りを計測。今回は耳袋を着用、雑音を防ぎ集中力をアップ? 3200mのスタミナ勝負にも、まだ少し新味を残している。コレだというパンチ力はないが、
シルヴァーソニックは阪神の長丁場は外れが少ない。