【ガイアの夜明け】
ガイアフォースは次代の中長距離GIシーンを担う逸材。
菊花賞制覇はその出発点となる。2歳9月の小倉・芝1800mの新馬戦では後のダービー馬
ドウデュースと激突。交わされてもなお二度三度と抵抗、0秒1差の2着に食い下る粘り腰を見せた。左膝を骨折し半年のブランクが生じたが、復帰戦の阪神2000mは時計は2分0秒4、後続を0秒7差とチギり捨てる楽勝。あずさ賞は故障個所を基軸に走る左回りの中京。道悪適性に勝る勝ち馬に0秒2差先着を許したが、二走前の
国東特別は1000m通過・58秒0という平均ラップを二番手で進め、後続に1秒1差をつける1分56秒8のレコ勝ち。
ちなみに後半1000mのレースラップは11秒5-11秒7-11秒8-11秒9-11秒9。高速馬場を味方にした11秒を切るような極端な切れ味勝負ではなく、5F連続11秒台という類まれな持久力の積み重ねがレコードへと結びついた。
セントライト記念は稍重条件下、前半1000mは60秒3のスローで展開したが、ラスト4Fから一気に11秒7にペースアップ。続く3F・11秒6-11秒5-12秒2(3Fは35秒3)という先行勢有利の流れを、3コーナー過ぎ外を回り追い上げ開始。ロスなくインで立ち回ったダービー3着馬との激しい競り合いを、アタマ差ねじ伏せロングスパートを決めた。
父
キタサンブラックは
菊花賞奪取を
ステップに、
有馬記念、
天皇賞(春)、
ジャパンCなど七冠に輝いた。
母ナターレは公営25戦9勝、母系には
クロフネ×
ダンスインザダークというスタミナ血脈が息づいている。馬体もひと絞り、3000mに舞台がかわれば、前走のアタマ差はさらに決定的な距離適性の差となり、より大きく広がる可能性も考えられる。
二の筆頭は
ボルドグフーシュ、こちらも
菊花賞を待ちわびていた純正ステイヤーです。ダービー出走権をかけて挑んだ
京都新聞杯は、最速の上りは繰り出したものの追い込み届かずの3着。春のクラシックは幕を閉じたが、自己条件の一宮特別はステイヤーとしての並々ならぬ適性を記録で具現。1000m通過は60秒4のスロー、しかし2000m通過・1分59秒4は同日の高山S(3勝クラス)より0秒3速く、坂コースの中京2200m・2分11秒6は重賞への布石となることを
神戸新聞杯3着で証明。前哨戦は1枠、流れはスロー。道中一旦後方に下げ、終始外を回さざるを得ず長く脚を使わされたが、ゴール板が近づくに連れグリップ力が増し最速の上りで再び加速。マラソンランナーならではの持久力を示した。
三番手は
アスクビクターモア、実績と記録なら一番。本年のダービーは1000m通過は58秒9-2000m通過・1分58秒2というよどみのない流れで展開。レース史上屈指の2分21秒9というHレベルで決着をみたが、直線半ば一旦は先頭。1-2着馬に2馬身差を離されたものの、ゴール前盛り返すようにして3着。熱闘ダービー3着馬にスタミナ云々もあまり関係はないけれど、マイナスにはならないが大きなプラスにならない点がどうか。
惑星は
ドゥラドーレス。三代母は
ウインドインハーヘア、
ディープインパクト一族。母ロカは6戦して[1113]。競走生活は短かったが
クイーンC3着、
チューリップ賞4着。身体さえ丈夫だったら、クラシック出走賞金さえ獲得できていれば、違った成績を残していたかもしれない。東京1800mのデビュー戦は1000m通過は62秒1のスロー。典型的な上り勝負のレースとなったが、11秒5-11秒2-11秒6(3Fは34秒3)というレースラップに対し、自身のソレは33秒4。エンジンが点火したのは残り2F、ラスト1F・推定10秒台の加速ラップでズバリと突き抜けた。続く
セントポーリア賞は一転1000m通過は58秒3というHペースで展開。馬の気に任せ大外に持ち出し、最速の上りで悠々先頭。1分45秒7という走破タイムは、父
ドゥラメンテも走った
セントポーリア賞より1秒以上速く、東京スポーツ杯2歳Sや
共同通信杯と時計の精度は上だった。ダービー出走権をかけて遠征した
毎日杯は痛恨の3着。自己条件も3着と、口向きや操縦の難しさに苦労したが、
藻岩山特別はリングバミみかえドライビッドと着用。道中中団内でジワリと脚をタメ、小回り札幌コースを一瞬にして馬群を断ち割り直線だけでごぼう抜き。「幻のダービー馬」とも言われた能力の高さを横山武Jも確信。折り合って前半を乗り切ればGI奪取も十分。
ヴェローナシチーの変わり身にも注目。
若葉S2着、
京都新聞杯2着。追い込み届かずのレース運びが示す通り、エンジンのかかりが遅く他力本願型ではあるが、
神戸新聞杯は馬群を捌くのに苦労しながら、ゴール前グイとひと伸び。元来が叩き良化型、前走とは馬体の張り、気合い乗り一変。鞍上は川田Jです。
プラダリアの良化振りも目を引く。2番人気に推された
神戸新聞杯は、厳しいマークにあい馬群で身動きがとれない。行き場のないまま8着に流れ込んだが、今思うと馬体は緩くパドックもうつむき加減で気合不足。反応が遅れたのは仕上げの精度の問題もあったか。しかし
神戸新聞杯組の中では乗り出しは一番早く、しかも13日にはCWで7F追いを敢行。最終追い切りの坂路の動きは前走とは一変。ロスの少ない3番枠も引き当てた。17番枠は辛いが
神戸新聞杯勝ち馬
ジャスティンパレスも、もちろん軽視禁物。
ホープフルS2着でクラシックの期待もかかったが、440-450キロ台と牡馬にしては軽量。春は体力不足に泣いたが、
神戸新聞杯は鞍上の巧みなスパートも賞賛に値するが、なのより肌艶、四肢の踏み込み、闘志が格段にアップ。半兄
パレスマリスは米国重賞6勝。3歳三冠でも最も距離の長い2400mの
ベルモントSを制しており、距離延長はマイナスとはならない。