【絶賛開花中】
スタニングローズは、まだ伸びしろと奥がある。3月の
フラワーCの勝利を契機に
オークスに参戦、結果は2着。七分咲きで春を終えたが、ひと夏を越え
紫苑S勝利を
ジャンピングボードに、GI
秋華賞を横綱相撲で快勝。
ローザネイを起点とする薔薇一族の才能が、長い眠りから覚め再び花開いた。
改めてレース内容を紐解くと、1000m通過は59秒7、スロー寄りの単調なミドル。内回りは先行勢有利。すばやく好位にとりつき、囲まれないようにやや外目を通り、いつでも抜け出せる構え。上り4Fのレースラップは11秒8-11秒5-11秒5-11秒8(3Fは34秒8)、
スタニング自身の上りは34秒3。一瞬の脚というよりは11秒半ばの積み重ねによるロングスパートで、後続の脚色を計りながら余裕残しでフィニッシュテープを切った。1分58秒6は
秋華賞の水準値といってよく、
ヴィブロスと同タイム、
アーモンドアイとは0秒1差、その両馬は後にいずれも再びGIタイトルを手に入れている。
秋三戦目になるが、
秋華賞はまだ薄皮一枚絞れるような体つきだった。性格はおっとり、まだ眠っている箇所もある。前走後の調教は攻めるというよりは状態維持が第一目標となったが、坂路時計はしっかり4本消化。一週前の上りは11秒9、直前は55秒5-39秒2-12秒1を馬なりだが、馬場の荒れた遅い時間帯でのものだけに数字以上に中身は濃い。1F距離は延びるが同じ内回り。2200mは引き込み線からのスタートとなり1コーナーまでが長く、立ち回りの上手い
スタニングにとって迷いはより少なくなる。
強敵は
ジェラルディーナの爆発力。母は7冠馬、3歳夏・条件戦3連勝を果たし、GI馬の素養と天の才が、その上りラップの中に幾度も出現。しかし性格は敏感、パドックでは紙のように燃えやすい。スローや展開に泣き重賞の壁を打ち破れずに来たが、折り合いや内外のコース取りなど課題は与えた。
オールカマーは急がば回れ。変に策を弄するよりは、初心に帰りまずは中団内で我慢。ロスと摩耗を防ぎ、馬場のいいインに導き一気の強襲に成功。外回りと内回りの違いはあるものの、中山2200mと阪神2200mの適性と結果は共通点が多い。競馬週刊誌の立ち姿のまなざしを見ると、また少し大人になった。パドックでどの時間帯まで我慢できるか。返し馬まで目の離せない馬ではあるけれど、1コーナーをスムーズに抜ければ天の才が爆発。
単穴は
マジカルラグーン。父
ガリレオの名を見て、いや
サドラーズウェルズ系はスピード不足だろ――ワタクシもその血統論に賛成する気持ちは強かったが、だが愛
オークスは道中早め先頭から二枚腰を使って先行勝ち。アイルランドのカラ競馬場は、
エプソムやアスコットに比べれば確かに高低差は小さい。
ロケーションは雄大ゆえ単調なコースに映るが、
アンジュレーションに富み坂の数は多く、中には小さなバンケットのような坂もあるから驚き。日本でいう平坦とは違い、アイルランドのGIを勝つのはやっぱ並みじゃないよ。あまり強調材料とはならないかもしれないが、愛
オークスの優勝タイムは比較対象となるス
ノーフェアリーより速く、前走のヨークシャー
オークスは、秋の英国・牝馬G1のビッグマッチ。ちなみにス
ノーフェアリーはヨークシャー
オークス2着。マジカルは0秒9差の5着だが、後の
凱旋門賞馬アルピニスタ以下の人気馬に早めにどっとこられたが、交わされたあともレースをなげることなく最後まで抵抗していた。斤量は54キロに軽減。追い切りはダートだったが、馬体に張りがあり四肢も首も弾んでいた。戦法は先行、4角先頭のロングスパートを侮ってはいけない。惑星は
ナミュール。
オークス3着で、改めて能力のほどは示したが、
秋華賞はもう0秒5流れが速かったら下手に動かず脚もたまり、4コーナーで振られる事態も生じなかったか。そのロスを、一番悔いているのは横山武J。馬体維持がカギになるが、首位圏内にあることは間違いない。
ウインマリリンは、スーパーGII・
札幌記念3着。前哨戦としては時計的には地味でも、
ステップレースの中では
札幌記念がやっぱり内容が一番濃い。懸案の脚も健やかさを保っており、栗東の追い切りでそれを目視。3冠馬
デアリングタクトの実績も
リスペクト。
オールカマーは完全復調、そして大人になったニュー・
デアリングタクトの姿を期待したのだが、うーん。内外の差も確かにあったが、馬体の張りがひと息かなぁ…。汗をビッショリかくほど燃えるような馬だったが、妙に小さく映る。良化は期待できるが、全盛期の姿までは微妙かも。