【上り31秒4の意味と意義】川田Jのコ
ロナ報道などあり、一度は
ラヴェル本命も考えたが、
リバティアイランド騎乗はOK。彼の馬の才能と瞬発力に改めて注目。
母ヤンキーローズは1100-2000mで4勝を挙げ(G1・2勝)、豪州の2歳・3歳牝馬チャンピオンに輝いた名牝。父に
ドゥラメンテを配した二番仔は、7月の新潟マイルでデビュー。発馬で立ち上り道中突っかけたりして若さをのぞかせていたが、上り3Fのレースラップは10秒9-10秒2-10秒9(32秒0)、対するリバティのソレは31秒4。新潟1600mの高速上りの勝者といえば、
ハープスターは
新潟2歳Sで上り32秒5を計測、後の
桜花賞制覇につなげた。去年の
セリフォスの上りは32秒8、今秋の
マイルCS強襲の起点にもなった。前半のペースや流れに違いはあるものの、リバティの上りは31秒4。その数値から推し量れるポテンシャルは、やはり桁がひとつ違う。
アルテミスSは追い出しを待たされ切り替えに手間取り痛恨の2着に終わったが、ゴール前の脚色は明らかに優勢だった。追い切りのフォームを見ると右回りにも瑕疵はなく、流れを大事にシンプルなレース運びを心掛ければ、2歳牝馬チャンプのタイトルが自ずと近づいてくる。
アルテミスSの勝者
ラヴェルは、もちろん手強い。母は
フェアリーS3着、母の妹はBCディスタフをブッコ抜いた
マルシュロレーヌ。半姉
ナミュールは
オークス3着、
秋華賞2着。父に
キタサンブラックを配し姉より一回り大きく造りは頑丈、立ち居振る舞いにも度胸がある。小倉1800mの新馬戦を1分49秒5・上り34秒4で駈けたが、同じ小倉9Fでデビューし後にGI馬となった
クロノジェネシスの初陣は1分50秒0・上りは34秒5。去年の
ドウデュース(後にダービーレコ勝ち)の新馬戦は、1分50秒2・上りは34秒1だった。ゲートを嫌がる癖はあるが、道中の構えはドッシリ。勝負どころの三分三厘でほどよく加速がつき、
アルテミスSも同じような横綱相撲で外強襲。1分33秒8という走破タイムはレース史上歴代2位、上りは33秒0。タイムと上りは、姉
ナミュールの
赤松賞の記録とまったく同じ。どこか繊細で危うさを残していた姉より心身の強度は上。坂井Jの構えも自信と信頼感に満ちている。
才能なら
ウンブライルも一歩も引かない。全兄はGIマイラー・
ステルヴィオ、6月の東京7Fの新馬戦を1分22秒1で一気差し。牝馬にかわったぶん、腹回りから臀部のラインがシャープになったが、もみじSは+10キロの474キロ。この体重でも少し細いくらいだったが、発馬は新馬戦に続きモッサリ。右回りは手前の替え方がギコちない。しかし前半1000m・58秒9というミドルペースを、却って落ち着いて漸次追い上げる形がとれた。タフな平均ペースの上に立ち、上り3Fのレースラップは11秒6-11秒2-11秒4(34秒2)。直線を向いたときは前とはまだかなり差があったが、2F標識過ぎ
トップギアへとガツンと入り、自身の上りは33秒5、上り2Fは推定11秒0-10秒8見当だろうか?あの
グランアレグリアを彷彿させる、滑るような地に足の着いた脚力を持ち、ラップ形態を見れば1F延長も普通にOK。関西遠征は二度目、追い切りに跨った新規パートナーの横山武Jも、過去手綱を握ったGI馬たちの名前をあげるほど評価は高い。本年の2歳世代のレベルはあまりにも高く惑星評価となったが、
モリアーナも普通の年なら本命を打ってもいいくらいの素材。東京マイルの新馬戦は11秒2-11秒0-11秒1(33秒3)というレースラップを、自身33秒0でスパリ。この上りこそが能力の原点であり、マイラーとしての証にもなる。
コスモス賞は距離9Fと1000m通過・61秒8という緩ペースをあらかじめ想定。素早く2番手につけロスを防ぎ、直線入り口で早めに先頭。上り3Fは推定11秒9-11秒7-12秒5(36秒1)。洋芝でも11秒台のラップを二つ並べる
パワーがあった。体力とセンスで9Fにも楽に対応したが、前述したようにベースはマイラー。阪神への輸送に対応可能な度胸もある。
連穴は
シンリョクカ。母は
ターコイズSなどマイル2勝、母の兄
ダノンシャークは
マイルCS制覇。
サトノダイヤモンドの仔にしてはやや薄手だが、東京マイルの新馬戦は1000m・62秒9のスローで推移。上りラップも11秒6-11秒0-11秒1(3Fは33秒7)とかなり高速だったが、上り33秒4で猛然と外から急襲。ラスト2Fは推定10秒台の加速ラップを計測。稍重馬場における上り2Fの加速を考慮すると、
モリアーナの東京マイルの上り33秒0と互角以上の評価でもいい。
ブトンドールは洋芝の
函館2歳Sを一気差し。
ファンタジーSで1000m通過・57秒9という高速ペースを経験。手前を何度も替え、バラバラのフォームでも最速の上りで猛然と2着に追いこんできた。元々稽古は動くが、直前の坂路では1F・11秒5という破格の脚力で登坂。クラシック戦線を賑わせた、
ウォーターナビレラや
ナムラクレアに似た、6-8Fの重賞戦線の名バイプ
レイヤーになる。
ドゥーラは開催最終週の
札幌2歳Sを
モリアーナと同じ1分50秒0で快勝。前半1000mは61秒5、上り3Fのレースラップは12秒3-11秒9-12秒1(3Fは36秒3)、自身の上りは35秒7。ラスト2Fは推定11秒8-11秒7。
モリアーナとはラップ形態が微妙に異なり、終いに行くほど速くなる中距離系の特徴を示しているが、完成度はかなり高い。