【牡馬と見間違える存在感】本年の3歳牝馬は、
桜花賞を衝撃の一気差しで圧倒した
リバティアイランドが、現時点ではダントツの「一強」。2着以下の馬たちも、才能豊かな馬が多い。しかし1勝をあげたばかりの馬の中にも、近い将来の重賞もしくはGIを目指せる好素材が多数控えている。
フローラSには、その魅力ある好素材が参戦。あれもこれもと目移りがするが、一番手にピックアップしたのは
ソーダズリング。
母ソーマジックは
桜花賞3着、半姉
マジックキャッスルは
愛知杯優勝、
秋華賞2着。半兄
ソーヴァリアントは現役5勝(
チャレンジC連覇)。
ハーツクライ産駒の本馬のサイズは472キロ。数字以上に身体を大きく見せ、牡馬と見間違うかの黒鹿毛牝馬。パドックの風情は威圧感タップリ。経験馬手に初陣は2着に終わったが、名刺代わりに上り33秒7を計測。二戦目の前走は、まずは発馬に集中、スタートダッシュは一番。2-4Fは11秒台で推移、ジンワリと好位にポジションを下げ1000m通過は59秒8というタフな平均ペースで展開。
直線を向きひと呼吸追い出しを待つ余裕があり、上がり3Fのレースラップは12秒0-11秒4-11秒4(34秒8)。正味2Fの瞬発力決着となったが、
トップギアに入ると一気に回転速度が上がり、自身34秒1(上り2Fは稍重で推定11秒3-10秒9)で2馬身半と突き抜けた。
レース精度は満点、ラップ的に距離延長は歓迎。前走後の追い切り本数は6本、坂路の動きもタイム以上に弾力が増した。
ブライトジュエリーも才能はまったくの互角。母は
チューリップ賞1着、430キロの軽量牝馬ながら、こちらも経験馬相手にパドックの仕草は落ち着いたもの。ただ明け3月デビュー馬、発馬でフラつき、道中は後方の内柵寄りをヨロヨロ。
1000m通過は61秒3のスロー、直線入り口ではまだ密集馬群の中。包まれてそのままかもと思ったが、内ラチ沿いから大胆に5頭ぶん外に持ち出しエンジン点火。12秒1-12秒0-12秒0(3Fは36秒1)というレースラップを、自身34秒6で豪快に外一気。
膨らんだりモタれたりずいぶんと荒々しい競馬だったが、終わってみれば2着に4馬身差の楽勝には唸った。
イングランドアイズは
オークス馬
ヌーヴォレコルトの娘。キャリア二戦目で、GIIIの
クイーンCを0秒1差に迫ってきたが、1分33秒2というタイムも良質。430キロ前後と軽量だが、追い切りはグンと胸を張りパワフルさが目を引く。ちなみに新馬勝ちの距離は10Fでした。
ドゥムーランの祖母は
アゼリ、母アメリは3勝。半兄
ガンダルフは芝ダート兼用の現役4勝。まだクニャクニャとしていかにも緩さが目立つが、サイズは448キロ、調教時計にコレといった特色がなく、初陣のパドックの歩きはトボトボ。
スタートはマズマズ、ただデリケートな性格を慮り後方二番手をソロソロと追走。1000m通過は62秒6のスローで推移。初戦は馬場を一周回ってくるだけかなと思っていたが、残り3F標手前から一気の大マクリ。12秒0-11秒5-12秒0(35秒5)というレースの上りを、自身34秒2で直線一気。時計は2分3秒4止まりでも、他とは才能が違った。調教内容を見ると反動よりは上積みを期待でき、レーンJなら重賞の流れを見誤ることはないだろう。
イトカワサクラも魅力いっぱい。近親や兄弟に目立った活躍馬不在だが、父
ゴールドシップになんともウリ二つ。2歳5-6月期にデビュー寸前までこぎつけ、前走は仕上げ直しの一戦。直前の坂路は馬なりで11秒9を計測し、才能の片鱗は示していた。
無事スタートを切り、道中は中団の馬込み、やや首が高く上体を立てながら追走。前半1000mは59秒7という平均ペースで展開。直線入り口追撃態勢に入ったが、ウカウカとしたハミの取り方、走法や加速も親父の
ゴールドシップにソックリで萌える(笑)。ラスト4Fのレースラップは11秒9-11秒2-11秒6-12秒5(3Fは35秒3)、本馬の上りは34秒6。バテず緩まず11秒台の連続ラップを計時、1分46秒9というタイムも良質だ。
ひいらぎ賞は思わぬ折り合い難が露呈したが、
ティファニードンナも
オークスを語るのにふさわしいスケールの持ち主。完成度なら
キミノナハマリアか。