【鉄幹色のわびさびた肉体】いくつかの試練と手順を踏み、4歳秋・
ナムラクレアが絶頂期を迎えた。2歳夏、小倉2歳Sを過去十年で第1位の1分7秒9で駈け、GII
フィリーズレビュー2着、マイルの
桜花賞もコンマ1秒差の3着に踏ん張った。夏の函館ス
プリントSでは鮮やかなレース捌きで並み居る古馬を撃破、ス
プリント界に新星現るの見出しも踊ったが、
北九州記念3着、
スプリンターズSは5着、体と心がまだ空回りする時がある。ならば調教を坂路主体からCW追いに機軸をかえ、馬体造りを一から見直し。4歳となった本年は
シルクロードSを上り32秒9で内一気。不良馬場の
高松宮記念は、1馬身差2着に遅れをとったものの、
キーンランドCは正攻法の競馬で力でねじ伏せ地力の高さを改めて確認。栗東帰厩後も攻め馬を手加減することなく猛暑を乗り越え、青さびた肌は一段と薄さと艶を増し深みが出た。最内枠を引いたが、隣りのテイエムは何が何でもハナを主張。テンからぶっ飛ばして行くそのあとをついて行けば自然と視界は開けるだろう。
第一本線は
ママコチャ。二走前の安土城Sは1分19秒0という破格のタイムで圧倒したが、1200m通過タイムは1分8秒0、ラスト2Fに最も速い推定10秒6前後で駈け、GIス
プリンター誕生の予兆を数字として具現。前回の
北九州記念はペースは緩め、初の6Fを意識し消極的なレース運びのぶん2着に後れを取ったが、
ステップとしては手応え十分。聡明な眼にも本格化の在処が見て取れる。
アグリも小差。GIII・
阪急杯の走破時計は1分19秒5、1200m通過は1分7秒6。
高松宮記念も記録通りなら好勝負になるとみていたが、不良馬場、アク
シデントにも巻き込まれ7着に後退。しかし香港遠征を経験、肌艶の深みと張りが増し、
セントウルSは戦法一変。上り32秒4という豪脚で馬群を断ち割り首位に肉薄。肉体や仕草も大人びてきたが、これが同じ馬かと思うほど、顔つきに貫禄が出てきた。GI馬
ピクシーナイトの変身も要注意。1年3カ月のブランクがあり、造り直しや仕上げを模索してきたが、前回が八分の状態。出遅れがなければ着順ももう少し上だったか。一昨年の
スプリンターズSとまではいかないだろうが完調間近は間違いない。秘策はブリンカー、戦法はきっと先行策。
メイケイエールは才能の在処は
セントウルS・1分6秒2のレコ勝ちで把握している。輸送をいかにクリアできるか、そして馬具効果に拠る。GIはまだ他力本願になるが、連穴は
キミワクイーンの大胆な追い込み。函館ス
プリントS強襲で、体力と脚力はGIに近いことがわかった。