【GI界の皇太子】
シンエンペラーの前途は洋々。全兄は仏ダービーと
凱旋門賞をブッコ抜いた
ソットサス。兄のみならず半姉
シスターチャーリーはBCフィリーズ&メアターフなどGI・7勝、仏
オークスは2着に食い込み、GIII・3勝をあげた姉がもう一頭いる。噂の良血、なるほどツルりとして独特の光沢や皮膚感を醸し出す栗毛。ただ474kgという数字よりは馬体は薄く華奢に映る。
新馬戦は好位でフラフラ、1000mは61秒7のスロー。追い出しに入ると、内外あちこち寄り道する。左右に膨らむ遊びの多い進路取りながら、上り3Fは推定11秒9-11秒0-10秒9(3Fは33秒8)。本気で追っていれば10秒台半ばのラップを刻めたていたか。
二戦目の
京都2歳Sは1000m通過・59秒1というミドルペースを経験。発馬でアオリ、中団の真っただ中で折り合いと進路を探すという、難しい組み立てを強いられたが、直線スペースを見つけると躊躇することなく馬群を割った。上り3Fのレースラップは11秒9-11秒9-12秒1(35秒9)、対する自身の上りはメンバー中第二位タイの35秒3。ラスト2F・推定11秒7-11秒6見当の加速ラップをマークしている。気性は依然子供、稽古でもパドックでも返し馬でも遊ぶ。一気に大人にはなれないけれど、ムルザバエフJなら中山10Fでも信頼に足る。
第一本線は
ヴェロキラプトル。兄姉は1勝馬ながら母の兄姉4頭が仏G1馬(イスパーン賞やグランクリテリウム。仏
オークス2着や仏1000ギニー2着など)。基本的な馬体のラインは父
スワーヴリチャードに似ているが、首も四肢もスラリとして素軽い。上り重点ながらデビュー前の栗東坂路で11秒8も出した。新馬戦は絵にかいたようなスローの上り勝負、終いの3Fは11秒2-10秒9-11秒7。ラスト2Fめの10秒9は能力の証明。二戦目の
野路菊Sは1000m通過・59秒3という平均ペースを中団待機。後半1000mは11秒8-11秒5-11秒2-11秒5-12秒5(3Fは35秒2)。よどみのない厳しい流れを終いひと脚使いグイと1馬身差の完勝。ちなみにマイル通過は1分33秒5、決着タイムは1分46秒0。体重さえ維持できれば(大きくなれば)、胸を張ってクラシックの王道を歩むことができる。
小回り・右回りが課題となるが、
ゴンバデカーブースも資質は互角。
サウジアラビアRCの1000m通過は59秒2、少頭数ながらドタバタとしたミドルペース。ラスト3Fのレースラップは11秒7-11秒2-11秒3(34秒2)。残り1F標識手前、グイと先行勢を捕まえ、推定10秒台のラップを二つ並べ33秒5で2馬身差完勝劇を演じた。まだ四肢の
バランスが今一つ、右後肢が流れ気味でコーナー4つの中山回りに若干不安は感じるものの、
タスティエーラなどの胸を借り入念に体力強化を図ってきた。
レガレイラは遠く
オークスを想定、牡馬混合の10Fに強気に
アタック。デビュー戦の洋芝の函館・上り34秒3も秀逸だったが、アイビーSの上りは推定11秒2-10秒9-10秒6(32秒7)。中山10F適性が課題になるが、ポテンシャルはGI級でいい。
タリフラインは
サウジアラビアRCと同日の新馬戦を快勝。上り3Fのレースラップは11秒8-11秒3-11秒0(34秒1)、対する自身のソレは33秒4。父
サトノダイヤモンドに似て追い出すと一気にフットワークが大きくなり、距離適性も似ている。もう10-20キロは増えるとなおいいが、中間の乗り込みも油断なくきている。
ショウナンラプンタは、エンジンのかかりは少し遅いが、東京スポーツ杯2歳S4着、33秒9という最速の上りでジワリゝと脚を伸ばしてきた。