スローペース+外差し馬場=?
福島の夏の風物詩、
七夕賞も今年は中山開催。来年はいつも通り福島で見られるように、復興を星に祈りましょう。
さて、例年平坦小回りで行われている
七夕賞はどのような流れになっているのか、過去5年分のラップを見ておきましょう。
七夕賞(G3・福島10F)
2006年:35.7-46.8-36.8=1'59"3(
メイショウカイドウ)
2007年:35.5-48.2-36.6=2'00"3(
サンバレンティン)
2008年:35.7-48.3-35.8=1'59"8(
ミヤビランベリ)
2009年:36.2-48.7-35.3=2'00"2(
ミヤビランベリ)
2010年:36.0-48.7-35.7=2'00"4 (
ドモナラズ)
※「テン3F‐中盤4F-上がり3F」で表記、( )内は勝ち馬。
舞台設定から当然先行有利と思いがちですが、実際の勝ち馬の決まり手はかなり多彩。2008年が逃げ切り、09年は先行、06年は中団捲くり、07年は後方捲くり、そして2010年は追い込みが決まっています。
そして注目すべきは、上記の通り、レースラップがどんどんスローへシフトしてきている点です。
以前は中盤は46‐47秒台だったのが、ここ4年は48秒台になっています。更に以前はテンより必ず上がりが掛かっていましたが、ここ2年はハッキリと、テンより上がりが速くなっています。
「小回りのハンデ戦で、皆が勝ちに行く展開が急流を生み、差し・追い込みまで届くようになる」
という筋書きならば納得行きますが、このレースに関しては「どんどんスローになっているのに、あらゆる決まり手が可能になっている」という面白い現象が起こっているのです。これをどう捉えるべきでしょうか。
結論としては、原因は2つです。
第一に、「脚は遅いがスタミナ十分のステイヤーが10Fに出走し、スローの方が追走しやすく差して浮上する」という、出走馬の資質の問題。第二に、「梅雨時の開催最終週で、程よく荒れて外差し馬場になり、スローでも差し・追い込みが利きやすい場合が多い」という、この時期特有の馬場の要素。
よって二つを組み合わせると、ここ4年のようなスローになると「馬場を利せる、中距離差し・追い込みタイプが有利」「逃げ・先行で好走するのは、
ミヤビランベリのようなステイヤーのみ」という、実際の結果とちょうど重なる推論が導き出されます。
ちなみに06年は
ハイラップで逃げた
コンゴウリキシオーが2着しており、マイルでも走れるスピードタイプの先行馬が残るには、むしろ「速い流れでステイヤーを淘汰する」のが良策ということでしょう。
今年は中山開催なので様相は違いますが、施行時期・条件から、レースの位置付けは同質のものと判断します。その上で、スローでしか好走していない
キャプテントゥーレが先手を取れば、恐らく近年と同様のスロー、急坂を考慮して他馬の仕掛けが遅れれば、場合によっては超スローの展開もあり得るのではないでしょうか。
スローならば、先手が取れる格上馬(
キャプテントゥーレ・
シャドウゲイト)が圧倒的に有利…と考えがちですが、前述の通り、外差し馬場になれば「楽に先行した馬」が「脚が遅いステイヤーの持続力」に屈するのがこのレース。特に
キャプテントゥーレはマイルでも走れる器用さがある反面、ステイヤー資質は全く示していないので、馬場次第ではアッサリ沈む場面もありそうです。
先週時点でやや外差しも決まる馬場にシフトしていたので、ここは例年通りの馬場+資質の傾向が出ると踏んでみたいと思います。先行馬は11F以上で実績あるスタミナタイプに絞り、後半の持続力に秀でた中距離差し馬に注目。例年と違い、急坂コース実績も勘案したいところです。
●注目馬=
シャドウゲイト・
ケイアイドウソジン・
コスモファントム・
マゼラン(スタミナ兼備の先行馬、中山得意)、
オペラブラーボ・
サンライズベガ・
マッハヴェロシティ(それぞれメイS・
小倉大賞典・
新潟大賞典で後半の持続力を発揮して好走、急坂コース実績もあり)