【上位拮抗】
アイムユアーズは
桜花賞3着、
オークスが4着。古馬牝馬と相対しても、素質は一歩も引かない。特に本年の
オークスは、従来の記録を一気に1秒7も更新する、翌週のダービーより0秒2速い2分23秒6のレコード決着。1000m通過59秒1-2000m通過が2分フラットというタフな平均ラップを、直線入り口で一旦先頭。勝ち馬の容赦のない末脚に屈したとはいえ、明らかに長い2400mを、2着馬とわずか0秒1差に踏ん張った。
ちなみに、
オークスとダービーの道中のラップを比較してみると、
◆
オークス ジェンティルドンナ・2分23秒6
(1000m)(1600m)(2000m)
・59秒1-1分35秒7-2分0秒0
(上がり3F・12秒1-11秒8-11秒8)
◆ダービー
ディープブリランテ・2分23秒8
(1000m)(1600m)(2000m)
・59秒1-1分35秒4-1分59秒4
(上がり3F・11秒7-12秒0-12秒4)
オークスもダービーも、前半1000mは59秒1のミドルラップ。ペースや馬場差を考慮すれば、どちらが上云々を、軽々には断じきれないように思うが、
オークス史上屈指のタフなレコード決着を、ただ4番手追走から一旦は先頭(2着とは0秒1差圏内)。
アイムユアーズのレース内容は、少なくとも
エリンコートや
ピュアブリーゼの前年の
オークスよりも、どう見ても中身が濃い。距離はベストの1800m、斤量は52キロ。歴代屈指の
オークス4着の記録をもってすれば古馬撃破も十分。
相手も3歳馬
ミッドサマーフェア。そのポテンシャルにこだわってみたい。三走前の
君子蘭賞の1分49秒7は、同日に行われたGIIIの
毎日杯と、わずか0秒1差のHレベル決着だったが、その内訳は、
◆
君子蘭賞 ミッドサマーフェア・1分49秒7(重)
(1000m通過・59秒3) 上がり3F・12秒8-11秒7-13秒3
※レースの上がり37秒8-勝ち馬の上がり36秒2
◆
毎日杯 ヒストリカル・1分49秒6(重)
(1000m通過・1分1秒3) 上がり3F・12秒0-11秒3-12秒7
※レースの上がり・36秒0-勝ち馬の上がり35秒4
前半のラップが2秒も異なる、ハイペースとスローのちがいはあるものの、
君子蘭賞のマイル通過は1分36秒4。同日の古馬1000万の、芝マイルの勝ち時計は1分37秒5。通過ラップもタフで精密。レースの質そのものは、明らかに
君子蘭賞が上だった。次走の
フローラSは、1000m通過が1分2秒1という、典型的なスローの上がり勝負。ラスト3Fのレースラップは11秒4-11秒2-11秒5(3Fは34秒1)だったが、抜け出すと遊ぶ余裕で、レースの上がりを0秒6も上回る33秒4の瞬発力を披露。アイムを超える、時計的意味を保持している。
迎え撃つ古馬の大将格は
フミノイマージン。
ヴィクトリアマイルは、キツめのローテーションと、無理めの距離設定の影響か(間に1400mも使った)。馬体が細化し
テンションが上がり、スタートで出遅れ。まったく競馬にならなかったが、ベストは1800-2000m。57キロは、決して好材料とは言えないものの、56キロを背負い
愛知杯勝ち。そもそも、
フミノイマージンの起点は、3歳夏の札幌・2分0秒3という、藤田とのコンビで勝ち取った1000万勝ちが出発点だった。
オールザットジャズの
ヴィクトリアマイルも、GIという舞台で、ひとつとして無駄やロスが許されない上がり馬が、スタートで後手を踏み、「構える競馬」をしては、お話にならない。ただ、
福島牝馬Sは、小回り福島で、1000m通過が58秒2-マイル通過が1分34秒4という、もっとも能力の在り処がわかりやすい平均ラップを、好位の5-6番手から勝ちに行き、最後の2Fは11秒5-11秒7でネジ伏せる圧勝。あの競馬を、今一度思い出せば、巻き返しもあるのではないか。
コスモネモシンは昨年の
クイーンSの2着馬。
レインボーダリアは当コースのレコードホルダーだ。