2歳12月にデビューしてから前々走のシルクロードSを勝利するまで8戦6勝2着2回という完璧な成績を残してきたロードカナロア。前走の高松宮記念では初のG1挑戦となったにもかかわらず1番人気に支持され、時計の掛かる馬場コンディションで差し有利な展開になりながらも好位からレースを進めて3着と負けて強しの内容でした。

　その強豪ロードカナロアが出走してきたために他の馬は回避してしまったのか?　今年の函館スプリントSは11頭とやや少なめの頭数の一戦となりました。単勝オッズは1倍台の圧倒的な支持を受けているロードカナロア。さて、その期待に応えて圧勝となるのでしょうか。

　確かにロードカナロアの近走の充実ぶりと安定感から考えれば、この馬を本命視するのが一番無難な予想と言えるでしょう。冷静に考えて一番リスクが少ない予想と言えます。しかし同馬にとって今回のレースは高松宮記念後、ひと息入れて秋のG1に向けての始動戦と言えるレースになります。似たようなローテーションの馬として挙げられるのは02年の高松宮記念勝ちのショウナンカンプがいます。

　当時のションナンカンプは芝路線に転向してから3戦3勝の無敗で高松宮記念を制しました。そしてその後一息入れて次に出走してきたのが函館スプリントSでした。単勝オッズは1.2倍。圧倒的な支持を受けます。しかし結果は最後に失速し、4着となったのです。

　確かにショウナンカンプは高松宮記念で自己ベスト指数をマークした直後の一戦、ロードカナロアは高松宮記念でそれなりの指数では走っているものの、自己ベスト指数をマークしたわけではありません。よってロードカナロアはショウナンカンプほど疲労が溜まってはいないでしょうが、両馬ともに秋に向けての始動戦として函館スプリントSを選んだことは同じと言えます。ロードカナロアにもわずかながら死角があるのです。

　そこで今回◎に推すのはパドトロワです。この馬は昨秋のスプリンターズS2着の実力馬です。昨年はその後香港遠征を敢行したために疲れが残り、今春の高松宮記念には出走しませんでした。今春復帰後、近2走はオープン特別で7着、6着と凡退しています。しかし高松宮記念をスキップした理由を考えれば、この馬の目標は春ではなく夏と読み取ることができます。ロードカナロアはあくまで始動戦。パドトロワはエンジンがそろそろ暖まってくる頃。それならば逆転も十分狙えるでしょう。

　○はさすがにロードカナロアでしょう。安定感が違います。▲は目下2連勝の勢いを評価してドリームバレンチノ。

過去18回から、■消える馬・□残る馬をチェックしてみよう。なお、第1-3回は「札幌スプリントS」の名称。また、第16回は代替札幌で実施された点に注意。

■高齢…前5走内(前1年以内に限る)に芝1200mor芝1400mの重賞戦で3着内の好走歴がなかった7歳以上高齢馬は[0-0-0-32]。ドラゴンファング・ブルーミンバーが該当。

■実績…芝を10回以上走って0-2勝馬は、前2走内に芝1200mor芝1400mの重賞戦で3着内の好走歴があった馬を除き[0-0-0-24]。ナイアードが該当。また、芝を20回以上走って0-3勝馬は[0-0-2-10]。エーシンリジルが該当。

■近走…前2走とも1000-1200mの非重賞スプリント戦で0秒4以上敗退馬は[0-0-3-11]。パドトロワが該当。

■不振…前2走ともGII以下芝で6着以下かつ0秒8以上敗退の不振続きは馬[0-0-0-13]。ミオリチャンが該当。

■距離…1200mを10回以上走って0-2勝馬は、前2走内に重賞戦連対歴がある馬を除き[0-0-0-14]。ナイアード・ビスカヤが該当。

■3歳…前3走内に芝良・稍重の重賞戦3着内・OP戦1着の好走歴がない3歳馬は[0-0-0-13]。レオンビスティーが該当。H22年、前走GINHKマイル5着(時計1:32.2)の3歳馬キョウエイアシュラが4番人気支持もあと一歩及ばず4着まで。

■条件…前走条件戦使用馬のうち、前走1000万戦で3馬身以上圧勝ない馬、前走1600万戦で敗退orVも1馬身未満辛勝馬は、芝1200m戦で1-3着が計10回以上ある距離適性馬を除き[0-0-2-29]。キングレオポルドが該当。

□重賞…前2走内(2月以降に限る)に芝1200-1600mの重賞戦で3着内の好走があった馬は[10-4-3-22]。このうち、

1)高齢…7歳以上馬のうち、5月以降の非重賞戦で連対外ある馬or年明け3戦以上消化し前3走内に10着以下が2回ある馬は×

2)斤量…58kg以上馬のうち、前走着外or前走GII以下戦から2kg以上増加馬は×

3)実績…右芝0勝orキャリア10戦以下で前走GII以下敗退馬は×

4)大敗…前走芝良・稍重で1秒5以上惨敗or前走1200mGI戦10番人気以下かつ10着以下大敗or前走1200mGII以下戦59kg未満で10着以下大敗は×

5)5割…1200mの複勝率(1-3着)が5割未満は×

6)休養…6か月以上休養馬or芝連対5回以下の3か月以上休養馬は×

7)3歳…キャリア4戦以下or前3走内に1着がない3歳馬は×

8)条件…前4走内に1200m条件戦で10着以下があった馬は×

9)距離…前2走とも1600m以上使用馬は×

10)軽量…前3走内に53kg以下の軽斤量で連対外ある馬は×
以上の10項目をクリアしていた馬は[10-4-0-0]。ロードカナロアが該当。

1番：腰パンとした。勝ち負け。
2番：ここでも通用。
7番：デキ良いし、洋芝で期待。

【自信満々】ロードカナロアは、次代のスプリント界を背負って立つ逸材。高松宮記念は3着に終わり、連勝記録は途切れてしまったが、勝ちを奪いに出る、強気の先行策。あの0秒1差は、近い将来のさらなる飛躍を想像させる3着だった。56キロのGIII戦なら順当に勝機。32秒台の切れ味もある一方、稽古はダートもOKのパワー型。函館の洋芝も、あっさりクリアできる。対抗はスプリンターズS・3着の、パドトロワの実績。昨夏も、ちょうど今時分から、毛艶がピカピカと輝き始めたが、本年も気温の上昇とともに体調もアップしている。ドリームバレンチノは目下2連勝。福島民友Cの1分7秒4(上がり33秒3)、安土Sの1分19秒8は、十分GIIIレベル。3歳馬レオンビスティーの、スプリンターとしての将来性にも注目。エーシンリジル、キングレオポルドは、うーん。さすがにGIIIは家賃が高いか。

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【順当】ロードカナロアはこのメンバーでこの斤量なら勝利濃厚。ドリームバレンチノは距離延長の前走も完勝しており、重賞でも好勝負が期待できる。エーシンリジルは鞍上スイッチで一発が視野に。パドトロワは展開次第も粘り込みには警戒が必要だ。キングレオポルドは試金石だが連下には要マーク。流れ込み狙うブルーミンバーも押さえておきたい。