菊花賞は春のクラシック上位馬vs夏の上がり馬の図式となります。そして、例年上位人気に支持されるのが春のクラシック上位馬です。
ディープインパクトや
オルフェーヴルのように、春のクラシックで後続を何馬身もぶっち切っているような馬がいれば話は別ですが、どんなに指数やレース内容が平凡でも、とりあえずクラシックで上位に入線していれば人気になります。上がり馬が夏の間にどんなに高指数をマークしても、どんなにいいレース内容だったとしても、それほど人気にならないのが
菊花賞です。過去のレースが上がり馬有利の傾向を示していても、人はクラシックというブランドに弱く、成績が汚れた馬を嫌う……そういった傾向を露呈しているレースと言えるでしょう。
今春のクラシックでは「ダービーの決着タイムが
オークスの決着タイムより0.2秒遅かった」ことが話題となりました。たしかに先日の
秋華賞で三冠を達成した
ジェンティルドンナが
オークスで強い競馬をしたこともありましたが、今年のダービーはその決着タイムが示すように、私が指数を算出し始めてから15年という歴史のなかで、最も低いものでした。
しかし、その低レベル3歳世代(この場合は総体的な評価を示します)を補うかのように、この夏は3歳馬が大活躍しました。私は未知の魅力よりも、過去の裏付けにこだわって予想しているので、今年のローカル前半は未知の魅力の3歳馬が勝つのを、指を加えて見ているだけでした。ぶっちゃけ、それが災いして絶不調でしたね。
でも、途中からそれまでに素質の片鱗を見せていた3歳馬を重視して予想を組み立てるようにしたら、流れが一転しました。つまり、この夏はそれだけ3歳馬が活躍したということなのです。その結果が先日の
秋華賞で春のクラシック上位の2着
ヴィルシーナと6着
アイムユアーズとの間に、3頭の上がり馬が食い込んできた理由であり、この夏の3歳馬の傾向を熟知していたので、
ジェンティルドンナと
ヴィルシーナ以外は上がり馬にしか印を打ちませんでした。
また、
菊花賞トライアルの
神戸新聞杯も
セントライト記念も、勝ち馬を除いては上がり馬が上位を占めています。しかし、
トライアルで自己ベストの指数をマークした馬というのは、本番で指数をダウンさせる傾向にありますから、むしろ力を出し切れていない上がり馬の巻き返しを狙うほうが好ましいでしょう。
その上がり馬筆頭◎は
マウントシャスタです。同馬は今春クラシック路線ではなく、
NHKマイルC路線を使われたことがマイラー色を強めていますが、本当にマイラーなら距離延長の
宝塚記念で5着にこれないというのが私の見立てです。しかも、
宝塚記念は前崩れの消耗戦。その流れを早め先頭から一瞬押し切るかと思わせるシーンを作っての5着ですから、3着
ショウナンマイティあたりと力差はないと考えて良さそうです。休養明けの
神戸新聞杯を使われての上積みを期待します。
〇は新潟芝1600mの新馬戦から徐々に距離を伸ばし、京都芝2400mの梅花賞ではその当時としては圧倒的な強さを見せた
ミルドリーム。同馬は新潟芝1600mの新馬戦で3コーナー手前から動いて、上位3頭が32秒台の末脚を使った究極の瞬発力勝負で2着に好走しました。このことから、同馬は高速馬場の瞬発力勝負に強いイメージがあり、その後は“キレ”と生かす競馬ばかりをさせられて鳴かず飛ばずの成績を挙げていましたが、梅花賞で一気に指数をアップさせてきました。そのときの引き離された3着馬がのちの
青葉賞で2着となり、
トライアルの
セントライト記念で4着となる
エタンダールです。距離延長で一気に指数をアップさせました。
08年の
菊花賞では
オウケンブルースリを◎としました。阪神芝2400mの
生田特別で指数を一気にアップさせたこと、前々走の新潟の1000万下(
阿賀野川特別)が強い勝ち方だったことが、本命に推した根拠です。
ミルドリームは前々走の
弥彦特別では
オウケンブルースリほどの指数は出ていませんが、
菊花賞というスタミナも問われる舞台で、好転する予感がします。
▲は芝路線に転じて未勝利→500万下→1000万下を連勝し、上昇一途の
タガノビッグバン。前走の
兵庫特別は斤量を無視すると、
神戸新聞杯で3着、
セントライト記念では2着に相当する指数でした。3走前にタフな馬場状態の中京戦を逃げ切ったスタミナに、近走の勢いを加味すると、連対圏に突入してくるかもしれません。
ゴールドシップはけっして弱い馬ではありませんが、土曜日の最終オッズで1.5倍というのはさすがに過剰人気としか、言いようがありません。休養明けの
神戸新聞杯で自己ベスト指数をマークした馬のほとんどは
ドリームジャーニーのような結果(
神戸新聞杯1着→
菊花賞5着)になるので、「うっかり馬券に絡みませんように!」と祈りつつ、ボーナス100万円超えを狙います。